素人がZennでXBRLの本を書いた

Zennで「PythonとExcelによるXBRL解析 株式投資に役立つ財務分析の準備」という本を書いた。本といっても出版社から出た!というものではなく、個人的に執筆した本だ。技術同人書というものにカテゴライズされると思う。
Zennではブログのように記事を書くこともできるが、本を書いて売ることができるのだ。

表紙も手作り

本の内容


本の内容は、Pythonを使ってXBRLから財務諸表のデータを抽出し、Excelに出力するというものだ。出力するのは財務諸表なので、最終的な目的は株式投資である。
しかし、これにはものすごい手間がかかる。
私はエンジニアではないので、Pythonもわからない。プログラミングはChatGPT頼りだ。
しかも、財務諸表のデータが確認したければ、ネット証券のサイトなりバフェット・コードでほぼ大体のことは叶うだろう。

自分でそのデータ抽出を行う利点というのは、(カスタマイズを頑張れば)自分の欲しいデータを好きに並べたり、比較したりできるというところだろうか。
(それもほとんど、既存のもので可能だと思うが。)
要するに、自分好みにデータを並べてみたいということなのかもしれない。
私は複数年度にまたがってデータを確認したいタイプであるため、Excelで並べるくらいがちょうど良いのだ。

10年分並べた図

それと、ついでというわけではないがアプリっぽくしたかったという思いがあるので、Fletという現代っぽいUIにできると言われているフレームワークを利用して実現した。
デザインは自分で行う必要があるので完成品は結局ボタンを並べただけという酷いものだが、センスのある人はキレイなカラーリングだったり配置を自由にカスタマイズできる。

ボタンを並べただけの図

XBRLとは何なのか?

詳しい話をすると、文字数がとんでもないことになるので簡単に説明する。本のタイトルにも含まれているXBRLとは、XMLベースの言語である。企業が財務諸表などの文書を金融庁に提出する際、各企業でごちゃ混ぜにならないように規格を統一しよう!そうすれば作るのも見るのも簡単になる……という経緯で開発されたようだ。
提出する企業にとっても、閲覧する投資家にとってもWin-Winということになる。
当時、これは画期的だ!となったのかどうかは知らないが、2003年~2012年ごろまではちょこちょことXBRLに関連する本が出版されている。
しかし、近年はXBRLについて何かが解説されている本が出版されているのはまったく見かけない。たぶん、複雑すぎたのだろう。
そう、XBRLはとても複雑だ。
個人ブログなどで展開されている解説記事にも、たいてい「複雑」という二文字が出てくる。

企業が財務諸表などのビジネスレポートを証券取引所などに提出する際、このXBRLでの提出が義務化されている。それは2024年現在でも変わっていない。
金融庁のEDINETというサイトは誰でも閲覧が可能で、XBRLも自由にダウンロードできる状態だ。
個人ブログやQiita、このnoteにも解説記事がある。
しかし、本は無いのだ。
XBRLは、例えば有価証券報告書であれば財務データのすべてと言えるので、中身を解析さえすれば、データとしては非常に有用でいろいろな使い方ができる。
しかし、とにかく使うまでの手順が多すぎるし、内容も「複雑」だ。

多すぎる手順

例えばある年の有価証券報告書が見たい!となった場合、そのXBRLファイルをダウンロードすることは簡単だ。金融庁のEDIENTにアクセスしてダウンロードボタンを押せば済む話だ。
しかし、5年なり10年分なりのデータを確認したい、しかもそれをいろいろな企業で……となった場合、いちいち各年度のXBRLファイルをダウンロードすることはとても面倒だ。
そこでEDINET APIというのを利用することで、まとめてダウンロードできるようになるのだが……だが……EDINET APIへの登録、財務情報(書類と呼ばれている)の取得、XBRLのダウンロード、XBRLファイル自体の解析、最終的に見やすいようにExcelへ出力……それをPythonでプログラミングする……
その時間、四季報を見て財務分析したほうが良いのではないか?という意見は必ずあると思うし、私もそう思う時がある。

でも、何かこのXBRLで株の財務分析がしたいのである。
あんまりやってる人が居なかったからという天邪鬼な理由かもしれない。
というより、実はやってるけど説明が面倒だからブログとかやってないという人はたくさんいそうだ。
あと、PythonとExcelを使ってXBRLの情報を抽出するという記事はたくさんあるのだが、基本エンジニアの方が多い(と勝手に思っている)ので、内容がすごく難しかったりする。
ソースコードをじ~っと見て、ああ、そういうことをしているのか、と納得できればまだ良いが、何をしているかわからないことも多々ある。
なので、エンジニアでなくとも、ちょっとプログラムとか興味があって動くもの作ってみたいな~それが財務分析できるものだったら良いな~くらいの劇狭ニッチな本とか無いのかな、と思っていた。
あと理解できなくても丸ごとコピペすればいいだけとか。

が、そういう本は出なさそうなので、結局自分で書いてみた。
プログラミングはChatGPT頼りなので、効率などは一切わからない。もしエンジニアの方がソースコードを確認したら激怒するかもしれないが、今のところは動いているのでご了承いただきたい。
ソースコードのコメントも、たぶん鬱陶しいくらい書いている。
私のプログラミングに対する知識量が少なく、ifとかforといった基礎中の基礎くらいしかわかっていないからだ。あと、しばらくしてからファイルを開くと、何が行われているの……?となるため、細かめのコメントは必須だった。

本の中では、ちょっとずつXBRLのことを紹介し、XXXを使えばYYYの情報が抽出できるといったことを説明しているが、それを読まなくても、丸ごとコピペできるようにソースコードを全て掲載している。

一般的な書籍は大体10万文字前後らしいが、ソースコードを載せまくったせいか50万文字もある。読み応えばつぐんだ!
Zennの本はいくらでもアップデートできるので、間違いなど知らせてもらえれば修正も可能である。

そんなん読まなくてもXBRLを使った良質な財務分析の解説記事書けるわ!という方はどんどん書いてほしい。
私はそういう記事を見るのが好きなので。

最終的な目的は株式投資の財務分析ではあるため、そもそもXBRLというのは分析という道からある種はずれていると言えるかもしれないが、それでもXBRLというものに興味を持った方は、ぜひ調べてみてほしい。
そしてXBRLの沼に嵌って、ちゃんとした本を出してほしい。
私は買うよ。

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