最強チームのつくり方・序論
自分で言うのもなんですが、私にはカリスマ性があります。しかしながら、カリスマリーダーが采配を振るって組織を動かしていく時代は終わりました。組織をチームと捉えて、これからのチームビルディングの方法論を示していきます。
音声でもお聴き頂けます。幾朗はSDGs推進派です。
多様性・変化・複雑・曖昧への適応性を武器にする
変化が激しく、不確実で、複雑で、曖昧、そんな社会の到来です。
そんな時代に盲目的にカリスマリーダーに付いくようでは、リーダーがコケたらお終いです。カリスマ性なんてものはすぐに陳腐化します。あなたの先頭に立っていた人は、時代の変化についていけず、すぐに消え去るのです。
これからの組織で必要なのは、強いリーダーシップでは無く、以下の4つです。
1.多様性を恐れない
2.変化の激しさをものともしない
3.複雑を単純化する
4.曖昧を明確化する
こういうシナヤカな組織には、得意分野を持った多様な人が集まって、それぞれの強みを出し合い、かつ補完し合って、明確なゴールに向けて、全ての才能が埋め尽くされた万能の組織になって、有機的かつ自由に動いていきます。それはまるで生き物の様に。
繋がりは平面的で、上下関係が無く、縦横無尽
その生き物のようなチームが、他のチームと有機的に繋がっていく、アメーバーのような融合体です。
従来のピラミッド型の組織とは全く違う、平面的な繋がりです。
それが無限に広がっていくうえに、各々の組織は直接つながるので、情報伝達に遅れが生じません。つまり上下関係が無いうえに速いのです。
チームの取りまとめ的なリーダーは存在しますが、リーダーとメンバーの間に上下関係はありません。なぜなら、あるスキルでは上でも、他のスキルでは下だからです。お互いに補完し合うことで出来上がったチームの特徴です。ここでキーワードになるのが「共感」です。それは後で扱います。
ゴールに向けてテーマを設け、そのテーマごとにリーダーを決めます。メンバーは複数のテーマに参加するので、従来の組織で問題となる縦組織の弊害が生まれません。縦組織には横串と呼ばれる他の組織との横断的な人間が活躍するのですが、その人には極めて優秀な能力が求められます。
それに対してアメーバー型チームは、特別秀でている人は必要ありません。
チーム自体が縦横無尽なので無駄なリソース(手間と人と時間)が要りません。むしろチーム自体が形を成さないので、変幻自在と言った方が分かりやすいかもしれません。これをやるのは難しかったのですが、ICTやDXがそれを簡単にしてくれました。
超高速スキルアップのカギは「集合知」
このアメーバー型チームで注目すべきは、集合知です。
従来の組織は、やたらと知っている人がいて、その人をトップとしてチームが構成されました。これからの変化の激しい時代には、逆にそれが不利になります。知(情報やノウハウ)が武器になるがゆえに、知の偏在はその人が陳腐化すると途端にそのチーム全体が終わってしまうからです。
それに対してアメーバー型チームは、得意分野を持った人が集まるので、必然的に各々の専門性や知識は極めて高度です。そして、自分の無いものを持つ他人をリスペクトし、理解し、互いに補完し合い、高め合います。
ここで重要なのは、利害関係無視です。お金をチームメンバー間の価値判断にしない事です。会社なら給料が高いとか、待遇が良いとかいう具合にヒエラルキーを作ってお金でメンバーの心を動かす(操作する)のでが、アメーバー型チームは互いの信頼関係や共感で成り立つので、お金でメンバーの心は動きません。ここがデジタルネイティブ世代(文末参照)のマインドで、ガラパゴス世代には理解不能なところです。
スキルはメンバー間で保管され、強化される
こういう組織は、その中に一度加わると、自分の足らないスキルが、それを持っている他のメンバーと交わることで強力に補完されます。一緒にやっているうちに、スキルが上がるのです。いや、スキルを上げるのです。やり方を盗むのです。
そういう個々にスキルを持ったメンバーが、同じゴールに向かって進むので、常に他の人のやっていることを参考にして自分のやることを決めていけます。互いの判断で最適な選択を同時に行う。そこで活きていくのはICTによるネットワークです。場所と時間を選びません。地球上のどこにいても瞬時に繋がり、集まり、話し合い、結論を導き出します。
これに対してガラパゴス世代は、会議開催通知を出し、参加者の予定を調整し、会議室を予約し、会議が終わると議事録を発行します。
ICTを駆使したDXでは、それらはシステムの中で無意識で進んでいくので、いちいち別に時間を用意してに仕事として構える必要はありません。これがDXの本当の姿です。
ICTを武器にして、誰とでも直ぐに伝える、伝わる。その過程のログが自動的に残り、後でトレースできる。トレースできればシステム化できるので、システムをAI化する。DX(デジタルトランスフォーメーション)と呼ばれるものです。
いまだ完成されたDXシステム(パッケージ)は存在しないので、現段階では既存のICTを駆使して、AI化を視野に入れたDXに直ぐに移行できる最強チームのつくり方を提案していきます。
1990年代のボイスメールの経験が今に生きる
組織というのは、突き詰めると、情報伝達と意思決定です。
DXの対極である人間系の組織では口頭や文字での伝達が主だったので、情報伝達は伝言ゲームとなり、情報は劣化コピーされたうえに直ぐには伝わりません。どこかで滞留したり遅延したりして、機会を逸します。
文字で伝えれば伝わるでしょうと思うかもしれませんが、日本語はハイコンテクストなので曖昧模糊としていて、物事を正確に定義するのには向かない言語なのです。それに対して音声は文字による行間の足らない情報を補完します。
