目、そらさないでよ?

「おいで、Sunshine!」という曲を聴いた。

実の所、生まれてはじめて聴いたのではなく、なんかぼんやりと聞いたことがあるなぁという程度だったのをじっくりと聴いてみたというものなのだが、まどろっこしい事は置いておいて、

ヤベェ…この曲やべぇ…!

「ない」夏の記憶が駆け巡って、春なのに泣きそうである。(花粉のせいではない)

まずもって、はじめの

〝Ah…頬、南風〜〟

のところで、「ふんふん、この歌の主人公は誰かと一緒にいるのね…多分気になってる相手かしら…。」などと私は想像した。1つ目のやば(な)ポイントは想像させておいて、〝遠く見てる『あなた』の〜〟で「あ、俺(私)???!」と意識をぐんと持っていくところだ。正味「あなた」なんていう普遍的すぎる表現は含有する意味の幅も広く、ここで言う「あなた」とは聴き手である「俺(私)」ではなく、主人公がみている見えない存在≠「俺(私)」である可能性だって十二分にあるけれど、そんなんはどうでも良くて、とりあえずこれは「俺(私)」に向けての「あなた」であるとこの時私は強烈に突きつけられた。即座に2つ目のやば(な)ポイントが来る。

〝Ah…「今年こそは」を競おうぜ〟

?!!!?!!!!?

「今年こそは」と意気込んで結局「来年こそ」と肩を落とすことの多い「俺(私)」に対して前向きに夏を楽しもうと呼びかけている…ああ、眩しい!と思った矢先の、

〝素肌のまま 今、飛び込んで いつか誰かとじゃなくこの夏に夢を見るのさ!〟

である。ほよよよ??!未だかつて私は〝いつか誰かとじゃなくこの夏に夢を見るのさ!〟ほど清々しく眩しい文章を見た事がない。〝いつか誰かと〟と、〝この夏〟というのは対比関係にあると見えるが、そのうち〝いつか〟と〝この夏〟が対応しているのに対し、一見〝誰か〟に対応する表現は見受けられない。ここに「言わない」ことによる強調を感じた。「〝誰か〟が誰だなんて言わなくても『あなた』に決まっているでしょう?」ということかっ…!効くゥ〜〜!!!「あなた」をおもくそ自分のことだと思い込んだ状態で聴くこの歌詞めっちゃ健康にいい。

〝炎天下、クラっとくるサマー〟
〝目、そらさないでよ?〟

ここの2連、語感と収まりとリズム感と言葉全部大好き。〝炎天下〟と〝クラっとくるサマー〟は英語で言うところの同格の関係で、〝炎天下〟はこの曲の主人公の言葉で言えば、すなわち〝クラっとくるサマー〟ということなのだ…!なんだその豊かな日本語感覚は…。爽やかなチャラさ、見習いたい。〝目、そらさないでよ?〟に関しては大好き過ぎて、記事のタイトルにしちゃった。この歌詞がフォーカスしてるのは相手から目が逸らせない自分じゃなくて、相手(恐らく「あなた」?)に〝目、そらさないでよ?〟と言うまたは思う自分なんだよ…。なんや、なんやその少しばかりの悪戯っ気と強気さとけなげさは…。そんなこと言われて目をそらせるわけなかろう…、ってかそもそも初っ端から「俺(私)」は主人公に心臓引っ掴まれてるので、そらさないでよと言うまでもなくまるごとお前のもんやで…。で、この2連からサビまでボルテージをガン上げしていくのが

〝同じ瞬間、八月の夢を 永遠に変えるのさ〟

という歌詞だ。〝八月の夢〟で、急に夢の輪郭がぼやけていった。「ああ、そうかこれは夢…。」ひと夏の思い出も何もかも全て終わりある夢なのだ…と寂しくなっていた時に、〝永遠に変えるのさ〟をぶち込まれる。聴いてる時この辺から若干脳汁が出だしてる。ここで歌われる〝永遠に変えるのさ〟はオールマイトの「私が来た!」や、アンパンマンの「やめるんだ!バイキンマン!」ばりの「勝ち確」ワードである。「お前が言うならそうだよな!俺(私)らの夏は永遠にできる!永遠だよな!」という根拠の無い確信を持たせる。そしてサビに入る。

〝おいで、Sunshine!恋をしようぜ! 期待しちゃうなプリーズ・ビックウェーブ Baby Baby 波風越えて〟
〝クジラ描く、ブルーの放物線 淡い思い出、作ろうぜ! Baby Baby 夏色の恋人〟

