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クロッキーを一年間した話

1年間クロッキーをやってきました。

そのときに、何を考えていたかの話です。
ポーズマニアックスを使っての人体クロッキーをしてます。

余談
2023年4月から8月までの5か月間。
2024年8月から今(2025年1月)まで6か月間。
クロッキーをやってた期間はこの計1年です。

この空いた期間はクロッキーをやっていませんが、特に理由はありません。
2023年8月から11月まで、Unityでゲーム制作したりして、絵自体を描かない期間がありました。
絵を描き始めて1年が経ち、絵を描くモチベーションが下がってしまったときでした。

皮肉なことに、この絵を描かない期間が今まで一番絵が成長したときだと思ってます。
絵を客観視できるようになったんでしょうかね。
この話はまた別のときに。


クロッキーを始めたきっかけ

イラストレーターのインタビュー記事を読んでたとき。
どういう過程を経てイラストが制作されるのか、そういう記事を読んでたときに「ラフ案」という言葉とその画像が出てきました。
いろんなシチュエーションで様々なポーズをとった人物のラフ(下書きの絵)が描かれてました。
複数の案を出し、吟味し、選ぶ(選んでもらう)。そういう話でした。
そのときに「ラフ案」というものを知りました。

自分はそれまで、思いついた構図、思いついたポーズを、その思いついた一つだけをそのまま描いていましたが、「なるほど!これはイラストレーターには必須技能だな!」と気づきました。
当たり前の話です(笑)

じゃあ早速…………とラフ案(複数の案)を描こうとしたのですが、何もポーズが思いつかなかった
第一歩で躓きました。
これは経験不足、知識不足、まず様々なポーズを知る必要があるなと思いクロッキーを始めました。
ポーズマニアックスを使ったり、YouTubeでポーズを調べたりの人物クロッキーです。

始めたての頃のクロッキー(画像)

2023年4月
2023年5月
2023年7月

2023年4月・5月・7月のクロッキーです。
時間は1分~3分でやることが多かったと思います。
見てわかる通り、すぐに成果が出るということはないです。

今のクロッキー(画像)

2025年1月(30秒)
2025年1月(90秒)

これは2025年1月に描いたクロッキーです。
30秒で描いた方は平面的な形を意識して描き、90秒の方は立体を意識して描いてます。
この頃立体的に考えるのを止めて感覚で形を描くということに慣れようとして、30秒の方は平面的な形を捉えて描くことを意識しています。

始めたての頃のクロッキー(2023年)と比べて劇的な変化はないですが、少しは成長してると自分では思っています。

試したこと

クロッキーとはどういうものか、どういう効果があるのか分からず、様々なことを試しました。
今はどう思ってるのかを書いていきます。

立体感を身に付けたい

結論を言うと、クロッキーでは立体感は付かなかったと思います。
クロッキーとは、短時間でシンプルに描くことです。
なので、そもそも立体的に描くのには向いていないのです。

・シンプルな線で構成されるので、立体感があっても無くても、然程出来栄えは変わらない。

・時間に急かされて、綺麗な線は引けません。
なので、線が汚いのか、立体感がないのか分かりにくい。

・人体はポーズによって形が変わるので、答え合わせが難しい。

つまり、おかしな箇所(改善点)を見つけにくいと思うのです。

体の比率を意識する

体の比率やバランスがおかしくならないように練習するのに、クロッキーは適していると思います。

当時は頭から描いていました (今も基本そうですが)。
胴体、脚と描いていくとバランスがおかしくなっていきました。
胴体を描くときは頭を見て、脚を描くときは胴体を見て描くといったように直前に描いたものを参考に描いているので、どんどんズレが大きくなってしまってました (フィボナッチ数列みたいですね、知らんけど)。
当時はこれを体の比率が分かってないから、おかしくなるんだと思っていましたが、間違いでした。
体の比率を分かってないのではなく、全体感を見て描けてなかったからという別の問題でした。

どこからどこまで線を引くか想像しながら全体を見る→線を引く時に部分的に見て描く、を繰り返す。
線を引くことに集中してしまうと、視野が狭まり一部分しか見えなくなってしまいます。
意識的に全体感を見るように心掛けると、体のバランスが崩れるにくくなります。

イメージして欲しいのは指揮者と演奏者です。
指揮者は全体を見て指示を出し、演奏者はその指示(リズム?)を元に音を奏でます。
線を引くことだけに集中し視野が狭まる状態というのは、指揮者がいない状態です。
演奏者は自分のリズムだけで音を出します。
それっぽいものは出来そうですが、全体に指示を出す者がいないとリズム(バランス)が取れていないものが出来上がるはずです。
つまり、指揮者の求められる役割は客観視をすることです。
(演奏者の役割は線を引くこと/手を動かすこと)
現場監督と作業員と例えてもいいですね。まぁなんでもいいですね。

全体感を見て描くということは、体の比率やバランスが崩れにくくなること。
体の比率を意識することに繋がると思います。

気付いたこと

線をゆっくり描く

※自分は板タブと使っており、液タブを使ってる方には当てはまらない話かもしれません。

人体は曲線で構成されており、上手く曲線を描くにはコントロールできる速度で線を描くことだと思いました。

「まっすぐな線を描く方法」や「綺麗な線を描く方法」など、デジタルで絵を描き始めた時に全ての人が必ずと言っていいほど調べることでしょう。
よくあるものとして「素早く線を引く」というのがあります。
確かに綺麗な直線的な線が描けますが、コントロールが難しいものでした。
YouTubeなどで漫画家やイラストレーターの方の手元の動画などで、線をサッサッと描いている様子があり、かっこいいなと思います。
ですが、それを憧れて真似をするのは間違えていると気付きました。
大事なのはその線がコントロールできているのかどうかです。

