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歪まないサービスを外堀からデザインする - Mission Like a Polar Star

この記事は、LINE DEVELOPER DAY 2日目のセッション「ビジネス、テクノロジー、クリエイティヴのバランスをとるには?」を参考に執筆しました。私論も織り交ぜているし、私のメモ的なことも少しばかり入っています。しかも、だいぶ日が経ってしまいました。ごめんなさい。


BTCのバランスの重要性


まずは、多くのデザイン・スチューデントが知らないであろうBTCの関係について。BTCはそれぞれビジネス、テクノロジー、クリエイティブのこと。それぞれが何かについては割愛。

まあよくサービスデザインとかいうカテゴライズで語られることでいうと、このバランスが崩れると、サービスが歪みやすい、ということになる。ここで言う「歪む」というのは、サービスのあるべき姿を見失い、ユーザーの求めるものからかけ離れてしまうという意味で捉えている。


歪んでしまうサービス


その一例として、例えばこうだ。(私のメモをスキャンしたと思ったら写真しか残ってなくて汚くなってしまってごめんなさい)

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サービスをリリース当初よりも高度化させていくごとに、どんどんとテクノロジーが必要になり、どんどんとサービスを詰め込んでしまった結果、ビジネス的には儲かるけれども、本当に提供したサービスってなんだっけ?となってしまうのではないか。

もう一つ例を挙げるとするならば、こうだ。

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ビジネスが先陣きってテックに注文すると、間違いなく実装されてユーザーに届く。確かに便利になるかもしれないが、クリエイティブの方面からもしっかり見てあげないと、「あれ、私に課金ばっかしろって言ってない?」みたいになってしまい、サービスが歪んでしまう。

さらに、そうしてユーザー・クリエイティブが失われていくと、サービスとしての伸びが期待できず、結果的にサービスが歪んで戻らなくなるかもしれないという可能性まで孕んでいる。

では、ユーザーを裏切らないために、サービスを歪ませないために、ここで注目したいのが、サービスの「ミッション」である。


サービスの「ミッション」


ミッションというのは、よくそのサービスの目標だとか、スローガン的に扱われていることがある。

そうではなく、ミッションというのは「そのサービスが存在する意義・目的」という意味だと考えている。

つまり、単純に耳障りのいい言葉ではなく、そこにしっかりと意味があって作られる言葉でなければならない。

例をあげる。

「誰もが創作をはじめ、続けられるようにする」
noteのミッション

この言葉には、
・WHO「誰も」
・ACTION「創作をはじめ」
・THEN「続けられるようにする」
といった、いわゆる5W1Hのような「何がどうしてこうする」という因果が含まれている。

この言葉を見たら、どんなサービスがこのサービスのあるべき姿なんだとわかり、想像できるようなものになっている。


「ミッション」のあるべき姿


この言葉を見たら、そのサービスに関わる全ての人が、みんなで同じものを見れるようになるのではないか。こういうようなミッションを作ることができると、そのミッションは武器となる。

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ミッションに基づいて全てのものを見るようにすれば、判断するようにすれば、みんなで歪まないサービスを作ることができるようになる。

そのために、ミッションはある程度、余裕のあるフレーズがいいのではないだろうかと思う。雰囲気だけの言葉であってはならないが、「1億総活躍」みたいに1WAYの言葉でもいけないのではないだろうか。

そこで、北極星のように扱えるミッションを作るべき、ということである。

ミッションは、北極星のように遠くからも、どんなところからも確認することができて、みんなが大体の位置を知っているから、少し遠回りでもみんなそこに向かって行くことのできる、そんな位置にあるべきなのではないかと。

