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ニチアサの話がしたい vol,221


■今週のガヴ

・次にヴァレンが狙うのはお前さんじゃぞい

 グラニュートに「許し」を与える余地はあるのか?可児ことロジョーの策によって浮上した問いから気持ちがすれ違ってしまったショウマと絆斗。ロジョーの闇菓子から足を洗いたいという申し出は偽りであることは分かったものの、完全に仲直りできぬまま絆斗はロジョーに攫われてしまい……。年内ラストとなった今週の第16話「ノエルのおくりもの」は、絆斗を捜索しつつ大叔父デンテにショウマがここまでのいきさつを相談するシーンからスタート。

 現状、ショウマが全てを包み隠さず話せるのは彼しかいないため、物語のポジション的には「主人公の理解者であり相談相手」であるデンテなのだが、「あいつが更生できるって信じたかった」と悔しさを滲ませるショウマに対し、「まあ、そう気を落とすな」と軽く返し「虜になってしまうとやめられないのじゃよ、闇菓子は。我ながら罪なものを作ったもんじゃ~」と、闇菓子開発の張本人にしてはどこか他人事な姿を見ると、やはり彼は人間界のお菓子にハマっていたり、幼い頃から手術を繰り返してきたショウマに対し「何とかしてやりたい」という限定的な愛情が沸いただけで、基本的には人間とは違う倫理観を持つグラニュートなのだなという感じがして、純然たる「良き理解者」とは少し毛色の違うキャラクターになっているのが改めて面白い。また、多田野曜平さんの豪快で陽気な声が醸し出す「ちょっとクレイジーな親戚の爺さん」という雰囲気で油断させつつ、時折スーツアクトを担当する岡元次郎さんの重厚感とただならぬ迫力で観てる者をヒヤッとさせてくるのもデンテの大きな魅力で、絆斗に自分の正体をいつまでも黙っているわけにはいかないと悩むショウマを前にすっくと立ち上がり「グラニュートだと知られたら次にヴァレンが狙うのはお前さんじゃぞい」と人差し指を向けて忠告する様は手指の繊細な芝居も含めてハッと息を止めて見てしまうほどカッコ良く、「さすが次郎さんだ……」と唸るばかりだ。

・正しい「ごめんね」のあり方

 ゴウゾウたちに方々を探してもらうも、一行に絆斗の居場所が掴めずため息をつくショウマ。(そんな悲しげな宿主の顔を見て自分たちの無力さに号泣するゴウゾウたちだが、目から涙を放射線状にヴァッ!と撒き散らすカートゥーンチックな泣き方がウケる)昼食を前にしてもテンションの低いショウマに幸果は「友達なら喧嘩ぐらいするっしょ」と励ました上で「悪いと思ったら謝ったらいいんだよ。『ごめんね』って」と、まず素直に謝ることが一番だということ、ただし「許すかどうかは相手が決めること」であり、相手に自分が期待する反応を押し付けない大切さも伝え、さらに「でも、届いてないって思ったら何回でも言うんだよ」と、自分の素直な気持ちを伝えることに遠慮はいらないのだと語りかける。いわゆる「ご不快構文」に代表されるような、何に対して謝っているのかさっぱり分からない、それどころか相手の受け取り方に問題があるかのような慇懃無礼な謝罪や紋切り型のお詫びが蔓延る世の中にあって、子ども向け番組の中でこうして「相手も自分も大切にする謝罪」について言及してくれるのはすごく素晴らしいことだと思うし、これが決して上から目線の説教ではなく、自分が親友のりっつんと「アホほどした」喧嘩と仲直りの繰り返しの中で学んだ、幸果自身の経験が乗った「生きた言葉」として語られるのが非常に良かった。幸果さんって本当にステキな人だなあと改めてしみじみしてしまう。

 ただこのシーン、それを聞いたショウマが「絆斗を明日のクリスマスパーティーに絶対連れてくる」と意気込み、幸果の用意した美味しそうなナポリタンに手をつけず家を飛び出して行ってしまうのが、キッチンに立つことが多い筆者からするとどうしても「食べてから行け!」となってしまう。いや、無論これは「明日のクリパに絆斗も来てほしい」という幸果の願いを叶えるためにも、絆斗にもう一度しっかり謝ろうと決意したショウマの気持ちは、目の前のご飯さえも放り出せるほど昂っているのだ!という映像的な表現であることは理解できるし、ここで一度食事シーンをパスすることで、無事に開催されたCパートのクリスマスパーティーでチキンやピザなどクリスマスのご馳走を笑顔で頬張る3人の姿を更に印象付けようとしていることも分かるのだが、「じゃああの盛り付けまで完了したナポリタンはどうすんだよ!せめてチンしてクリパに出してくれ!」などと、ついつい思ってしまう。それにしても、幸果さんにこんな美味しそうな手作りご飯を日々食べさせてもらっているショウマ、羨ましすぎである。

