113.ピンク色のラミパス
素晴らしく美しい大輪の花をみつけて、ラミパスは喜んだ。
これは今まで出会った中で一番の、本当の美しい花だ。
これまで目にしてきた花は、いくら精巧に作られていようとも、全くの偽物にすぎなかった。その事を、ラミパスは魂で思い知らされた。
その花を見ているだけで、ラミパスの心は、宇宙、銀河かなたまで広がり、全身を満たす解放感の中で、ピンク色の夢を見ることができた。
素晴らしい!
こんなに素晴らしいことが!
ラミパスはついに、眼を閉じた。
これまで、寝る間も惜しんで、血眼になって探し続けてきた。その瞼を、そっと閉じた。
目を閉じようとも、その花の放つ美しい波の中で、静かにたゆたうことができたからだ。
そう。
ラミパスは今日、生まれてはじめて、眠りにつくことができたのだ。