そのように、大きめのミッションを掲げておけば、最終的に同じ場所を目指せるのだから、それでいいのではないかと。

ミッションをこの世に実現することを考え、そのために踏破力を持ち合わせていくことで、さらに歪みにくいサービスを作れるのではないかと。


メタファーによる認識モデル


もうひとつ、北極星のように扱いたいのが、メタファーによる認識モデルである。

雑でもいいから、チーム全体で物事に対してどう向き合うか、どっち向けばいいかをまとめられるような、認識モデルを作ることがもうひとつ大事だという。

例えばこんな感じだ。

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例え話をいくつか用意しておくことである。

「noteはあらゆるクリエイターが集う街である」
noteの認識モデル

うん、これだけ聞くと「ん?」という感じになってしまった。これが認識のモデル(ケース)ということになる。

この認識モデルを使ってコミュニケーションを進めていく。

例えば、「みんなが作ったものを見てもらうためにはどうしたらいいと思う?」という言葉を専門用語を使うと「ユーザーの作成したコンテンツのPV数とサイト内の回遊率を高めるための施策についてどうしたらいいと思う?」といったように、用語がわからない時点で会話のハードルが上がってしまう。前者のように表現した方がおそらくわかりやすいはずだ。

そして、このように認識モデルを使うことで、共通認識として、認識モデルを理解することができ、その例え話だけで、サービスの歪まない話もできたり、より多くの人がいろんな角度からサービスを捉えることができる。

こういった専門性に根差さない抽象的でみんなにわかる言葉を探し、見つけていくことで、大きな目標のずれを防いでいくことが大切である。


バランスよくサービスを評価する


さらに、この街というもの、サービスというものをシンプルすぎる目標・指標で評価していると、今度は歪むどころかクラッシュしてしまうのである。

世の中には、様々な素晴らしい指標が存在している。KPIだったり、KJIだったり、ROEに、BEPとか、それぞれは理にかなっていて良いツールである。

だが、どれか一つを選んで、単一の指標のみでサービスを測っていては、正しく評価できない。(複雑系のシステムは)

例えるならば、人と同じである。

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脳血管は衰えもなく、詰まりもない素晴らしい結果だが、心臓はダメージが大きくこのままでは死ぬ、といった具合になっている。これが単一指標で見ていると死んでしまう例である。

同じように、KJIは達成している、問題ない、という状況でも、KPIが大幅に達成できていないなど、そういった状況になると、サービスは死んでしまいかねない。

似たような例が、サービスの提供側(ビジネス・テック)が、サービスにパワフルなツールを大量投入したのだが、ユーザー(クリエイティブ)が思い通りに使えないようなインターフェースだったり、関数が意味不明だったりというようなもので、ユーザーの考えを無視したサービスが仕上がってしまうと、これまたダメになってしまう。

そういったように、体と同じで、単一指標で見ることはそれほど有効ではないということであり、プロジェクトマネージメントだけではなく、評価においても全体を俯瞰することが、サービスデザインで重要である。


むすび


ここまでで書いてきたことの中には、さほど特殊なメソッドは無いように思える。サービスを形づくる中で少し気をつけていけば可能なことがほとんどだと思う。

このようにメソッドに頼ることなく、自然に緩い立場で、カルチャーとして歪まない仕組みをサービスを形づくるみんなの中につくっていくことが大切なんだと思う。

形づくるみんなというサービスの外堀で、そのサービスをどうデザインするかのバランスをうまく取っていくのが、デザイナーであり、その方法として、今回の記事のようなことを取り入れることができるのではないだろうか。


あとがき


話が長くなってしまったが、貴重なお話を聞くきっかけとして、LINE DEV DAYまで足を伸ばしてみて、本当に良かったと思う。なにせ、お弁当が美味しかったもの。良かった。

気が向いたら、この話の続きでも書こうかと思うが、すぐ書くのはもったいないので、実践を積み重ねてみてから結果も踏まえて書いてみようかとも思っている。いつになるのやら。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。 皆さんから頂く「スキ」とか、コメントとかがとてもうれしいです。 なんだかもう少し頑張って生きることができそうです。 いただいたサポートは、毎日わたしが生きやすい世界になるために使います。 これからも、どうぞよろしくおねがいします。