金髪にして分かったこと
人は見た目が九割と言うそうだ。そしてその見た目の九割は髪なのではないかと思うようになった。つまり、人の八割一分は髪。成人男性の体内水分含有率が六割程度なのでいかに髪がその割合を占めるかが分かる。いや、分からないのだが。つまるところ、髪を変えることは印象を変えるということだ。自分の見た目がどのような印象を与えるか想像せずに過ごしていると、予期せぬ事が起きる。
金髪になってから小学校の同窓会があった。自分が一番変化しているだろうにも関わらず、久しぶりに会う友人がどのように変化しているのか楽しみで浮かれた心持ちでいた。結果として浮いた。まず、集合場所につき男女が集っているのを見つけ、なるべくスマートに輪に入ろうと颯爽と歩いたが、誰にも止められずそのまま歩き去ってしまった。スマートさを捨てようと意を決して男女の集いに混ざったが五秒、沈黙のみであった。「え、三上?」と誰かが言ったのを皮切りに始まる思ったこと言おうのコーナー。「髪やば!」-やばいよね「チャラっ!」-チャラくないよ「まじで?」-何が?。また、規律を重んじる女子校に通っている女子には威圧感を与えてしまったそうで、女子と二言ほどしか話さずにその日を終えた。
他にも例を挙げればきりがない。髪が黒い頃は違和感なかったコーディネートで学校に行けば「客引き?」と聞かれた。他校の文化祭のとある企画の手伝いに行ってお客さんに宣伝をしていたら怖がられた。いや客引きじゃねえよ。
しかしもちろん金髪が与える印象によって良い影響もあった。
今までは、フィジカルで削ってくる屈強なディフェンダーとのさもCL決勝のような攻防を行うことがしばしあったが、今では、消化試合かのような様相である。これはテクニカルだが、派手な見た目と渋い趣味のギャップで服屋の店主や美容院の美容師との会話を盛り上げる時に金髪は有用だった。「どんな音楽聴くの?」という質問に対して「oasisとかjamiroquaiとか90sに惹かれますねー」と答えた時の爽快感たるや。これ以上、小賢しい事を述べても恥ずかしいだけなのでそろそろ終わるが、やはり人の印象はvirtual insanity だなぁ。