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7月11日週【中途採用市場動向】
企業動向
新卒・中途採用では、RPAやAI解析などのHRテクノロジーを「全く利用していない」企業が過半数
新卒採用では、HRテクノロジーを「全く利用していない」企業が64.2%
中途採用では、HRテクノロジーを「全く利用していない」企業が69.5%
新卒採用でRPAやAI解析などのHRテクノロジーを活用しているか聞きました。最も多かったのは、「全く利用していない」で、64.2%でした。HRテクノロジーを利用している企業では、「適性検査・能力検査などの各種試験実施」(24.3%)「応募者管理」(18.5%)などの工程で活用していました。
中途採用担当者にも同様の質問をしたところ、「全く利用していない」が69.5%で、新卒採用同様最も多い回答でした。利用している工程も、多い回答から「適性検査・能力検査などの各種試験実施」(19.1%)「応募者管理」(17.6%)となっています。
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飲食・フード系求人数、計測史上最高値を更新【2022年6月度 正社員平均月給・求人数レポート】
〇2022年6月度 トピック
6月度の全国正社員求人数は175,532件(前月比+8,436件、前年同月比+60,276件)。「飲食/フード」系では求人数1,685件と、コロナ以前を含む計測史上最高値を更新。
6月度の全国正社員平均月給は271,334円(前月比-536円、前年同月比+7,384円)で前月から0.2%減少、前年同月から2.8%増加した。
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転職サービス「doda」、「転職市場予測2022下半期」を発表ほぼ全ての業界で求人数が増加し、転職市場は活発化の見込み
2022年下半期の転職市場は、新型コロナで加速したIT化・DX推進を中心に採用が活発化し、“追い風”が続く見込み
2022年下半期の転職市場全体における求人は、全14分野のうち13分野で【増加】、1分野で【変わらない】と想定しており、市場全体で活発化する見込みです。
求人増加の背景には、各業界で進んでいるIT化・DX推進があると考えられます。新型コロナウイルスの影響を受け、ビジネスの非対面化・オンライン化が進み、企業は新しいビジネスで収益を出すことが求められるようになり、IT化・DX推進を担える人材の需要が高まっています。
さらに、建築・土木業界の労基法の猶予期間終了(2024年4月から時間外労働の上限規制適用開始)、製造業の団塊ジュニアの引退、さらにはメディカル(医療業界)の品質管理の強化などを受け、これらの業種でも採用が活発化するでしょう。
【01】IT・通信(ITエンジニア) https://doda.jp/guide/market/001.html
・「2025年の崖」回避に向けたDX推進や、スタートアップ支援、デジタル支援が盛り込まれた政府の「骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)」などを背景に、ITエンジニアの需要は今後も高まり続ける見込みです。
・アプリ系エンジニア、インフラ系エンジニア共に採用ニーズが高まり、インフラ系エンジニアでは、社内SE、ITコンサルタント、SIer、SESにおいて、サーバー、ネットワーク、クラウド、セキュリティなどあらゆるジャンルで求人が増加傾向にあります。
【02】電気・機械(製造エンジニア) https://doda.jp/guide/market/002.html
・新型コロナから回復している企業の増加を背景に、さらには今後10年ほどで訪れる団塊ジュニア世代の引退を見据え、採用ニーズは高まる兆しが見られます。
・経験、未経験者ともに採用ニーズが増えており、語学力やマネジメント力を有する人材、電気・ソフトウェア領域のエンジニアの需要が特に高まる傾向にあります。
【03】建築・土木 https://doda.jp/guide/market/003.html
・2024年4月からの「労基法改正の猶予期間終了」を背景に、人員充足に向けた動きが強まる見込みです。
・働き方改革に取り組む企業も増えているため、建設現場でのIT導入・DX推進を担える人材の募集が増加する見込みです。例えば、大手を中心に活用が進む3Dソフト「BIM」などの技術を有する人材のニーズが高まると予想しています。
【04】金融 https://doda.jp/guide/market/004.html
・新型コロナによるDX推進の加速を背景に、社内SEやシステム企画、データ分析・データサイエンティストなどの採用ニーズが業界全体で高まっており、さらには事務企画、DX推進といった求人も増加傾向にあります。
・金融業界に属さない企業がスマートフォンやPCで利用する金融サービスを立ち上げるケースも増えており、それに伴う人材募集も増える見込みです。
【05】メディカル https://doda.jp/guide/market/005.html
・行政、メーカーともに信頼回復に向けた品質保証・品質管理の強化を行っているため、品質・規制関連を中心に求人が増加する見込みです。
・さらに、今後もコロナワクチン、治療薬関連の治験実施が見込まれているため、臨床開発関連の人材ニーズが高まる傾向にあります。
【06】営業 https://doda.jp/guide/market/006.html
・業種別ではIT、Web、コンサル、職種別ではインサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスを中心に、営業職の採用は活発化する見込みです。
・医療、建設、不動産、証券、電子部品、化学、消費財、総合商社などでの営業職の採用も引き続き活況で、年間で100人以上の未経験採用を計画する企業もあり、経験問わず採用ニーズが高まっています。
【07】人事 https://doda.jp/guide/market/007.html