例えば、野球のバットを振ったことがあるでしょうか、野球部だったり、バッティングセンターだったりで。
テニスやバトミントンでもいいですね。
遠くに球を飛ばしたいと思ってバットを思い切りフルスイングしても、そもそも球に中々当たりません。
そういうことです(適当)。
コントロールできる7割8割ぐらいの力でバットを振るのがいいと思うんです。
それぐらいの力でも球は結構飛ぶと思うんですよ、知らんけど。

自分は必要以上の速度で線を描いていました。
筆圧も最低限の方がいいと思いました。

クロッキー始めた当初は肩肘を張り真剣にやってましたが、それだとただ疲れるだけだと気が付きました。
無駄な力を抜き、リラックスです。

余談
ペンの持ち方によってゆっくり線を引くのがストレスだったりします。
自分は結構ペン先の方を持っていたので、ペンを少し長めに持つことにしました。
そして、文字を書くの時とは違い、ペンをしっかり持つ必要はないので、軽く持つようにしました。
この2つで自分の思った通りにペンを動かすことができるようになったと思います。

体の簡略化を知る

体を単純化する形として知るとクロッキーがしやすく、楽になりました。
しやすくなったというより、必要以上に考え過ぎなくなったというふうに思います。
立体的な体のアタリの描く感じです。
自分で見つけてもいいですし、調べてもいいと思います。

例えば、(脚ではなく)足を簡略化して描くと、四角の時と三角で描く時の2つあることに気が付きました。
「今回の場合は三角」「今回は四角」とパッと見て判断して、深く考えていません。
クロッキーなので、シルエットが大体あっていればいいと自分は思っています。

そういう簡略化した形を何度も試し描くことで、シンプルな形で体が見えることだと思います。

ちなみに、始めたての頃のクロッキーの5月の画像は、あれは特に効果はなかったと思ってます。
あの円柱で体を描いているやつです。
クロッキーってそういう立体感を考える感じではなく、(なんだかんだ誤魔化しながら)シルエットを描くものだと思うので、クロッキーでやるものではないと感じました。

今は何を考えているのか

全体を見ることを意識して、感覚的に描く

全体的なバランスが崩れないよう全体を見ることを意識し、ただシルエットを描いているだけといった感じです。
それを感覚だけで描く(人体の比率を考えずに)ようにしているので、人体クロッキーじゃなくてもいいのではとすら思ってます。

なぜ感覚で描くことを意識しているのかというと、立体感というものを意識しすぎたせいで感覚的な部分が疎かになってしまっていたと感じたからです。

自分はアニメ調の絵を描くのですが、その時に気になるのが「形に立体感がない」「この形おかしくない?」「パースが~」と立体感のことばかりです。
絵を描き始めたときから、立体感のことばかりだったと思います。
子供の頃、感覚だけで描いてたあの感覚がどこかにいってしまったのです。
(自分はよく分かってないのですが「右脳」と「左脳」とかのあれです多分)
その感覚を取り戻すために感覚的に描くことを意識しています。

時間は必要ないので、30秒でクロッキーしています。

思った通りの線を描く

絵を描く前の準備運動としてクロッキーをしています。
思った通りの線を引ければいいなぁって緩く考えてます。
ただ一番の目的はただなんとなく手を動かしたいからです。

余裕を持って、これは90秒でクロッキーをしています。

クロッキーの人数は特に30体に設定してますが、なんか面倒くさくなってきたら適当なところで止めてます。

結論

クロッキーとは「全体感を見る練習」だと思いました。

最後に

クロッキーって人それぞれあると思うんですよ。
アクションライン(体の流れ)を見る方、フォース(体の勢い)を見る方、雰囲気を描けてるか見る方。

ただ何か成果を求めてやるような効率がいいものではないと思います。
今持ってる土台を固めたり、維持をするための習慣というふうに思っています。
習慣と言いながら自分は毎日必ずやってるわけではないんですけどね。
なんかやらなくてもいいかなって思う日もあるので、その時はやりません。
気軽さを重視してます(笑)

クロッキーを始めたきっかけの「(様々なポーズをとった)ラフ案」が思い浮かばないという話ですが、人物のポーズを考えるのではなく、シチュエーションを考えると人物のポーズが思い浮かびやすいということに気付きました。
ただシチュエーションがない絵はポーズが思い浮かばず、まだ苦手です。
クロッキーのおかげというより考え方を変えたいうことです。

今は線だけで描いていますが、陰影を描いたクロッキー(?)に挑戦したいなと思っています。
昔はクロッキーが結構疲れるものだったんですが、今は気軽にできるまでハードルが下がりました。
陰影を付けたりしたらそのハードルが上がってしまいそうで怖気ついている今日この頃です。

自分にとってクロッキーとは、ラジオ体操などと同じただの準備運動です。
それぐらいやる意味を問うものではなくなりました。

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