ここで過去の経験が活きます。インターネットが未熟だった1990年代に私がいた米国IT企業では、ボイスメールという電話でのメールボックスサービスを使っていました。やっと携帯電話が個人に行き渡った時代です。それを使って意思決定は、早ければ30分程で行われていました。ゆえにメンバーは30分に一度は携帯やデスクの電話でボイスメールをチェックしていました。インターネットより断然速かったからです。
必要な情報は音声によって関係する全員に届きます。そのメッセージはトップの判断を仰ぐものであること、そして関係する人にしか送られないので、関係者全員はトップの判断へ意識が集中します。情報は地球のどこにいても、ボイスメールで同時に伝わります。(もちろん相手の生活時間は尊重します)
音声はテキストと違って時間当たりの情報量が多いので、素早く伝わります。文字を打つ必要もありません。慣れてくるとボイスで残す「話し方」の要領を得てくるので、結論から話すことに慣れていきます。
信頼関係が出来上がったチーム内では共通認識があるので、一定のコンセンサスが常に得られていて、直ぐに理解し合えるので意思決定も早いのです。
自分のスキルに自分で驚く
話をアメーバー型チームに戻しましょう。
チームメンバーとしてスキルを上げた後に、あなたが外の組織に出ていったとき、それは無敵の才能となります。前の組織にいた時には気付かなかったが、外に出たとたんに「私ってマジ凄い!」と気付き、能力開発されたことに気付きます。
そういう短期参加型組織は、当然のことですが、人気を集めます。その組織は、会社でもNPOでもサロンでも、何でも良いのです。
例えば会社を例にとれば、あなたが会社を「卒業」して新しい会社に移った瞬間に、次の職場で他を圧倒するパフォーマンスを発揮することに、自分自身が驚くことになるのです。
これは、ひと所に長く留まる従来の仕事のやり方であるメンバーシップ型とは異なり、ジョブ型と呼ばれるものです。プロジェクト型と言っても良いでしょう。短期間でスキルアップできる魔法のような方法です。イメージできたでしょう。
そこで使われるカギとなるものがICTです。いつでも、だれとでも、すぐに繋がる。組織の垣根を簡単に超えていく。上下関係を意識しない、デジタルネイティブ世代には必須の環境です。ガラパゴス世代はそこには居ません。ICTを自在に使いこなすことが基本資質になります。
集合知を活かした最強のチームが出来上がる
プロジェクトに加わり、そして離散していく。また違うプロジェクトに加わり、スキルを上げて違うプロジェクトへ移っていく。集合離散を繰り返すことで、スキルはどんどん積みあがっていきます。
たとえば雇用という事象においては、終身雇用が無くなりつつあり、即戦力を常に求められる現代社会で、キャリアの裏付けのスキルにおいては、短期間でスキル習得するには、もう他の選択など残されていないのです。
今後、履歴書というのものは意味をなさなくなり、どんなチームで、どんなテーマで、どんな成果を出したかが問われます。性別も、年齢も、学歴も関係なくなります。人事においては、アウトプットでその人の存在が測られます(私はその世界にいました)。
こうしてチームとしての集合知を活かしたメンバーのスキルアップにより、短期集中で強力なチームが出来上がります。
共通認識としての価値観団が共有されているので、一気にゴールへ向かうことができますから、従来のスキルアップとコンセンサスに時間のかかるやり方とは一線を画する無敵のチームの誕生です。
こういう価値判断が、全てのチームビルディングに応用されて行きます。
意識の変革を自らの中に起こす
画一的なという理想、普遍的な価値、そういったものが吹き飛んだ現代において、日々変わって行く価値観に対応するには、変化し続ける組織しか生き残れない、そう私は考えます。
オトコ社会が限界を迎えたいま、LGBTQを包含し、全人類的に人種の壁を越えた組織にせざるを得ないのは、異論のないところでしょう。このマークを思い出せば、誰もが「やらねば!」と心が動く。
ところが、やろうと思って腰を上げたはいいが、
「どうやったらいいの?」
という所で、クルクルとその場回転しているのを見るにつけ、老婆心ながら一肌脱ぐかなと、思い立って、ここに具体的なやり方を示すことにしました。
実は、それは簡単なんです。
次代のチームのつくり方は簡単
テキストはこの本を使います。これからのチームビルディングは、この尾原和啓さんの本「モチベーション革命」の第3章にある「最強チームのつくり方」を使って幾朗流にアレンジします。この本に示されたやり方が、デジタルネイティブ世代が世の中の中核をなしていく今後の主流になっていくでしょう。
では、具体的にどうやるのか、第3章をアレンジして実施します。内容としては、こんな感じです。
・変化、不確実、複雑、曖昧、を強みに変える
・理想は「ゴレンジャー」
・ダイバーシティが究極の武器になる
・人種、性別、年齢が違う方が有利
・ストレングス・ファインダーで自分を知る
・ストレングスを補完し合う最強チームを作る
・偏愛マップで互いのパーソナルを知る
・自分のトリセツはメンバーを助ける
・違うことが強みになる
・変化のスピードには「信頼」を使う
・WHYを共有していくマネジメント
・心理的安全性:お互いの心遣い、配慮や共感
そして副読本は、こちら。「amazonのすごい会議」です。
この中で活かすべきは、ナレーティブ(またはナラティブ)です。パワーポイントは捨てましょう。対話する、これがこれからのトレンドです。
次回はこの2冊を使って、具体的なやり方、
をお話します。
ではでは
三川屋幾朗@mikawaya1960
『公共メンター』https://menta.work/plan/954