・新型コロナを機に採用を停止した企業や早期退職者を募った企業が人員不足を補うために採用を行っており、そのため特に、採用を担当するポジションのニーズが高まっています。
・「離職率改善」や「社員のエンゲージメント改善」などに取り組む企業も増えているため、人材開発や組織開発などの採用ニーズも高まる見込みです。
【08】経理 https://doda.jp/guide/market/007_1.html
・3月に決算期、4月~6月にかけて決算対応が発生するため、経理職では、繁忙期を終えた下半期に、転職を検討する人が増加する傾向にあります。それに伴い、求人も増加する見込みです。
・日商簿記、公認会計士、内部監査人(CIA)といった資格保有者に加え、会計システムの経験者を企業が求める傾向にあります。
【09】法務 https://doda.jp/guide/market/007_2.html
・大手から中堅、ベンチャー、スタートアップまで多くの企業で採用ニーズが高く、経験者は引く手あまたの状態が続く見込みです。
・新型コロナをきっかけにDX推進やAIによる業務効率化など企業でIT活用の広がりが加速しています。これにより、新規事業立ち上げやビジネスモデルの転換も進み、「事業を推進する(攻め)」と「リスクを管理する(守り)」の両面の観点が不可欠となり、法務職のニーズはますます高まると予想しています。
【10】企画・マーケティング https://doda.jp/guide/market/008.html
・経済活動再開により、企業はマーケティング活動を加速し、これにより、企画・マーケティング職の求人は、経験者を中心に増加する見込みです。
・企業によっては、年間100人単位での採用計画を練っており、売り手市場となることが推測され、こうした市場を背景に、広告代理店、Web系企業を中心に、未経験採用を行う企業が増加傾向にあります。
【11】販売・サービス https://doda.jp/guide/market/009.html
・新型コロナの影響は未だ残り、大きな採用計画の見通しは立っていないものの、全体を通して求人数は増加する見込みです。
・「EC×倉庫・物流」と「フードデリバリー・テイクアウトサービス」に関わる求人は増加傾向で、ECサイトの運営スタッフや、倉庫・物流現場での人員管理・工程管理に携わる人材、さらに、フードデリバリー・テイクアウトサービス拠点の運営・配送スタッフ、調理スタッフなどで採用ニーズが高まると予想しています。
【12】事務・アシスタント https://doda.jp/guide/market/010.html
・事務職は増員での募集ではなく、欠員補充での採用が中心になるため、求人数は横ばいの見込みです。
・業績が好調なIT・web業界では、事務職の採用を行う可能性があり、Microsoft Officeに関する国際資格「MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)」の一般レベルのスキルを有数する人材を企業が求める傾向にあります。
【13】クリエイティブ(Web系) https://doda.jp/guide/market/011.html
・IT、Web関連業界だけではなく、金融・小売り業界などで需要が見込まれ、求人数は増加すると予想しています。
・業界問わず、UXデザインを軸としたユーザー体験の向上が課題に挙げられ、課題解決に向けて、UI・UXデザイナーの採用ニーズは高まっています。
【14】化学・素材 https://doda.jp/guide/market/012.html
・ウクライナ情勢により、供給減少や原料価格高騰などが事業に影響を与えている一方で、化学・素材業界の転職市場は依然として活況です。ニーズ拡大に伴い、経験者だけでなく業界未経験者採用も広がる見込みです。
・求人増加に背景には「カーボンニュートラル」「半導体」のキーワードが挙げられます。カーボンニュートラルの実現に向け、電気自動車に関連するポジションや「半導体」の事業強化を目的とした人材の採用ニーズが高まると予想しています。
エンジニアの採用担当900人が「ニーズが高まるIT技術、サービス」を予想
「OS・サーバ・ストレージ・データベース」分野では、1位「Windows11」、2位「ストレージ仮想化」、3位「AWS」だった。
「ネットワーク・セキュリティ・運用分野」では、1位「クラウドセキュリティ」、2位「VPN」、3位「電子証明」となっている。
「手法/開発/DS/言語」では、1位「人工知能(AI)」、2位「データサイエンス」、3位「JavaScript」という結果だった。
「ツール/SaaS環境」では、1位「Office365」、2位「サイボウズ Office10 Garoon/kintone」、3位「Google Workspace」となっている。
6月の全国平均初年度年収は452.5万円、前年同月から1.8万円の減少に
マイナビは7月14日、「2022年6月度 正社員の平均初年度年収推移レポート」を発表した。
同調査は、総合転職情報サイト『マイナビ転職』に掲載された求人の「平均初年度年収」を未経験・経験者求人別に調査したもの。調査期間は、2022年6月1日~6月30日だった。
6月の全国平均初年度年収は、452.5万円(前月454.7万円、前年同月454.3万円)で前月から2.2万円の減少、前年同月から1.8万円減少している。掲載求人の募集比率は前月と同程度で推移しており、未経験者求人の割合いが徐々に高まる傾向は続いていると考えられる。
業種別の6月の平均初年度年収は、「IT・通信・インターネット」が507.0万円と最も高く、次いで「コンサルティング」が506.8万円、「不動産・建設・設備」が488.2万円となっている。
これを未経験でもOKな求人に限定してみてみると、「不動産・建設・設備」が461.6万円と最も高く、 次いで「IT・通信・インターネット」が458.8万円、「コンサルティング」が451.5万円となっている。 この3業界は通年で未経験求人の初年度年収水準が高く、人手獲得への積極性が感じられる。
