親父が死んで15年くらい経つだろうか。
親父が死んだ時に、俺は形見分けとして通帳をもらった。
めちゃくちゃな親父だったので、親父からもらえるものも、もらいたいものも特にもなかった。
おじいちゃんの親戚は「あんたのお父さんは数学がすごい得意だったんだよ。」
そう言うが、でも商業高校卒だからねえ。
俺の勉強に関する負けず嫌いもとてもじゃないが、親からもらったものだとは思えない。
しかし何もいらないというのも親戚の手前申し訳ないので、通帳をもらった。
当時、塾を初めてまだそんなに経っておらず、小さい時から自分には経済観念がないことがわかっていたので、親からもらった負の遺伝子を勉強によって克服したいと考えた。
その通帳がこれだ。
入金された日か、その翌日にギリギリまで下ろしている。
これが4年間にわたって続いている。
俺が、今持っている通帳を親父が実際に4年間も使っていたとはなんか不思議な感じだ。
人生のどこで間違えたんだろうか。
俺みたいないい息子だったらさぞ安泰だったと思うのだが、他人に迷惑をかけ続けた親父は死に、お袋は小学4年生の時に出て行ったままだ。
俺が本を出したことも、仲間と一緒に楽しく暮らしていることも知らないだろう。
俺の周りで自営をしていた人も大学に行った人もいなかったが、幸い俺は運が良かったので、俺の道を見つけることができた。
「貧乏は3代続かないから、あんたの代から豊かになるよ。」
祖母はいつも言っていた。
俺はもう貧乏じゃないし、努力のやり方を学んだ。
給食袋を配られる日は憂鬱だったし、服も全く持っていなかった。
反動が来て、塾を始めた頃はこんなのばっかりだったけど、
車も色違いのベンツを赤と白で買ったり、カスタムベルファイヤの2台持ちしてた時もある。
でも、最近ようやく落ち着いた。
劣化遺伝子を努力で克服でき始めてる気がしている。
遺伝っていうのは、いいことも悪いことも引き継いでしまう。
いいものはそのまま残して、劣ってることがあればカバーできるように努力するのがいいと思っている。
仕事をめっちゃ頑張るために、掃除を始めた。
環境を作ってから頑張るのが俺だ。
ここまで大掛かりな掃除はここ10年くらいなかったので、ここ10年で最高の結果が出せるものだと信じている。