ぶち上がりまくったフロアを沸き立たせる激ヤバのサビである。〝おいで、Sunshine!〟という曲名がここで初めて出てくる。正直曲をしっかり聴くまでは「なんや『おいで、Sunshine!』ってよくわからん曲名だな。」とすら思っていたのだが、サビまでに〝ない〟永遠の夏の思い出をナイアガラの滝ばりの勢いで思い出していたので、〝おいで、Sunshine!〟の〝お〟の発音で脳汁が出まくった。「おいで、と呼ばれているのはsunshine=陽光なのか、じゃあ、おいで、陽光と呼びかけているのか…?英語だと収まりがいいな…。ってかなんだおいで、Sunshineって…。」とうだうだ考えていた自分を殴りたい。うるせぇ!!!おいで、Sunshineはおいで、Sunshineなんだよ!!感じろ!!!
あえて、なにか喋るならば、〝Sunshine〟とsが大文字になっていることから、ここでの〝Sunshine〟はもちろん陽光を指しているとも読めるけれど、〝Sunshine〟のような何か固有のものを隠喩しているのではないか。そしてここまで聴いてきた「俺(私)」が考える、主人公がおいでと呼びかけそのような隠喩をしそうな相手と言えば…。もう脳汁どころの話では無い、破壊力たるや。ま、まあシンプルに太陽に向かって言ってる可能性もあるし…。あと話逸れるけど、〝クラっとくるサマー〟とか、〝おいで、Sunshine!〟とかチャラいけど、オラついてないというか、夏の歌感満載なのにギラついてる訳じゃなく爽やかで少しあどけない感じなのがいい。なんかこうチャラついてるけど、根っこが真っ直ぐで純粋だから〝Sunshine〟に対して「かかってこいや!」でも「受けてたってやる!」でもなく「おいで」なんだよ…。可愛いなお前!純粋さにやかれ死にそう…。〝恋をしようぜ!〟←は?は?は?!!!何?もう「俺(私)」はお前にメロメロだが???言われなくても大好きだけど?〝期待しちゃうなプリーズ・ビックウェーブ〟…そんな可愛いこと言わないでください…!〝Baby Baby 波風越えて〟くっっっっそ爽やか、クーリッシュより爽やか、風早くんくらい爽やか。何食ったらこんな爽やかでみずみずしい表現出来るわけ?
で、この爽やか攻撃の後で第3のやば(な)ポイントである。

〝クジラ描く、ブルーの放物線〟〝淡い思い出、作ろうぜ!〟

???!!?!?!

天才か…!?天才か…。しつこいようだけれど〝クジラ描く、ブルーの放物線〟って何食ったらそんな爽やか2000パーセントみたいな表現出てくるの???クジラ「が」描いているのか、クジラ「を」描いているのかその辺は不明瞭だけど、人間誰しもクジラと言ったらでかいという認識があるはずで、そんなでかいものを、またはでかいものがブルーの放物線で描かれている。でかい、爽やかなでかさ。なんかこう、小学2年生くらいの子がスカイツリー見て「大きい〜✨️」って目を輝かせてるみたいな感じ。別に何歳でもスカイツリーは新鮮にでかいと思うけれど。少年少女特有の煌めきを思わせる1文だ。そんでもって〝淡い思い出、作ろうぜ!〟はぁ!!?!永遠の夢は淡いものってお前が言うんかい!!(厄介オタク仕草)まあ、お前が永遠にしてくれたんだしな…。もう既に、私の中には輪郭も曖昧で青くて甘酸っぱい夏の「ない」思い出が、でも確かにあるので、思い出はもう作られたのだ。と浸っている所への

〝Baby Baby 夏色の恋人〟

ありぇぇーえー!!!!!?!俺(私)たち、付き合ってた!?!!!!?!いや、付き合ってなくても恋人は成立する??!!?!もうずっと、この曲の主人公が言う〝Baby〟のことを「俺(私)」だと思っていたため、あ、そうなんだ!!?と新鮮に驚いた。しかしながら、この曲の、〝恋人〟というのは全く健全な、繰り返すが爽やかな意味だなあとしみじみ思う。男と女とか年齢差とか身長差とか生まれたとことかそういう外のものをほっぽって、〝あなた〟への初心で純粋な恋心をそのまま歌っている。その白さが眩しい…!〝夏色の〟で、やはり、ひと夏の思い出感が出て、寂しい感じもする。永遠を誓う、信じるその一方で、永遠などないことを分かっている。だからせめて夏だけは、夏の間だけは〝あなた〟は〝恋人〟なのだ。ひゃ、わからん。まじで永遠を信じきっていて、夏に出会ったから〝夏色〟なだけで、春夏秋冬一生一緒にいてくれや!ってことなのかもしれない。味わい深いなぁ。

〝Summer goes by!「ひと夏」じゃイヤ!四季折々、俺といなよ?本気、"秋" & "冬" だって "青春" じゃん?謳歌!運命の春を見つけ 愛 夏はここへ 恋!(Hey!)終わんねぇっしょ、Your vacation!永遠だ、Sunshine!〟

