さよならテイカーの友達

自分はギバーかテイカーのどちらかというと、ギバーだ。
ギバーの中での選択的ギバーだ。自分に良くしてくれる人には、誠実に付き合うタイプ。めんどくさいなあとか疲れるなあと人と思う人には、あえて距離を置く方。
自分は見返りを要求してばっかの人のテイカーが嫌いだ。お金クレクレとか連絡クレクレとか、暇人で学のないテイカーが嫌いだ。
テイカーって、人の時間やメンタルを消耗させる嫌な奴だと思う。
かまってちゃんは大体テイカー。最近になって寂しい中年男性のお金を騙し取る頂き女子りりちゃん逮捕で話題になっていたのを思い出す。

頂き女子はテイカーと思っていいだろう。色恋を利用してお金を奪い取るテイカーが増えているそうだ。優しいギバーを言葉巧みに操り、金銭搾取するテイカーの卑怯さに怒りを覚える人も多いだろう。
自分ももインターネットを使って創作活動を始める様になり、色んな人間とやり取りしたけど、良い人もいれば嫌な奴もいた。
学があってちゃんと仕事している人もいれば、精神障害持ちのかまってちゃんの人もいた。実は自分は精神障害持ちのかまってちゃんのテイカーに色々嫌な目に遭わされた経験がある。その事をエッセイにしようと思う。


自分が講談社フェーマススクールズに受講していた時、文通コーナーで知り合った金沢さんという岩手県一関市にある神社の神主さんの娘さんで、当時小学六年生だった息子さんを持つシングルマザーの女性だ。

金沢さんは、自分より十歳くらい年上で、絵を描くのが好きな人だ。
初めて金沢さんから手紙を送られて、封を開けて「李衣さんは、どんな絵を描いているの? 今度送って下さい」との一言から始まっていた。
あれ? この人は自分の名前を名乗らないでいきなり絵を送って欲しいって、どうなっているんだろう? と思い、あえて返事を返さなかった。
素性を明かさずに絵を送ってくれって、どんな礼儀作法を習ったのかなと、モヤモヤしていた。

それから一週間後に再び金沢さんから手紙を送られて、「私は金沢です。息子を育てながら絵を描いています。岩手県にある神社の神主の娘です。神社の掃除をしてお給料をもらっています。私は李衣さんとお友達になりたくて手紙を書きました。どうかお返事ください」と書かれてあった。

神社の娘か―。まあいい家柄の人なんだろうから怪しい人ではなさそうだなと、思った。自分は初めて金沢さんに手紙書いて、自分が描いたイラストを添付して送った。

すると一週間くらいで返事が届いて、金沢さんの手紙には「李衣さんのイラストって綺麗ですね。うちの母もあなたのイラストを褒めていました。私は李衣さんとイラスト交換したいです。お願いできますか?」と書かれていた。
まあ、この人は自分の絵を喜んでくれて嬉しいなと思った。当時の自分はあまりリア充な生活ではなかったので、褒めてくれる人を欲していた。

自分を褒めてくれる金沢さんに好感を持って、「自分も金沢さんみたいな優しい友達が欲しかった」と、返事を書いてそれから金沢さんと友達付き合いすることになった。

金沢さんは、息子さんとご両親と弟さん夫婦と甥っ子三人と、妹さんと一緒に住んでいる。金沢さんの実家の神社は、結構大きくて裏山を持っているそうだ。金沢さんの神社は、色んな地域の人のご祈祷や交通安全のご祈祷などの収入で結構潤っているそうだ。プリウス三台分の月収があると言っていた。
彼女は、海外セレブとシャネルやグッチなどのハイブランド物が好きで、カタログ通販でハイブランドのバッグや財布をクレカの分割払いで購入していた。後、金沢さんは可愛いモデルの女の子が好きで、ニコラという雑誌を良く買っていた。ニコラに掲載されているモデルさんにファンレターを送っていたと聞いた。
金沢さんと電話でやり取りしていた事もあった。彼女は携帯電話が昔は持っていたが、出会い系サイトで十人以上の男の人と出会って、パパ活していた。その中の既婚者の男性と付き合っていたが、フラれて妊娠されて未婚のシングルマザーとなったと、言っていた。

親から携帯電話禁止と言われて、家の固定電話で連絡を取るしかないと、ゆっくりとした言い方だった。
実は金沢さんは、結構複雑な過去を持っていた。彼女は小学校三年生の授業の内容が分からず、難しい漢字を書くのと、算数が理解できないと言っていた。知恵遅れで特別支援学級に入れられそうになったと、笑って言っていた。
金沢さんの親も彼女が最初の子だったというのもあって、甘やかされて育てられたそうで、自分の欲望を我慢するのが出来ないと言っていた。

