EU圏内エコラベルの義務化について
2023年1月から、EU圏内で流通する衣類にエコラベル義務化
EU圏内で流通するアパレル・ファッションウェアの全商品にエコラベルをつけることが2023年1月に義務化される法律が可決しています。
日本語での情報があまりなかったので現時点で海外メディアが報じている情報などから概略をこちらに残していきます。
アパレル・ファッションだけではなく、全業界でEU内でサーキュラーエコノミー化が急速に進んでいる中で、特にファッションに特化したこちらはフランスが旗振りをすると手を上げて導入に取り組んでおり、来年のフランス大統領選の結果がこのエコラベルの実際的な導入のアングルなどにも影響すると言われています。
詳細が決まらないので、今から何を具体的に準備すればいいのかを明確にすることはなかなか難しいですが、コロナ前からパリ出展されているブランドの方々はバイヤーの素材のサスティナビリティや生産背景への質問がシーズンごとに増えていることを体感されているのではないかと思います。
サスティナブルとはなんぞや、に対して共通認識や共通言語がクリアにならない中で、コンセンサスを持って国単位で取り組んで行こうというのがエコラベル導入の法律と私は理解しています。
エコラベルとは?
素材や生産プロセス、輸送など多方面において、環境負荷や情報の透明性などをAからEでランク付けされる。それが商品の下げ札など、消費者に明確にわかるように明示しなければならないという法律です。
EU圏内の商圏で販売される全てのアパレル関連商品に適用されます。
ランキングの基準は?
気候変動、オゾン層破壊、素材や生産過程で使用される薬品の人への毒性(発ガン性・非発ガン性)、環境への毒性、水資源や化石燃料の資源枯渇などを含む16項目にわたり、PEF(Product Environment Footprint)に基づきランク付けされることになっています。
サスティナビリティや透明性、エコに関しては業界内に共通言語がないままにここまで来ている流れからも、業界団体や協会、小売大手などからなるコミッティーでこの基準の策定は何年にも渡り議論がなされています。
問題点
現在のPEFでは、化繊のリサイクルが天然素材よりも高得点とされており、ウールなど天然素材の関係者からは、マイクロプラスチックの海洋汚染や、商品の寿命の長さ、素材が土壌汚染せずに短期間に土壌に還るなどの重要な点が見落とされている不十分な基準であるという反発の声が上がっています。
業界に共通言語が確立しない未熟な状態でエコラベルを導入することは、消費者の善意がさらなる環境破壊につながる行為を促すリスクをも含むのではないかという警鐘を鳴らす団体も。
詳細はこれから決まっていく
このラベル申請はどこでやるのか、コストはかかるのか、最終的な基準などはこれからパイロットを通じて決定していくようです。
動きがあれば、拾える限り拾って書いていきたいと思います。
エコラベルの日本のブランドへの影響
パリに出展し、ヨーロッパのストアと取引のあるブランドや、今後ヨーロッパ進出を考えているブランドは直接影響あり。(23年1月からPITTIからこれないと厳しい?店舗だけなのか展示会場ではどうなのか、そこらへんも気になります。)
サスティナブル、エコじゃないとヨーロッパで売れなくなる、というものでは決してありませんが、バイヤーのオーダーをつける際のポイントの一つにはなってくるのではないかと思います。
コロナ前から、パリに来るバイヤーはかなり素材や生産背景をうるさく聞いて来るところが増えていましたし、サスティナブルなブランドだけの予算枠を設けている老舗のストアもありました。
そういう流れがさらに大きくなりそうです。
ソースの記事リンクなど
By 2023, Clothes in EU Need Eco Label, Campaigners Worry It’s ‘Incomplete’ at Present
EU eco-labels for fabrics not strict enough, say campaigners
現在のPEFの問題点を指摘する団体
MAKE THE LABEL COUNT
MAKE THE LAABEL COUNTが発行しているプレゼン資料
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