エリア別の6月の平均初年度年収は、「関東」が最も高く462.1万円、次いで「九州・沖縄」が449.5万円、「関西」が447.4万円となっている。
paiza、「新卒ITエンジニアのフルリモートワーク実施状況」を調査。実施の理由や方法、メリットなどが明らかに
(1)「paiza新卒」掲載中の企業で、新卒ITエンジニアの「フルリモートワーク(※)」を行っている企業の割合(N :358社)※原則的に出社がない働き方
今回の調査では、2022年7月現在「paiza新卒」に掲載されている358社のうち60社(16.8%)が新卒ITエンジニアの「フルリモートワーク」を実施していることが分かりました。
(2)新卒ITエンジニアの「フルリモートワーク」は、「通常の勤務形態」か「新型コロナウイルス対策による一時的な対応」のどちらでしょうか?(n:10社(※)、以下同じ)(※)60社のうちアンケートに回答した10社
90%の企業では、新卒から通常の勤務形態として「フルリモートワーク」を実施しています。
(5)新卒ITエンジニアの「フルリモートワーク」の実施にあたり条件はありますか? (複数回答)
「完全に無条件」と回答した企業は20%でした。多くの企業では、会社から自宅の距離やコワーキングスペースの利用制限、Free Wifiの利用制限(その他の回答)など、各社の条件を設定しています。
(6)新卒ITエンジニアの「フルリモートワーク」は入社後どの時期から実施していますか?
80%の企業が入社直後、あるいは研修後すぐに「フルリモートワーク」を実施しています。
(9)今後も「フルリモートワーク」を継続しますか?
今後もフルリモートを継続すると回答した企業は、その理由として「業績に影響がないことが分かった」、「働きやすい」、「採用競争力の向上」、「オフィスが縮小できる」、「リモートワークの終了で退職リスクが上がる」などを挙げていました。逆に、「対面を希望する社員がいる」ため検討中とする企業もありました。
(8)新卒ITエンジニアの「フルリモートワーク」導入のメリットはなんですか?(複数回答)
回答からは多くの企業が「採用上のメリット」があると感じていることが分かります。
→地方学生を採用できるようになった50%
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求職者動向
「未経験可の求人」、21.4%が「実際には高度なレベルを求められた」と回答
NEXERが運営する転職サイト「キャリアバイブル」は、転職の経験がある全国の男女1356人を対象に実施した、「職種・業種未経験可の会社への転職に関するアンケート調査」の結果をまとめ、7月8日付で発表した。
それによると、「職種未経験可」の求人に応募して、実際に職種未経験で入社したことがあるかを聞いたところ、「ある」と回答したのは33.8%、「ない」が66.2%だった。
「ある」と回答した人に、入社後、実際にはどうだったかを尋ねたところ、54.4%と半数以上が「1からしっかり教えてくれた」と回答した一方で、「未経験にもかかわらず高度なレベルを求められた」人も21.4%いた。「どちらとも言えない」が24.2%。
一方、「業種未経験可」の求人に応募して、実際に業種未経験で入社したことがあるかを聞いたところ、31.1%が「ある」と回答。「ない」が68.9%だった。
「ある」と回答した人に、入社後、実際にはどうだったかを尋ねたところ、「業種未経験可」の場合でも、2割近く(18.5%)が「未経験にもかかわらず高度なレベルを求められた」と回答。「1からしっかり教えてくれた」は55.7%、「どちらとも言えない」は25.8%。
初めての業界だと専門用語などがある場合も多く、まずはそこからしっかりと説明してもらえないと戸惑ってしまうケースが多い。
ライフキャリア実態調査2022年版(働き方・キャリア編)
正規雇用就業者の男女の賃金格差は約200万円。大企業は男女で220万円の差に
DXの実施率は半数以上、専門の部署やチームで実施している企業が約8割
リスキリングに効果を感じた人の6割が仕事に対する満足感を持っている
副業・兼業経験者は前年より大幅に増加。増加している職種は[事務従事者][記者、編集者、美術家、デザイナー][IT関連技術者]
勤めている企業のリスキリング実施率は、自社のリスキリングの実施を把握していない人を除くと49.0%で、そのうち効果があったと感じている人は48.0%であった。
~コロナ世代の新人のリアルなキャリア観・仕事観を調査~「新入社員意識調査2022」結果報告
約6割の新入社員が学生時代に「キャリアに関する授業」を受講
働く上で最も大事にしたい価値観で「心地よい環境にいること」が初の1位
会社を選んだ本音の理由第1位は「社内の人間関係や雰囲気が良さそうだから」
将来の自分イメージでは「出世を希望していない」が最多
現在の会社を「10年以内に辞める」見通しの方が4割
希望以外の部署、配属地に配属された場合、半数以上が「異動希望を出す/転職を考える/退職する」
仕事の不安として最も多いのは「自分の能力不足」が昨年に引き続き最多
仕事の期待として最も多いのは「自分の成長」
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20代は「キャリアアップ」より、経験していない業種・職種に挑戦する「キャリアチェンジ」を希望。実現したいことは、20代後半が「年収アップ」、20代前半が「興味を持っていた仕事への挑戦」
20代は「キャリアアップ」よりも、これまで経験していない業種・職種に挑戦する「キャリアチェンジ」を希望
職歴3年以上のヤングキャリアが「キャリアチェンジ」で実現したいことは「給与・年収アップ」。
職歴3年未満の第二新卒は「興味を持っていた仕事への挑戦」を希望
「キャリアアップ」で実現したいことは「給与・年収を上げたい」が最多
高齢化社会に向け、会社員は働き続ける理由を何に見出すのか(ロバート・ウォルターズ調べ)
働くうえで重視していること:20代・30代は「ワークライフバランス」
現在、「働くうえで重視していること」については、
