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「嫌」の取り扱い方

大事な人の笑顔が見たい。
大事な人を喜ばせたい。

誰しもそう思うものだろう。

でも、それ以上に大切なことがあるのをちゃんと理解しているだろうか。

”相手が嫌がることをしない”
ということ。

当たり前のことじゃないか!何を言っているんだ!と思ったに違いない。

大事な人なのだからその人が嫌がることはしないのは、当たり前。
果たしてちゃんとできているのだろうか。


気持ちの空回り


私は過去に何度か同じような光景を目にしている。

たとえば、アスレチック広場にて、父親と思われる男性と女の子が遊んでいる。

よくある一本の丸太の上をバランスを取りながら反対側まで渡る遊具だ。

女の子は慎重に一歩一歩渡っていく。
そこを父親が楽しませようと、わざと女の子の脇腹を突いてちょっかいを出す。

「やめて」「落ちるからやめて」

女の子もそれを楽しんでいるならばそれでいいだろう。

最初は笑いながら言っていたけれど、その声もだんだんと余裕がなくなっていく。

そして、他人の私から見ても確実に嫌がっているのが見て取れる。

だが、父親は続ける。
ヘラヘラと笑ってちょっかいを続ける。
女の子はもう1mmに笑っていないのに。

父親には彼女の声は届いていない。
いや、耳には届いているのに、全く理解しようとしていない。

父親が娘を楽しませたい。笑顔にしたい。という気持ちからの行為なのはわかる。
だが、本当に娘を想っての行為なのだろうか。
ちゃんと娘のことを見ているのだろうか

こんな光景が、世の中には沢山溢れている。

我が家も例に漏れずだ。

上の子はくすぐられるのが大好きで、自分から言ってくるくらいくすぐられたがりだ。

一方、下の子はくすぐられるのが大の苦手。

であるのに、下の子が何度「やめて」と繰り返しても夫はくすぐるのをやめない。
何故か。
くすぐられると下の子も条件反射で笑っているから。
本当に喜んでいる笑顔なのか見えていないのだ。
そして「やめて」の言葉を軽視している。

これは厳重注意案件だ。
同じようなことが度々起こる。
夫の良かれと思う行為が完全に空回りしている。
ここにはとても書けないようなディスワードが私の中で浮かぶ。
ほんとな、そういうとこな、、


軽視される嫌


人はどうして相手が嫌がることをするのか。

相手が嫌いだから、相手が憎いから、嫌がることをする。
だからこの世には、イジメやパワハラが存在する。

その行為は許せないことであるが、動機と行為が一致している。

だが、そうでない場合。
嫌がらせをしようと思ってないのに、結果的に嫌がることをしている場合。


相手の気持ちを勝手にジャッジしていないだろうか。

「嫌って言っているけど、そこまでじゃないでしょ」
「嫌って言っているけど、本当はこういうの好きでしょ」

その人の「嫌だな」と思う気持ちを、なぜ他人が勝手に判断できると思っているのだろうか。

あまりにも他人の「嫌」を軽視していないだろうか。


「嫌な気持ち」を乗り越えた先


生きていたら、乗り越えなければならない「嫌な気持ち」ももちろんある。

例えば、予防接種。

注射が嫌いな子どもは多い。
だって痛いから。
できることなら注射なんてしたくない。
病院でもよく聞く子供の叫び声。「いやだー!かえるー!!」

そりゃそうだろう。

どんな時も相手の「嫌な気持ち」は一度受け入れるべきだ。

でもこの子供の「嫌な気持ち」を全面的に尊重して、注射をしなかったら、もしかしたら病気になって重症化してしまうかもしれない。

「嫌な気持ち」はしっかり理解したうえで、本人の将来の幸せのために「嫌」を乗り越える手伝いは必要なことだろう。


自分の「嫌な気持ち」との向き合い方


例えば、受験勉強。
勉強が好きな人もいるかもしれないけれど
好きなこと、他のやりたいことをする時間を減らして受験勉強するのは「嫌だな」と思うこともあるだろう。

でもその嫌な気持ちを乗り越えた先には、自分の大切な将来があると信じるから頑張れる。

自分が自分自身の中の嫌な気持ちを乗り越えたらそれは糧となるし、頑張った成果として残る。

今の嫌な気持ちとそれを乗り越えた先の成果を比較して、本人がどう行動していくか。
これが「嫌な気持ち」との向き合い方であると思う。

自分の「嫌」という気持ちに蓋をし続けると、自分の「嫌」という気持ちが麻痺していく。

いわゆる慣れだ。

相手に「嫌だな」という気持ちを伝えても、
その言葉がなかったことにされると
自分がいけなかったのかと思ってしまう。

「嫌」という気持ちは自分のSOSだ。

「嫌」に慣れてはいけない。

「嫌」を大切にすることも自分を守る術なのだから。

相手の想いを尊重するということ


相手の「嫌な気持ち」を、尊重して欲しい。
その上で、譲れない部分があるのだとしたら、
双方納得行くように話し合えば良い。それだけだ。

第一声の「嫌」という気持ちを無視するな。

家族も友達も、上司も部下も、先輩も後輩も先生も、彼氏も彼女も。

好きな子にちょっかいを出す。
好きな子の嫌がる表情が見たい。

確実に嫌われるからやめておけ。

過度なイジりも同様。
相手の表情を見て、イジりNGラインがわからない奴にイジる資格なんてない。

以上。

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