彼女は、イオンとかで買い物する時、欲しいものは全部買い込むそうだ。
オモチャも服も両手いっぱいになるまで買い込まないと満足しないと言っていた。まあ、地方は店が少ないからまとめ買いしないといけない風潮があるそうだ。たくさん買い物できるから、学校の同級生が嫉妬して靴を隠されたことがあったと言っていた。金沢さんは学校の同級生の事を今でも憎んでいるそう。金沢さんが高校に入学した時、高校の同級生たちに階段を落とされて、イジメのトラウマを今でも思い出すと言っていた。
イジメ被害を受けた金沢さんの精神が追い詰められて、妄想が激しくなって非行に走って行く。非行に走った金沢さんは、いろんな店で万引きをするようになって、警察に補導されてしまった。金沢さんはお店でお菓子やCDを30回くらい万引きして、警察や親に叱られたと言っていた。

30回万引きやったら、未成年でも刑務所行きだろ! と、私は突っ込みたかったが嫌われるのが怖くて怒れなかった。
色々トラブルを起こして、東北医科薬科大学に検査を受けた金沢さんに「統合失調症」と、診断された。大学病院に行く前までは、狐に憑りつかれたと、ご両親に埼玉県や奈良県まで行って、霊媒師に除霊をしていたと、金沢さんは言っていた。狐に憑りつかれたって、江戸時代かよ! と、金沢家の古い考えに自分はドン引きした。

入院とかして少し症状が良くなった金沢さんは、絵を学びたいと、講談社フェーマススクールズの通信教育の受講を始めたと言っていた。
フェーマスの先生は、優しいと言っていた。

金沢さんは、一人じゃ寂しいから親に携帯電話を買ってもらって、インターネットの出会い系サイトにふけるようになった。出会い系サイトで色んな年代の男の人達と宮城県や東京で遊び歩いていた。色んな男の人と食事に行ったり、ホテルに泊まってお金をもらって小遣い稼ぎしていたと言っていた。

金沢さんは今でいうパパ活をしていた。実家がそれなり裕福なのにそんなに金が欲しいのか、理解不能だ。一緒に遊べる同世代の女友達がいないから男の人と遊んで金を稼ごうって、普通の神経ではないと自分は思った。

彼女は不義の息子を生んで、未婚のシンママとして生きているが、ご両親もそんな娘を許せるなんて常人にはあり得ないと思う。

パパ活なんてリスクあるだろ! だって、北朝鮮のスパイに誘拐される可能性あるし、プチエンジェル事件のようになる可能性あるんだから!

金沢さんは、想像力がなさすぎだ。妄想する癖にそういう危機感センサーが働いていない。ディズニープリンセスみたいに綺麗なものに囲まれて、カッコいい王子様とラブラブしたい夢見る夢子だ。
統合失調症って自分を律するのが苦手らしいから、親やきょうだいも彼女を管理してあげる暇がなかったのかなあ。

買い溜めも統合失調症の症状の一つらしい。クレカを持っていると、すぐ使いたくなるから気を付けた方が良い。

自分はそんな彼女に最初は同情していた。色々力になりたいと思い、イラストを送ったり誕生日プレゼント贈ってあげていた。見返りは求めていない。
金沢さんは手紙で「イラストを送ってくれて嬉しい」とか、「あなたみたいな優しい友達がいて幸せです」と、書いてくれるからこっちも嬉しくなる。

しかし、自分が創作活動に専念したくて、彼女との連絡のやり取りを減らすことにした。「自分はプロ作家になるために作品をたくさん描くので、しばらく連絡取れない」との趣旨の手紙を送った。
すると、彼女からの返事が届いて、「李衣さん、私の事嫌いなの? 私、一人ぼっちは嫌なの」と、わがまま言われてしまった。
彼女からの電話も毎日十回は掛かって来て、「今どうしているの? 私とお話しして」と、自分に頼んでくる。

「こっちは、作品を書きあげないと賞もらえないんだから、作品書かせてよ」と、断りの電話したら、金沢さんは「何でよ。ずっと友達だって言ってたのに。嘘つき。私、今すぐ死んでやるから」と、唸るような声で言ってきて、自分はちょっと困って「や、やめてよ。ちょっとだけお話ししよう」と、金沢さんをなだめたことが何度もあった。
金沢さんは深夜になっても自分に電話してきて、彼女が長電話するからスマホの通話代が8000円になってしまって、自分の家計が火の車になってしまった。

「今度、あなたのコンペのイラストのコピー送ってよ」
「あなたのSNSのアカウント教えてよ」
「今度、李衣さんの家に行きたいんだけど」
「李衣さんの絵描き友達紹介して」