男性会社員は1位「給与」(28%)、2位「ワークライフバランス」(27%)、3位「社会にどう貢献できているか」(21%)と回答しました。
女性会社員の回答は、1位「ワークライフバランス」(45%)、2位「給与」(26%)、3位「社会にどう貢献できているか」(11%)でした。女性会社員の多くが、「ワークライフバランス」を重視している一方、男性会社員は人により重視することが異なります。
年代別に見ると、20代・30代では「ワークライフバランス」をより重要視する傾向が強く、他の世代を10%ほど上回る結果となりました。
働き続ける理由:多くの会社員は社会との関わりを求めている
前回の調査結果発表では、20代・30代は60歳までに早めのリタイアを検討し、男性会社員の半数は少なくとも70歳まで働きたいと考えていることがわかりましたが、その年齢まで働き続ける理由としては、「社会との関り」(37%)を求めている会社員が多いことがわかりました。
年代別では20代・30代は、4割が「生活資金」(40%)と回答、次いで「社会との関わり」という回答が33%でした。40代以降では、「社会との関わり」を重視する傾向が強くなり、40代では、1位「社会との関わり」(37%)、2位「生活資金」(34%)。
50代では、1位「社会との関わり」(39%)、2位「生活資金」(35%)。
60代では、1位「社会との関わり」(36%)、2位「働くこと自体が好き」(31%)でした。
年代別で順位が異なるものの、リタイア後も「社会との関り」を望んでいる会社員は多く、仕事が社会とつながる機会となっていることが伺えます。
【ヘイズ調査】世界17,600人に若者のスキル不足に関する調査を実施。回答者の約7割が若者のスキル不足を実感
ヘイズは、LinkedIn上で世界中の17,600人以上に対し、若者が社会に出る際に必要なスキルを持っていると思うかを尋ねる調査を実施しました。その結果、69%が「必要なスキルを持っているとは思わない」と回答しました。
また別の調査では約12,500人に、若者が就職に必要なスキルを身に着ける妨げになっているものは何かを調査しました。
その結果、回答者のほぼ半数(45%)がスキルアップする機会の不足を挙げ、28%がキャリアやスキルに関するノウハウや情報が得づらいためと回答。
その他、14%は十分でない教育、13%は適切なツールやテクノロジーの不足と回答しています。
約7割が「転職活動で重視するポイント」は、就職活動時と異なると回答。就職活動時と比較して重視するようになった点、1位は「仕事内容」。2位は「今後のキャリアビジョン」/20代アンケート
就職活動時と比較して「重視することや企業を選ぶ視点に変化があった」と回答した20代が7割を超える
就職活動時と比較して、企業選びの際に重視するようになったことは、「仕事内容」が最多。
次いで、「自分自身の今後のキャリアビジョン」が続きました。3番目・4番目に回答を集めた項目は、就業経験3年以上の「ヤングキャリア」と、就業経験3年未満の「第二新卒」で異なる結果となりました。
ヤングキャリアは「福利厚生・手当」「年収や昇給・昇格のぺ―ス」、第二新卒は「休日のとりやすさ・残業時間」「福利厚生・手当」となっています。ヤングキャリアは年収アップなど「条件面」を希望し、第二新卒は「自分らしく働くこと」を重視していると言えます。
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HRtech関連
コクー、キャリア&ライフコーチング事業を展開するSHE株式会社と協業。「未経験からのDX転職プログラム」を始動
「未経験からのDX転職プログラム」について
協業の取り組みの第一弾として、下記の通り100名限定でDXスキルの育成から転職に向けた書類・面接対策まで一貫して支援する特別プログラムを始動いたします。
◆ウィークリーミッション本プログラムを円滑に進めるためのウィークリーミッションが週に1回届きます。チームで力を合わせてミッションをクリアしていただきます。
1)DX転職プログラムキックオフイベント:8/20(土) 13:00-14:00
今回のプログラムを一緒に頑張る仲間と顔合わせをします。
・DX転職プログラムの内容説明
・質疑応答
・プログラム参加者チーム発表
・各チームファーストミーティング
2)スキルアップ強化WEEK
SHE株式会社のコースを受講して、転職に際して希望の事業部に必要なDXスキルを身につけます。
●全職種共通
・ビジネスコース
・【参加者限定】Excel演習ドリル
●デジタルマーケ職のみ
・マーケティング入門コース
・Webマーケティングコース
・広告運用コース
3)転職に向けた書類/面接対策
SHEのHRユニットがサポート。ワークショップを経て未経験から転職する際の応募書類・面接のポイントを学びます。
・応募書類対策イベント
・面接対策イベント (全2回)
4)コクーの選考に参加
・コクーからスカウトが届いたら、面接に進んでいただきます。
・募集職種や入社時期は自由に選択していただけます。
※より詳しい内容は下記よりご確認ください。
https://www.notion.so/sheinc/SHE-DX-7bbef6459acf4127b4fab70a2f91efaf
人材マネジメント
崩壊寸前のエンジニア組織を国内上位0.05%の「働きがいある会社」に変えた“モチベーション改革”【リーディングマーク】
エンジニアのモチベーション改革に成功し、事業を順調に成長させている企業がある。クラウド型適性検査サービス『ミキワメ』を運営するリーディングマークだ。
同社は、2022年3月に、リンクアンドモチベーション社が実施する従業員満足度診断「モチベーションクラウド」のエンゲージメントスコアで、偏差値83をマーク。この数値は、これまで約9000社・230万人以上が受けた同診断内でも、上位0.05%に入る高得点だ。
しかし、わずか5年前まで同社のスコアは平均以下だったそう。さらに、「エンジニアの離職が相次ぐ崩壊寸前の組織だった」と同社VPoEの中川達哉さんは言う。
――この診断を受け始めた当初から、一貫して高水準だったのでしょうか?
