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男たちよ! もっと元気になろう。#国際男性デー

男を研究するアンドロロジー

男性医学の父・熊本悦明の言葉を国際男性デーに紹介したい。これは2011年のものである――

「複雑で理解しがたいもの、それは女なり!」、世の男性はこう思い込んでいるようだが、果たしてどうだろうか。

考えてみると、昔から医学的にも文化的にも、女性研究はかなり進んでいるが、男性研究のまとまったものはほとんど見当たらない。それは社会的存在から言っても。生理条件においても、一見単純に見えあまり興味をそそらなかった為なのであろうか? とくに医学的な研究の遅れは著しかった。

その最大の理由は、最近まで男を男たらしめている男性ホルモンの測定が難しく、一般臨床における個々人のデータ作りが進まなかったためといえる。

また、妊娠出産を役目とする女性を中心に性の生理が教えられ、男の生理は性交渉時の勃起・射精と考えて、何か「セックス・アニマル」のような発想でしか捉えられていなかったからかも知れない。

男性ホルモンがどのように身体・心理に男らしさを創っているのかが、医学教育の教科書にさえほとんど記載されていなかった、医学界ばかりか、文学でも同様に、女性偏重の傾向は否めない事実である。

しかしながら、男性医学の研究も、躍進する女性医学の後を追い、最近ようやく体系づくりが行われるようになってきた。

男性の権威が落ちてきたことで、振り子が逆にふれて、男女平等が叫ばれるようになってきたのだ。そこで、女と比較しながら改めて「男とはなんぞや」と基本的な所から男を見直そうと、ようやくなってきたといえよう。医学生物学的にしっかり分析がはじまると、今まで検討されてこなかった色々な問題が浮かび上がり、女以上に男の生理の難しさが明らかになってきている。

高齢化社会が急速に進み、更年期を過ぎた60歳以上の男性たちが増えてくると、今までのような「セックス・アニマル」的な存在という単純な理解だけでは、長寿化社会の支えることは不可能だとようやく理解されはじめたのだ。

中高年男性のメンズヘルスを活性化することが急務とされ、最新の医学的知見にもとづき、男性ホルモン学の視点から男を見直す研究が加速しはじめた。
中高年男性がいつまでも現役で活躍していかねばならない時代はやってきており、その世代の男性を医学的にサポートするメンズヘルスが、今こそ求められている。

1979年からスタートした読売新聞連載の第一回目。生涯を男性医学に捧げたのだと改めて。

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