彼女はしつこく自分に要求ばかりしてきて、作品書く時間が潰されて睡眠時間も取れなくなってきて体も心も慢性疲労になっていく。

金沢さんが話す事は、今日は岩手県内の温泉に行ったとかイオンでぽっぺちゃんのおもちゃ買ったとか、焼き肉屋で三人前食べたよとか、自分語りばかりだ。彼女は人の話を聴こうとしない。ただ構って欲しいだけだ。
金沢さんは、傾聴というものを知らない様だ。読んだ本を皆で議論する機会も無さそうだから、コミュ力がない。
一緒に遊んだ男の人たちは、彼女のどこが良かったのだろうか?
彼女は男の人と寝る時は、猫なで声を使うそう。かわい子ぶりっ子で男を弄んでいたのか。そりゃ、同性からイジメられるわ。

女の人はぶりっ子を嫌うのは、当たり前。そういう奴ほど人を裏切るというのを本能で知っているからね。

彼女は地元のママ友の交流が一切なく、親に息子の学校行事に行くなと止められているそうだ。もしかしたら、金沢さんの男癖が悪いのを地元の人が知っているからじゃないのかと思う。

彼女が頼れるのは親ときょうだいくらいしかいないのか。それは寂しい人生送ってるなと思う。

金沢さんに「私と絵と文章の仕事どっちが大事なの?」と、聞かれて自分は「どっちも同じくらい大事だよ」と答えた。
それを聞いた彼女は「ふざけんな! 私は神の末裔だぞ! 私の方が大事だと言えよ!」と、書きなぐった文字で返事を返されて自分は本当に嫌な気持ちになった。

彼女が神社の神主の娘だからって、そう強要されてもこっちは時間と精神を消耗して答えられない。

金沢さんとの友達付き合いは、最初は良かったけどだんだんおかしくなってもう金沢さんと付き合いきれなくなった。

例の感染症が流行って自粛ムードの時に、YouTubeでGIVE&TAKE与える人こそ成功するという本要約の動画がおすすめの表示されていて、自分は試しにその動画を観た。
第一にGIVER(与える人)、第二がTAIKER(受け取る人)、第三がMACHER(ギブとテイクのバランスをとる人)が分別されている。

要するにギバーは他人に優しい、テイカーは見返りが欲しい、マッチャーは助けたりしっぺ返ししたりすることもあるという事か。

自分は人を喜ばせたいから、金沢さんと仲良くしようとしていた。
金沢さんも自分の事を信用はしていた。
金沢さんは、友達がいなくて寂しいから構って欲しかった。

自分の欲望が止まらない金沢さんは、オモチャやハイブランド物、美味しい料理に目がない。それを手に入れる為なら何でもする。だから人を試すこともある。

どうやら自分はギバーで金沢さんはテイカーと分類されるのか。

テイカーは何でも欲しがって、万引きとか詐欺を働くのかと思う。
彼女は神社という特殊な環境で育ったから、色々抑圧されている可能性がある。罰当たりな事してると神にそっぽ向かれるから。

神社の神主の子供が万引きで警察沙汰になるなんて、あってはならない事じゃないか。テイカーの人がいる神社なんてご利益無いぞ!

金沢さんみたいなテイカーと一緒にいたら、このまま自分がだめになると思い、自分は手紙に「自分はこれからアメリカ合衆国に移住して、もう日本に帰らない。今日の夜に飛行機で出発するので、アメリカでの生活が落ち着いたら手紙を書きます」と、うその内容を書いて金沢さんに送った。

それから、金沢さんの電話番号を着信拒否設定して電話をブロックした。

そしたら、毎日の様に送られた手紙が全く送ってこなくなり、電話もパタッとかかってこなくなった。

もう金沢さんと完全に縁を切る事が出来たと、自分は喜んだ。

アメリカに移住すると、嘘をついたおかげでテイカーと縁を切れた。
テイカーと縁を切るには嘘をついてでもしないと、縁切れないんだなと感じた。

もう金沢さんに手紙を書かないし、電話しない。そう決めてから半年後に現代詩の公募で入選するようになり、体調も良くなった。

金沢さんのせいで自分の運気が下がっていたことが分かって、金沢さんと縁切って運気が上がってよかったと思った。

やっぱりテイカーはサゲマンなんだなあと思った。テイカーと付き合うと運気も健康もお金も時間も無くなるんだなあと、改めて感じる。

自分の好みとしてある程度お金があって精神的に自立して、学のある人が良いなと改めて分かった。
フェーマスもテイカーの人入学させるなと、怒りたい。

自分は知らない人と付き合う時は慎重になりたい。今の世の中は危険が多い。情報屋インフルエンサーや怪しい外国人、政治屋やゴシップ好きな人は付き合わないようにする。
皆もテイカーには気を付けて欲しい。




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