いいえ。私が入社する直前の2017年10月に受けた最初の診断では、わずか偏差値47に過ぎませんでした。
当時、開発チームには業務委託を含めて総勢11名のエンジニアとデザイナーが在籍していたのですが、翌年には私とデザイナーの2人だけを残し、他のメンバーがみんな退職してしまうような状況だったんですよ。
開発サイドに限らず、ビジネスサイドでも退職者が相次ぎ、2017年から数年間は離職率が全社で3割を超え、文字通り「組織崩壊」を起こしていました。
――組織崩壊の原因は何だったのでしょう?
一番の原因は経営が厳しかった時期に、なんとかして収益をあげるためにさまざまなサービスに手を出したものの、結果につなげられなかったことでしょうね。
開発サイドとしては、ビジネスサイドの要求を聞いて開発しているのに努力が報われない徒労感や不信感がありましたし、ビジネスサイドからすれば、開発サイドは常に指示待ち状態で、思うように動いてくれないもどかしさや苛立ちを抱えていました。
そうして両者の溝が深まるにつれ、コミュニケーションがどんどん少なくなり、最終的にはすっかり諦めモードになっていました。その結果、退職が相次ぎ、組織崩壊を招いてしまったのです。
同じ失敗は繰り返さない。真っ先に取り組んだ「開発文化」の醸成
――どうやってこの苦境を打開したのですか?
新たな開発組織をつくり上げていくにあたって、真っ先に取り組んだのは「社内受託」のようなポジションから脱却し、「すべてを自分ごととして考える開発文化」を打ち出したことです。
開発サイドから積極的に課題を挙げ、「このような開発をするのはどうか?」と働き掛けましたし、ビジネスサイドが認識している問題や顧客の課題の把握にも努めるようにしました。
開発サイド、ビジネスサイドがともに一つのプロダクトを開発している意識を醸成しなければ、同じ失敗を繰り返してしまう可能性は拭えないと思ったからです。
そして、これと並行して実行したのが採用方針の変更でした。
――具体的にはどのような採用方針に変えたのでしょう?
経歴やスキル偏重の採用方針を改め、「開発文化に馴染めるかどうか」を重視するようにしました。
もちろんエンジニアの技術力は重要です。かといって、技術力だけでアウトプットの量や質が決まるわけでなく、仕事への熱量によっても大きく左右されます。
組織を再構築するにあたっては、新しい開発文化を体現する人でなければならないと考え、開発サイドが能動的に動いてプロダクトを作るカルチャーに共感をしてくれるエンジニアを優先して採用するようにしたんです。
まずは、スクールを出たての若手エンジニアから採用を始め、彼らの成長具合を見ながら、少しずつ経験豊富なエンジニアを採用し組織強化を図っていきました。
開発文化や組織風土をイチから築き上げて、二度と組織崩壊するようなチームにはしないぞ、と考えていましたね。
――組織運営上、工夫されたこと、改善されたことについても教えてください。
仕事の割り振りについても大幅に変えました。普通なら「会社がやってほしいこと」ベースで仕事を割り振っていくと思いますが、当社ではできるだけ「本人がやりたいこと」ベースにしたくて。
そのため、こちらがやってほしい要望を伝える前に、オンボーディングや1on1を通じて、メンバーのやりたいことや悩みを聞き出し、それに即した仕事をアサインするようにしたんです。
苦手な仕事、やりたくない仕事より、得意な仕事、やりたい仕事に携わる方が、モチベーションが高まりますからね。
他にも、過去の目標設定と成果をきちんと記録し、これまでの変遷を踏まえたキャリア設計ができるように、目標管理の方法もアップデートしました。これまでの目標を記録し可視化することで、メンバーが「自分で自分をマネジメントできる状態」になるようにしたんです。
マネジメント方法についても、僕が強いリーダーシップを発揮するというより、希望や状況を整理して示唆を与えるファシリテーションに徹しました。結果的に、これもメンバーの自発性を高めることにつながったと思います。
――「メンバーが自分の意志で動く」ことを徹底したんですね。モチベーションの高い組織に生まれ変わったことで、顕著な成果は出ましたか?
