birthday luau
”ルアウ”とはハワイ語で、パーティという意味。
でも普通のパーティではない。
豚を丸ごと一頭蒸し焼きにするカルアピックが登場するような
何百人も集まるようなパーティのこと。
子供が生まれる前のベイビーシャワールアウ、1歳の誕生日ルアウ、
卒業記念ルアウなど子供の成長を喜ぶようなルアウが多い。
招待状があったとしても、準備をする方は何人来ても大丈夫な量の
食べ物、席、アトラクションを用意している。
特に食べ物は、みなさん山のようにお持ち帰りするので、
余るほど用意するのだ。
この日はアナレアの2歳のお誕生日。
1歳じゃなく2歳のルアウになったのは家族が決めたことだけど
きっと彼女は覚えていない。
たとえそうでも、これだけの愛情に包まれたら、
きっと彼女のDNAは覚えているに違いない。
ひいおじいちゃんおばあちゃん宅の広いお庭が会場。
一家の大黒柱であるひいおじいちゃんの指揮の元、
家族親戚がたくさん集まって、テントを立て、椅子やテーブルを設置した。
だいぶ前からご飯のメニューは振り当てられ、
わたしはいつも巻き寿司担当。
ハワイアンはお寿司も大好きなので、いい感じで売り切れて、
早朝から20本以上巻いた苦労も報われる。
子供のためにシェーブドアイスや綿菓子のマシンまである。
音楽は近所のおじさんたちがハワイアンミュージックを歌ってくれる。
(実はこのおじさんたち、結構有名なハワイアンミュージシャンだったりする)
この日久しぶりに会ったヴァーナがとても痩せているのに驚いた。
すらっと背の高い、まだ60代くらいの綺麗な人だ。
最初に彼女を見かけたのは、フラのイベンドで彼女の孫の踊りを見に来た時。
髪をキュッと後ろで結び、耳の横に大きな花をつけて、美しい柄の
ハワイアンドレスを着て立っていた姿は、大勢の中でもひときわ目立った。
ヴァーナが末期の癌だと家族から聞かされて、痩せている理由がわかった。
帰り際、さよならのハグをした時、「会えてよかった」と力強くぎゅっと
抱きしめてくれた。
綿菓子を持って走り回る子供たち、テントの下から聞こえるハワイの歌、
カラフルなお誕生日の飾り付けの中に、小さな悲しみもあった。