小説/黄昏時の金平糖。【Ves*lis】#12 作戦失敗と製作開始
黎明わた 6月3日 金曜日 午前7時13分
愛知県 夏露中学校の登校道
よくないよくない。
なんで隣町から中学校に通わなきゃいけないの?
絶賛、走って通わされている。
自分が通う夏露中学校は、「夏露」ってついてるくせに、実際には八季市(はつき)の冬雫町(とうだ)にあるのだ。
って言っても、学校楽しいけど。
ここら辺から夏露中に行く人は、ざっと10人くらい。他はみんな夏露西中学校に行く。だから、小学校の時のメンツは少ない。
─なんて、小学校の時なんて友達いなかったもんな。
とか思ってたら、意外と早く着いた。
あと一週間まで迫ってきたイベント。
パーク内を貸しきって行うらしいが、夏露中にそんなお金あんだな、と思った。
その時、肩を叩かれた。
「─おい」
黄昏わらべ 6月3日 金曜日 午前7時15分
夏露中学校
「え?」
久々に聞く、わたわたの声。
思わず泣きそうになるが、こらえて言う。
「あのさ、そのー、、、」
しかし、俺は言いたいことを整理してなかった。
とにかく、わたわたに会って話そうとしていたからだ。
やばい、どうしようと思っていると、わたわたから返事が来た。
「なんもない?」
「え、いやそうじゃ─」
「今から実行委員だからさ。また今度話そうや!」
また今度話せる?
未来の約束ができた、と思ったら、わたわたは走り出していた。
「ぐ、具体的にいつぐらい?」
「じゃあねー!」
あいつの声が耳に響いている。そのまま立っていられなくなって、俺も走り出した。
また失敗したみたいだ。
暁愛華葉 6月3日 金曜日 午前7時18分
夏露中学校 体育館
「お、わた来たじゃん」
「ほんとだ。─おーい、わたー!」
私が呼ぶと、わたは「おはよ!」と返してくれた。
「早くない?」
「気のせいだよ」
歩きながら適当に葉凰が言う。
「それより、愛華葉役割知ってんだろ?」
そうだった。
私は先生に何を手伝うのか聞いていた。だから、今から教える。
「えーと、葉凰がスタンプラリーのカード作り、さだめが先生の劇のシナリオ作り、私が当日の時間割設定やらいろいろ」
そう言うと、二人は微笑んだ。
「シナリオかー、楽しそー!」
「大変そうだけど、まそのくらいなら」
意外だった。
二人とも嫌がるかなって思っていたけどあっさりOKしてくれた。
「それじゃあ、散らばりますかー」
「おー!」
私達は製作を開始した。
続
最後まで見ていただいてありがとうございました!
次回もお楽しみに!
それじゃあ
またね!