冒頭でお話しした通り、定期的に実施しているエンゲージメントスコアの計測は右肩上がりです。4年前から、偏差値44、55、67、83とどんどんメンバーの満足度が上がっています。
それと同時に、『ミキワメ』のユーザー数もこの2年で6倍になり、ビジネス面でも良い効果が出ています。もし組織崩壊を起こした後、開発文化を変えようとしなければ、おそらくこうした高い成果は残せなかったでしょう。
高いモチベーションを保つには「自律・自走」できる組織開発を
――最近の状況についてはいかがですか?
これまで私が一手に担っていたマネジメント権限を、最近では若いメンバーに委譲できるようになってきたのがうれしいですね。
メンバー自ら手を挙げて「仕事を任せてほしい」と申し出てくれることも多く、彼らの成長を感じる瞬間です。
試行錯誤もありましたし、うまくいかなかったこともありました。しかし、モチベーションの高い組織づくりのために費やした努力は概ね間違っていなかったと思います。
――過去5年にわたる組織改善の苦労が報われたのですね。これからどんな組織を目指しますか?
一人一人が自律・自走し、チームの総和で勝負できる開発チームを育てていければと思っています。とはいえ、モチベーションの高い組織をつくることに終わりはありませんし、それがゴールでもありません。
真のゴールは、エンジニアがモチベーション高く能動的に働いた結果、事業が大きく成長することです。
1年ほど前からメンバー同士のコミュニケーションを促進するため、夕方に「帰りの会」と呼ぶ定期ミーティングを開くようになったのですが、当初は情報共有やノウハウの共有に過ぎなかった内容が、いまではユーザーの課題や事業課題、組織課題を持ち寄り、話し合う場に進化を遂げました。
これは一例に過ぎませんが、これもメンバー自ら課題を見つけ対処し、成果を導ける自律・自走可能な組織に至りつつある証だと感じます。
幸いなことに、『ミキワメ』の各サービスは順調に成長しているので、エンジニアの採用、また適性のあるメンバーをマネジャーに育てることで、この勢いをさらに加速させるつもりです。
多様な人材を組織のパフォーマンスに変える。 インクルージョン認識を高める職場づくりとは
なぜ企業経営に「インクルージョン」が必要なのか
あらためて「インクルージョン」とはどのような概念なのでしょうか。
学問分野によって定義は多少異なります。社会学においては、社会的に孤立する可能性が高くなるグループの人たちへの支援や機会均等を目指す社会的包摂を意味します。また教育学では、例えば少数民族、障がいや海外にルーツがある子どもなど、全ての個人を尊重し、個別のニーズに対応する包摂的な教育を示しています。
それに対して、経営学では「マネジメント」という概念が入ってきます。雇用や職場におけるマイノリティ人材の機会均等や包摂に対応しつつ、それを組織のパフォーマンスにつなげなければいけません。このように学問によって違いはありますが、集団の中で誰もがマジョリティ人材と同じように振る舞えることを目指している点は共通しています。
職場において、インクルージョンはどのように定義できますか。
近年一般的になりつつあるのは、2011年のコロラド州立大学リン・M・ショア教授らの論文による「社員が仕事を共にする集団において、その個人が求める帰属感と自分らしさの発揮が、集団内の扱いによって満たされ、メンバーとして尊重されている状態(p. 1265 船越邦訳, 2021, p. 34)」という定義かと思います。職場におけるインクルージョンには「帰属感(belongingness)」と「自分らしさの発揮(uniqueness)」の両方が不可欠だということです。経営学では、個人の力を組織の力に変えていくという観点が重要なので、どの従業員も帰属感を持って自分らしく働きつつ、それが組織のパフォーマンスにつながっていくことを理想としています。
昨今、ダイバーシティだけでなく「ダイバーシティ&インクルージョン(以下、D&I)」のようにインクルージョンも重視する企業が増えてきたのはなぜでしょうか。
ダイバーシティは、さまざまな人がいるという状態を表しています。多様な人たちがいるだけで、それぞれが自分の意見を言えなかったり、能力や自分らしさを発揮できなかったりする状況では、組織のパフォーマンスにつながっているとは言えません。多様性を力に変えるためには、個人に「インクルージョン認識」がある、つまり一人ひとりが帰属感を感じ、自分らしさも発揮できていると認識していることが重要です。
ときどき「帰属感と自分らしさの発揮がインクルージョンの条件ならば、ダイバーシティはあまり関係ありませんよね」と言われることがあります。この意見は正解であるとも、正解でないとも言えます。組織においては、マジョリティ人材よりマイノリティ人材のほうが疎外されていると感じやすく、インクルージョンは認識しづらい。また、例えば「性別」という観点においてはマジョリティであっても、「国籍」「宗教」等の観点においてはマイノリティという人もいるでしょう。ダイバーシティ・マネジメントにおいて、どのように全ての従業員のインクルージョン認識を高めていくのか。それがダイバーシティ・マネジメントとインクルージョン認識の接点になると思っています。
経営という枠組みの中でダイバーシティを成果につなげるためには、取り組みに優先順位をつけることも必要ですね
