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ペーパーレスからの逆行。

12月16日は『紙の日』でした。
1875年のこの日、「抄紙会社(のちの王子製紙)』が東京・王子で工場の
営業を開始したことにちなんだのだそうです。

……ということを
歌手の大月みやこさんのラジオ番組を聴いて知ったのですが
大月みやこさん曰く
最近は新譜の譜面もタブレットに送られてきて
「紙の譜面が欲しいんですけど……」
と伝えると、タブレットの譜面をプリントアウトして渡されるのだと
あの大月みやこさん独特の、おおらかな明るい声でびっくりしたように話されたから
ちょっと笑いました。
昔は作曲家の先生が直接書いた譜面を頂いていて
作曲家によっては、とても個性的な譜面の書き方をされる人もいたけれど
直接書いてくれた譜面を頂くのが楽しみだった……とおっしゃっていて
こういうの、すっごく分かるなーと思いました。


今はイラストの納品もデータをメールで送るようになりましたが
昔は原画をクライアントに持って行ったり、宅配便で送ったりしていたので
原画にかけるトレーシングペーパーや梱包の仕方、
添えられている一筆箋の文字、脇にちょっと描かれたラクガキなど
そういうものに人柄が垣間見られて面白かったです。
私の会社時代の上司などは
イラストの仕事はもちろんですが
原画の梱包も、ぴしーっときっちり綺麗に仕上げるというこだわりがあって
たとえば
白い封筒なら白いガムテープ、茶色いクラフト用紙なら茶色のガムテープ
が絶対、必須でした。
「ガムテープ、ちょっと取って」
と言われて、テキトーにその辺の茶色いガムテープを渡したら
「君ね、白い紙に茶色のガムテープは綺麗じゃないでしょ?」
と即諭されて、あー、なるほど!と思いました。
しかも、受け取った相手が剥がしやすいように
端を山型に切って貼るという芸の細かさも見せていました(私も即まねました)。


さて。
私はスマートフォンという物体がどうも好きになれないので
ガラケーを使っています。
使ってるというか、緊急時の連絡用と二段階認証のために所有してるだけですね。
なので、どこかへ出かける時は
まず自宅のパソコンで、行き先の地図や電車の乗り換えを調べて
プリントアウトして用意します。
紙の方がいろいろ書き込めるし
自分の字やマーク、好きな色のペンで書き込むので
自分で見て分かりやすいのが良いところです。
あと。個人的には、機械のデバイスより
紙を手に持ってる(紙の地図を片手に道を探してる)絵面が好き
というのもあります。

迷いに迷った出光美術館と子規庵の痕跡。


東京に行く時も、こんな感じです。
いつもリュックに忍ばせていく「TOKYO COMPETE MAP」も
東京に行くごとにいい感じにクタッとなってきて
こういう変化も紙の好きなところです。