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画像加工と美容整形 1

2019年12月22日に、下北沢の書店B&Bで、インベカヲリ★×小林美香×鈴木みのり「アイドル・消費・写真――これからの女性表象を考える」というトークイベントに登壇した。トークの内容の一部がwezzyで公開されている。

このトークに関連して、インベカヲリ★さんがnoteで 「第17回 カワイイの基準」や「第18回 「絶妙なクズ」」を公開している。インベさんがトークの際にも美容整形のことについてお話しされていたのだが、「第17回 カワイイの基準」で書かれていることに、衝撃を受けた。

 最近は、携帯のアプリで、可愛く加工された写真が簡単に撮れてしまう。知人から聞いた話によると、インスタ界隈では、アプリで撮った顔に近づける整形が流行っているらしい。自撮り写真をアップするのが目的なため、正面から見た顔が大事で、横顔などは度外視されるのだという。
 現実よりも、ネット上の自分の写真に比重を置くというのは、私には信じられないことだ。けれど、美の感覚はそれだけ環境に影響されるということなのだろう。

美容整形の広告は頻繁に目にするし、SNOWやBeauty Plus、Facetuneのようなスマホの画像加工アプリが人気であること、タレントのMattがインスタグラムで投稿している画像に施される画像加工が「Matt化」と呼ばれることはなんとなく知っている、という程度だったが、「加工された画像に近づけるために美容整形手術を受ける」人が若い世代の中に少なからず存在するというのには驚いた。自撮りをして加工した画像という「虚像」に合わせるために、現実の容姿をチューニングするという発想が、広く行きわたっているということだ。

このような自撮り・SNSの時代がもたらした美容整形手術の流行は、2018年頃からSelfie Dysmorphia(自撮り異形症 アプリの名称でSnapchat Dysmorphiaともいう)と呼ばれている。加工された、いわゆる「盛った」画像を美しさの基準にして、現実にはあり得ないような容姿を追求するために整形手術を受けるのは、「自己受容ができない」という点でかなり厳しい状態ではないだろうか。「脱毛広告観察記 5 キッズ脱毛」で書いたことでもあるが、若者、子供たちがメディアを通して幼い頃から容姿に対してコンプレックスを抱くように仕向けられて、ツルツルすべすべの肌を追求して脱毛や美容整形に向かうのが当たり前になっている世の中、というのはかなり異常なものだと思う。

さらに、2020年に入ってコロナウィルス 災禍の世の中である。Social Distancing(社会的距離)という言葉が膾炙し、リモートワークの推奨、オンライン授業の実施が模索されるなど、物理的に移動せず、実際に顔を合わせることなく仕事や勉強を進められるような環境を作ることが求められている。zoomやskypeを使うビデオチャットでも、資生堂、オンライン会議時の自動メークアプリ「TeleBeauty(テレビューティー)」、SnapCameraのメイク機能のようにフィルターを被せた姿で対面することが当たり前、人と人とが対面し、生身の容姿に接することの意味が変わってくるのかもしれない。


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