どうやらプラスの予測が当たったらしい。まじで一生一緒にいてくれやって言われちゃった。

〝「ひと夏」じゃイヤ!四季折々、俺といなよ?〟

カーーーーッ、ナニソレナニソレェ!!!?!〝四季折々、俺といなよ?〟なんて言われちゃったらYes以外の返事できねーだろ!!!〝「ひと夏」じゃイヤ!〟…!!?!そうでござんすか…!嬉しい…。〝イヤ!〟っていうこの言い切り方がキュンとくる幼さがあっていい。これがあることによって、〝四季折々、俺といなよ?〟のニュアンスがチャラさよりいて欲しい!お願い!みたいな気持ちがあっての背伸びした感じ、の方が強まっている。

〝"秋" & "冬" だって "青春" じゃん?謳歌!〟

こいつぁすげぇ…、人生まるっと青春だと歌っている…!生き物ってだいたい、秋になると活動が緩やかになって冬になると冬眠したり活動停止したりするものがほとんどで、すなわち秋や冬って生命の中でも閉ざした時期なんだけど、そんな時期でさえ、〝青春〟なんだって歌ってる。超新星かな、爆発しないで。

〝運命の春を見つけ 愛 夏はここへ 恋!(Hey!)終わんねぇっしょ、Your vacation!永遠だ、Sunshine!〟

ジャパニーズRAPの好きなところは、ちょっとクサくてアツい表現。〝運命の春を見つけ 愛 夏はここへ 恋!〟とかなんかもううるせぇ!ってなっちゃうけど、でもそうだよね、恋って青臭くて熱いもんだよね、てじんわりする。私も夏に浮かされている。

〝終わんねぇっしょ、Your vacation!永遠だ、Sunshine!〟

〝永遠に変える〟から、〝永遠だ〟と言い切るまでになっている。主人公の夏に対する気合がグッとひと段階歌の中で上がったのだろう。先程、「青さ」について言及したが、永遠だと言い切る豪胆さも、目をそらさないでと言う健気さも、俺といなよと願う幼さも、全部その「青さ」に起因していて、そしてそれらは少年期特有の「万能感」を生み出している。夏なら、「あなた」となら、万能になれる。そう、この曲は言っているような気がする。…いやそんなん本気になっちゃうじゃーん!大好きになっちゃうじゃーん!

〝炎天下、クラっとくるサマー さぁ、君の番だよ! 砂、並んで作った足跡で 運命をなぞるのさ〟

ラスサビ前の歌詞、、、!二人称が!!!?!〝君〟になってる!!!?!距離縮まった?!!またここで私の大好きな〝炎天下、クラっとくるサマー〟がきた。いいもんは何回聴いてもいい。〝さぁ、君の番だよ!〟何が!?!!ずっとあんたのターンやろがい!!?ぼんやりみてた夢の中でいきなり好きな子に手さしのべられたみたいな気持ち、え、この手、とっていいの?という戸惑い。有無を言わさず、なんでもいいからと強引に手をとる君。…小説書けますよコレ。

〝 砂、並んで作った足跡で 運命をなぞるのさ〟

なるほど、砂の足跡をつくろう!足跡できた!次は〝君の番だよ!〟ってわけね、はいはい。…はぁ!?夏やんけ!夏の思い出やんけ!!?!〝運命をなぞるのさ〟!!!!?眩しすぎるシリウスかよ!!ロマンティックは度を越すとトンチキな感動を生むと学んだ。全ての要素が素敵すぎる、何食ったらこんな表現できるんだ?(3回目)

〝おいで、Sunshine・・〟

はい4つめのやば(な)ポイント!!!これね、もう絶対くる!くる!こい!くれ!ってなってる時の予備動作というか確定演出というか、この時点で私の脳みそは決壊しました。ここで、ジャブを打ち込んでおくことで後で効くというか。遊真が元々換装体であると描写されていることで、対ヴィザ翁の時の切り抜け方をみた読者が脳汁出る(『ワールドトリガー』©︎2024 葦原大介)みたいなことです。

〝おいで、Sunshine!恋をしようぜ!
期待しちゃうな  プリーズ・ビッグウェーブ
Baby Baby 波風越えて
クジラ描く、ブルーの放物線
淡い思い出、作ろうぜ!
Baby Baby 夏色の恋人
君は Baby Baby 夏色の恋人〟

なんかもう全部大好き。この感情を抱きしめていたい。言葉にするとこぼれおちそう。強いて言うなら最後の〝君はBaby Baby 夏色の恋人〟のところで〝君は〟と明確な二人称の描写が出てきて、!!?!!?!ほ?!!?!なってしまった。

総括

「ない」夏の思い出を、ありがとう。

君の思い出を抱きしめて、私は生きていくよ。
夏よ永遠なれ___


全人類夏に「おいで、Sunshine!」を聞こう。

この曲、公式に音源化しませんかね😭
心置きなく聞けるようになりたい…!

それでは、またあの夏に…!







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