・すきぴとの初めての「仲直り」

 昔ながらの方法でコツコツと人間を襲い、その褒美として闇菓子を貰うのではなく、ショウマや絆斗を直接ストマック家に突き出せば闇菓子を好きなだけ食べられる身分に昇格させてもらえるのではと「一発逆転」を考えたグラニュート・ロジョーは、絆斗に続いてショウマの捕獲にも成功して上機嫌。しかし、それは絆斗を助けるためのショウマの作戦だった。見事絆斗が監禁されている場所に潜り込むことに成功したショウマは彼の縄を解こうとするが、「せっかくストマック社に乗り込めるチャンスだったのに余計なことをするな」と一喝されてしまう。「あいつらの酷さが分かればお前だって迷わず敵が討てるだろ!」と、ショウマの優しい気持ちを弄んだロジョーへの怒りも相まった絆斗の言葉に、ショウマはロジョーに騙されて心に迷いが生まれた自分を吹っ切れさせるために絆斗はこんな無茶をしているのだと気付く。絆斗を助けたいと思い、わざとロジョーにボコボコにされてここまで来た自分と、ショウマのために自分が囮となってストマック社に乗り込もうとした絆斗。2人は気づかないうちに『賢者の贈り物』と同様の「思いやりの交換」をしていたのだ。「すきぴ同士がガチ大事なものを贈ったってわけ。お互いを思いやる気持ち!」幸果の言葉がショウマの脳裏に蘇る。いや、『賢者の贈り物』は仲睦まじい夫婦の話だったので間違いないだろうが、ショウマと絆斗は果たして「すきぴ同士」でいいのか!?というツッコミは私だけでなく多くの視聴者貴兄がしたと思うが、「ごめん!俺が間違ってた!」ともう一度真剣に謝罪し、それに「俺の方こそすまなかった。助けてくれようとしたのにな」と、ばつが悪そうに返し、初めての「仲直り」に照れくさそうに微笑み合うショウマと絆斗を見ていると、最愛の母をグラニュートに奪われるという不幸な境遇が一致し、ある種の「運命の出会い」を果たした彼らだが、その延長線上にある仮面ライダー同士としての戦いの中で、友情と呼べるようなあたたかな想いを築き合っているのは確かであり、そういう広義な意味合いで捉えれば2人は「すきぴ同士」と言っても過言ではないのかもしれないと思えてくる……いや、やっぱさすがに「すきぴ同士」は過言かもしれないが、少なくともショウマは「絆斗と自分は幸果が言うところの『すきぴ』にふさわしい大切な間柄だと思っている」というのはピュアなショウマらしくて可愛らしいのでヨシ!ではないだろうか。

・可児、大奮闘!

 そして今週は何と言っても(?)まさかの4週に渡っての大活躍となった岸洋佑さん演じる可児 / グラニュート・ロジョーの奮闘ぶりがとにかく最高だった。ジープのご機嫌を取って闇菓子をもらおうと絆斗を捕まえるも「赤ガヴじゃない」とけんもほろろににそっぽを向かれた途端「あ~あ。クビになった奴に擦り寄っても仕方ないか」と吐き捨て、絆斗に八つ当たりをし、「何しに来たんだ?俺を闇菓子から解放してくれるのか~?」とショウマを煽り倒すなど真正のゲス男っぷりを見せる。岸さんと言えば『キュウレンジャー』で演じたスティンガー役のクールなお芝居の印象が強かったが、なかなかどうしてこのゲス男の演技が上手すぎる。それでいて持ち前の美声とギターの腕前はそのままで、捕らえられたフリを続ける絆斗が可児が暇を持て余して爪弾いた美しいギターの音色を台車の上で聴かされることになるシーンや、捕まえたはずのショウマと絆斗の縄がいつの間にか解かれているのを見て「おいお前ら!なんでほどけてるんだよ!騙しやがったな~!」と怒りのままに華麗な横歩きで突進してくるシーンなどはマジで声を出して笑ってしまった。

 変身したガヴとヴァレンと対峙した可児は自身もグラニュート態になるとグラニュートの中でも有数の甲羅の硬さで2ライダーに応戦。その強固さたるや、ヴァレンの銃弾を弾き返してしまうのはもちろん、ガヴガブレイドで斬りかかったガヴの身体に全衝撃がボヨヨ~ン!と伝わってきて来てしまうほど。ちなみに筆者は平成ライダーシリーズで主に主人公ライダーを演じていた高岩成二さんが硬い敵を殴ったり剣を跳ね返されてしまった時、「かっっっ……てぇ~~!!」と言いながら手を痛そうにブンブン振ったりする仕草がめちゃくちゃ大好きなので、このシーンでガヴ役の縄田雄哉さんの同様の「かっっっ……てぇ~~!!」のリアクションを見てニマニマしてしまった。

・ダブルケーキフォーム!

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