そうですね。企業のビジョンや特性に合わせて、戦略的に実行していかなければなりません。今であれば「女性活躍推進」の潮流で性別が取り上げられることが多いですし、グローバル化を推進している企業ならば、国籍や言語の多様性を優先して取り組む企業もあるかもしれません。「全ての多様性が尊重されるべき」という大前提は持ちつつ、マネジメント戦略として何から取り組むか順番を決めなければならない。これが、ダイバーシティ・マネジメントの難しさでもあります。
インクルージョンは、個人の認識。高める鍵はコミュニケーションの総量
どうすれば従業員が「帰属感」と「自分らしさの発揮」を同時に認識できるようになるのでしょうか。
まずは職場内でメンバーが十分に「巻き込まれている」ことが大切です。巻き込みにもいろいろな側面がありますが、一つはコミュニケーションの総量を増やすこと。これは、オフィシャルなものでもアンオフィシャルなものでも構いません。
知らない人との交流が適切な形で増えると、偏見が減ると先行研究でも言われています。「相手の立場に立つ」という表現がありますが、相手のことを知っているほど、相手の置かれている状況を想像しやすくなります。
コミュニケーションを取ることによって相手を近しい存在として理解できるようになると、信頼や仲間意識が醸成されます。職場であれば、それが帰属感のもとになります。
信頼や仲間意識がある場では、自分の意見を言いやすくなります。そういう場が増えることにより、自分らしさを発揮できる機会も増えていきます。ただし、コミュニケーションの総量が多くても、ギスギスしたコミュニケーションでは効果がありません。自分がメンバーの一員として認められている、尊重されていると感じられるような、良質なものでなければならないのです。
また、研究の中には、インクルージョン認識を高めるためには意思決定への参画が大切だという主張も多くあります。この観点から言えば、性別や年齢といった属性を問わず、意思決定プロセスの中で広く意見を聞く場を設けることも有効です。
反対に、従業員のインクルージョン認識が阻害されるのはどのような場合なのでしょうか。
女性や外国人など、属性が原因で何かへの参画が阻まれている状態では、当然インクルージョンは進みません。ポイントは、インクルージョンが「個人の認識」であること。組織や職場が意図していなかったとしても、個人はインクルージョンが認識しづらいと感じている場合もあります。
例えば、リーダーが「チーム全員の意見を聞くための会議」を16時半に設定したとします。しかし、あるメンバーは子育て中で、子供のお迎えがあるため夕方の会議には出られません。リーダーに疎外する意図は無かったとしても、メンバーは「自分は他の人とは違う」「輪に入れてもらえない」と感じるかもしれません。
普段からコミュニケーションを取っていれば、リーダーや周囲の誰かが「16時半だと〇〇さんが参加できない」と気づいていたでしょう。どうしてもその時間に開催しなければならないなら、事前に意見を聞いておくなどの個別配慮ができるかもしれません。こうした小さなことの積み重ねが、職場におけるインクルージョン認識につながっていくのです。
社員が「プライベートを自己開示してくれる」ことの重要性
インクルージョン認識が高まることで、どのような影響があるのでしょうか。
インクルージョンは個人の認識なので、まずは個人の行動に変化が現れます。例えば、自発的に情報発信を行うようになります。コミュニケーションの質の向上と自己開示が進むことで、職場内での会話も増え、プライベートなことも共有するようになります。業務で気になることを自ら聞き、自然に報告・連絡・相談を行うようになる。そういった環境下においてはミスもすぐに報告されるので、おおごとになる前に対処することができます。
昨今は、個人情報を他人が開示することに厳しい目が向けられています。そのため、相手から進んで個人的な話を共有してもらえることは、ダイバーシティ・マネジメントにおいて非常にメリットが大きい。自己開示できる環境をいかに作るかによって、インクルージョン認識にも差がつくでしょう。
個人の行動が変化することで、組織にはどのような効果が期待できるのでしょうか。
上司をはじめ、階層や部門を超えた会話が増えることが期待できます。また、従業員同士が情報交換を活発に行うようになり、強みを共有したり互いを称え合ったりするようになります。一人ひとりの行動の変化は、やがて組織の風土を変えるでしょう。好ましい組織風土によって採用競争力が高まると同時に、社内に多様な視点があることで新しいアイデアが生まれやすくなる。このように組織の成果へとつながっていきます。
コロナ禍によりテレワークを推進する企業が急速に増えましたが、コミュニケーションの質に影響はあったのでしょうか。
働き方の選択肢が増えたという点では、ダイバーシティ・マネジメントを次のステージに押し上げたと考えることもできますが、このような状況下こそコミュニケーションが重要です。
