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説得力のある文章を書けるようになりたいな

「説得力のある文章を書けるようになりたいなあ」
みかんはつぶやいた。
抽象的にそれっぽいことは言えるけど、誰かに刺さるような内容を語れない。
頭のいい人からすると「ふーん?」「それで?」で終わってしまう。

鋭い仮説、具体性のある事例、そういうものが必要なんだと思う。
みかんが書くものはどうしても、説明不足というか……物足りない。
「なにかないかな」
みかんはネットサーフィンを始めた。
最近よく見るのが『カクヨム』だ。
小説を投稿できるサイトとして有名だけど、それだけじゃない。
いろんな人のエッセイも読めるし、マンガやアニメなんかもある。
それに小説だけでなく、イラストやマンガ、映画などの感想を書いてもいいのだ。
しかもそれを読んで評価することもできる。
また他のユーザーとチャット(おしゃべり)する機能もあって、交流も盛んだ。
でも一番の魅力はなんといっても『コンテスト』だろう。
これは文字通り、読者からアイデアを募集してその数を競うものだ。
大賞に選ばれると賞金が出るらしい。
だからみんな必死で書いているのだろう。
みかんもちょっと参加してみたい気もする。
だがなにを書いたらいいのかさっぱりわからない。
そもそもなにを書けばいいんだろう?
「うーん……」
みかんは頭を抱えた。
やっぱり自分には無理かもしれない。

誰かに届くような、説得力のある文章が自分に書けるだろうか。自信はまったくなかった。
「そうだ!」
そこでみかんはひらめいた。

あの人たちに相談してみよう! そう、それは――。「こんにちはー」
「あら、いらっしゃい」
「お邪魔します」
みかんは玄関に置いてあった自分の靴を持って家に上がった。
そのままリビングに入る。
「お、来たな」
そこにはお父さんがいた。
お母さんもいる。
そしてもう一人。
「いらっしゃい、みかんちゃん」
「どうもです、おばさん」
この人はおばさんこと、小林真知子さんだ。
年齢は三十代後半くらいだったはず。
見た目はちょっとぽっちゃりしていて可愛い感じの女性だ。
性格は温厚で優しい人だと思う。
みかんにとっては親戚のお姉さんみたいな存在だ。
昔から、困ったことは真知子さんに相談してきた。今回もいい知恵があるんじゃないかと期待している。
「ちょうどよかったわ。今、お茶が入ったところよ」
「ありがとうございます」
みかんはダイニングテーブルに座った。
目の前には湯飲みが置かれている。
中にはほうじ茶が入っていた。
さっそく一口すする。
あー美味しい。
「今日はどうしたの?」
お茶をすすっていると、真知子さんが尋ねてきた。
「実はですね――」
みかんはこれまでの経緯を説明した。
「なるほどねえ」
話を聞き終えた真知子さんは考え込んだ。
「そういうことなら任せてちょうだい!」
ポンッと胸を叩く。
どうやらなにかアイディアがあるみたいだ。
「本当ですか!?」
「ええ。こういうこともあろうかと準備しておいたものがあるのよ」
そう言って取り出したのはノートパソコンだった。
さらにタブレットも取り出す。
パソコンの方は起動した状態でテーブルに置いた。
タブレットにはコードが接続されている。
「これはなんですか?」(つづく)

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