テレワークの導入により、雑談をはじめとするコミュニケーションの総量が減ったということが聞かれます。業務上必要なことだけを伝え合う環境は、共通項が多く、互いの状況を想像しやすいマジョリティ人材にとっては、むしろ楽かもしれません。しかし、マイノリティ人材や異動直後の社員、新人など、関係の構築にも一層の相互理解が必要と考えられる人がインクルージョン認識を高めるには、さらに時間を要する環境になったと言えるでしょう。このような状況だからこそ、コミュニケーションの量と質をないがしろにせず、組織のパフォーマンス向上につながる体制を整える必要があります。
インクルージョン認識の向上のために人事ができること
インクルージョン認識を高めるにあたり、日本企業にはどのような課題があるとお考えですか。
コロナ禍をきっかけに急激に変わり始めた部分はありますが、日本で長く続いてきた人事管理システムには、男性総合職というマジョリティに最適化されてきたものが多くあります。ダイバーシティ・マネジメントに関しては「女性活躍推進」に代表されるように国からもさまざまな後押しがありますが、組織のパフォーマンスにどうつながっているのかを実感できていない企業は多いと思います。そのため、ダイバーシティ・マネジメントが誰か特別な人のためのものになっているのではないか、と懸念しています。
例えば、育児に関する取り組みはかなり充実してきましたが、「育児の制度は女性が使うもの」という思い込みが組織にないでしょうか。男性であれ、女性であれ、外国人であれ、育児をする機会はどんな属性の人にでも起こりうるものですが、制度を使いづらい従業員は「疎外されている」と感じやすくなります。育児はあくまで一つの例ですが、誰もが多様性を構成している一員であることを理解して、制度設計や運用に生かすことが重要です。
ただ、長く続いてきた慣習を変えることは大変なことです。変えていくには、やはりコミュニケーションが鍵になります。互いの理解が深まれば、前例のない要望が聞こえてきたときにも、自分ごとのように捉え、運用の可否や工夫を考えられるようになっていきます。
インクルージョン認識が高まる要因としては、思ったことが言えるオープンな関係性、上司や同僚との親密性、D&Iを大切にする共通認識の浸透などがあります。チームや職場のレベルにおいては、マネジャーが適切なリーダーシップを発揮すれば、公式と非公式双方のコミュニケーションをうまく取ることができ、インクルージョン認識は着実に高まっていきます。
一方で、組織全体レベルや部門をまたいだプロジェクトの場合、D&Iを尊重することがその場で明言されていない限り、マイノリティ人材は疎外感を得やすくなる傾向にあります。日頃一緒に仕事をしている人ばかりではないので、メンバー同士で培ってきたコミュニケーションの総量が少なく、それを補うための時間も限られています。例えばそのような環境で会議があり、意思決定がされるとなると、既存の習慣や方法に則って物事が進められ、結果としてマジョリティ人材が優先されてしまう、ということが起こり得ます。
そこで、組織レベルでインクルージョン認識を高めるには、経営層が理念や方針にD&Iを取り入れ、それを組織全体に発信・浸透させていくことが非常に重要です。多様な意見を聞くことは、とても時間がかかります。それをよしとする組織風土がない限りは、マジョリティが支持する方法で素早く決定することを優先してしまいがちになります。例えば、決定スピードが重視される場では、日本語が母語ではない人は発言に時間がかかるため、遠慮や疎外感を感じやすくなるでしょう。そんなとき、多様な意見を聞くという共通の方針があるかどうかで、周囲の態度も変わってきます。
組織全体で従業員のインクルージョン認識を高めるために、人事ができることは何でしょうか。
人事にできることはたくさんあります。会社としてのD&Iの考え方を発信したり浸透させたりする役割は、経営層とともに人事が担うことができるものです。経営層のD&Iについての理解が十分でない場合は、人事がその重要性を説明し続ける必要があります。理念浸透とあわせて、制度を拡充することも大切な役割です。先ほどの育休の例のように、制度が特定の属性に向けたものにならないよう、誰でも使える制度として浸透させていくことが重要です。
それと同時に、あくまで企業戦略が前提にあってのD&Iなので、どのように戦略的にD&Iを進めるかも考えなければいけません。多様な従業員がいる中で、今はどんなグループの人たちに目を向け、どう戦略的に取り組んでいくのか。そして、「今ここ」のD&I推進戦略においては対象にならなかった人たちが疎外感を覚えないよう、その戦略の意思決定に対する考え方を組織全体に丁寧に説明していく必要もあるでしょう。
また、職場のリーダー層への働きかけも大切です。従業員にインクルージョン認識を持ってもらうためには、いかにインフォーマルな会話を引き出せるかも重要になります。人事が職場のリーダーに対して、現場レベルで役立つコミュニケーションの知識や技術を伝える研修などがあってもよいでしょう。そして、これまで示したようなインクルーシブなリーダーシップは、とても手間がかかります。職場のリーダーがプレイング・マネジャーでは限界もあるので、その役割を見直す必要も出てくるでしょう。
D&I推進はとても複合的な活動で、地道かつ継続的な取り組みが求められます。なかなか理解を得られない場合もあり、結果も見えにくいため、しんどい活動だとも思います。だからこそ、経営層やリーダー層に重要性を伝え続けて、仲間を増やしていく。こういうことができるのは、人の専門家である人事だけだと思います。