第21回書き出し祭り感想
マシュマロで依頼を頂いたものの感想を書いていきます。
4-10 夜明けの魔法使い
思ったことを素直に書いて欲しいとのことなので、率直な感想をば。
タイトル、あらすじ、本文の順で読み進めていったのですが、全体を通して作品の雰囲気が統一されていてすごく良かったです。
災厄に終止符を打った主人公ヴィオラと、親友であり好敵手であったエレナの弟ルキアス。しかもルキアスはヴィオラに対して弟子にしてくれと迫ってくる。このメインキャラの二人がすごくいい関係性で、ストーリーが進無事にどんな関係性に変わっていくんだろうってワクワクします!
『白夜月』や『夜と共に活動的になる魔族が太陽と共に現れた』みたいな、興味を引くワードがあらすじに散りばめられているところも良いですね!
本文中で自分が特に良いなと感じたのが戦闘シーンですね。読み飛ばしてしまうくらい戦闘シーンを読むのが苦手なんですが、そんな自分でも誰がどういう動きをして、何がどうなっているのかというのが非常にわかりやすかったです。
雰囲気が良かったからこそ、少し惜しいかもと感じたのが、描写が少し淡白だったところかなと。キャラの心情描写であったり、情景描写であったり。文字数制限的に厳しいのかなと感じつつも、じっくりと腰を据えて読みたいなと感じました。
3-12 犬と香りとイノベーション
すごく面白くて好みの作品でした。コメディ好きの読者として、笑いたいなら是非! とおすすめしたい一作です。
あらすじの段階でくすりと笑わせてくる完成度に仕上がっており、本文もその期待通りに読み進められました。前半を読んでいるだけでも面白いなあと感じていたのに、後半ではアルラ社長が「実は昔は苦労してたのよ」とギャップを見せてきて一気に引き込まれました。この一話を読めば出てくる3人のキャラが掴めるだけじゃなく、アルラ社長のこと好きになること間違いなし! アルラ社長大好き。
また、文章に関してかなり削っているとマシュマロで書いてありましたが、違和感を感じることなくスラスラと読み進められました。地の文でも笑わせられたし、完成度が高すぎる。
以上を総合的に見て、非常に書き慣れた上手い作者様だと感じました。
キャラが魅力的なのに地の文でも笑わせてくるってどうなってるのよ……。
1-21 ユピテル09は宇宙を目指す
ユピテルさんからマシュマロが届いて笑っちゃった。ユピテルさん早く姫様のところ戻ったげて。
冗談はともかく、極上の蜂蜜の如き甘さをご所望とのことなので、世界甘いお菓子と称される「グラブジャムン」のような感想をお送りいたしましょう。
前半はSF、後半はファンタジーとそれぞれで文章の雰囲気も違って、よかったです。特に前半のSFを読んでいるワクワク感がすごく好き。
SFの 描写が安定しており、本当にその場にいるような、簡単にその状況を理解できる良い具合の描写だと感じました。しかも、キャラも良い。
ユピテルはユーモアがあるし、操舵長も読んでてちょっとコミカルで可愛く見えました。
ここからどんな風に国に帰るんだろうというワクワク感がすごくよかったですね。
そして最後の最後でユピテル達とエルフのエルシィたちが邂逅するところ。ここの
「ガラクタめ、頭が高い」っていうユピテルのセリフがすごく好き。
ユピテルの強者感、ゴミを見るような目で見てるんだなっていうのがわかるのがすごく好きです笑
後半のファンタジーも王道はしっかりと押さえているし、SFとファンタジーどちらも楽しめる和洋折衷のような、いいとこ取りな作品でした!
3-2 神の庭に住むこどもたち
まず率直に申し上げると、すごいです。上手いです。
読み始め、すごくしんみりした雰囲気で始まって、悲しい感じの物語なのかな? と思ってました。主人公の体が成長しないだとか、親の喧嘩を姉弟でこっそり見ていただとか、読み進めていくごとに段々と情報が開示されていくんですが、その度に読む手が止まるってことがないので非常に読みやすい。
終盤に出てくる病院関係の人へのヘイト管理もすごく上手ですね。なんやこいつらって思った笑
で、最後の方まで読み進めていくと弟くんの一言でガラリと印象が変わる。合言葉、姉ちゃんの仲間と前半前読んでいたものとはかけ離れた単語が出てくる。でも違和感を覚えることなく受け入れることができる。それくらい引きを作るまでの道作りが綺麗で、引きも上手い。
素直にお見事です。
3-13 【略名は本王女で】本当の貴方は王女様ですと言われたので、別の世界に行ってきます!
良いところ教えて欲しい! とのことだったので、まず結論から行ってしまうとキャラが良い! です!
読んでいて文章がさらっとしてるな、淡白だなと感じたのですが、おそらく余分な文章入れるくらいならキャラを掘り下げよう! って書いたのかなって感じました。そしてそれがヒーロー二人がどういうキャラなのかわかるっていう結果として出ているのではないかなと。
『貴女が大切です』って主人公をすごく丁重に扱ってくれる、白馬の騎士のようなルヴィン。対して、国が大事で『お前のことは認めない』とぞんざいな扱いをしてくるけど、守るものは守るとちょっとツンデレっぽいグーシュ。
なおかつ、主人公の心情もしっかりと書いているので、すんなりと感情移入もできる。元いた世界の自分とは変わった綺麗な自分の顔、でも浮かべる表情は情けないまま。ここの一文とかすっごい好き。
4000字でここまでキャラを掘り下げているのはすごいなと感じました。キャラの扱いが上手な作者様なんだろうなあ。
1ー1 多分これが一番早いと思います〜妹の安全が第一なので急いで魔王を討伐しました〜
このタイトル、内容でちゃんと1ー1を勝ち取ったって言うのがまずすごい笑
兄と妹(勇者)で魔王の討伐RTAをするコメディもの。
妹は自分が魔王を倒すことで兄に名声を……!という目的から。対する兄は、可愛い妹が危険に晒されるのが嫌だから、という目的から。この絶妙なすれ違いから、面白くなるんだろうなと言う予感がひしひしと伝わってきますね。
しかもなまじ妹が強いが故に、これ以上に強い兄なんて実在するのか……?とパーティーメンバーから疑われ続けるという。この勇者パーティーと兄が邂逅したらドタバタするんだろうなーっていうのが想像できて、今から楽しみですね……!
3-25 数の魔法使いは女神さまを振り向かせたい
面白かったです。
言葉の魔法使いが使う魔法書と対になるような、数の魔法使いが持つスマホ。主人公がスマホを使って数の魔法を操って、惚れた神宇を引くために奮闘する、と。
設定がしっかりしたファンタジーに恋愛が混ざり、しかも情報がごちゃごちゃになることなく両立できていたので、上手いと感じました。最後の主人公が女神に惚れちゃったって言うところとか、ニヤニヤが止まりませんよ。スコットもすごいいい人そうだし、キャラもすごい魅力的ですね。
「こうして欲しい」と言う意見があれば、とのことなので強いて言えばってレベルの指摘をさせていただくと……。
数の魔法ってどんなものか少し想像しにくかったって点と、概念出身の神様ってところでもう少し情報が欲しかったかなと感じました。
数の魔法に関しては、ユニークな設定なのでいくつか具体的な例があれば理解しやすいのかな? スマホで他にもこういうことができるよ、みたいな。
神様に関しては、文字数の問題もあると思うので、書き出しの段階では『他にも神様がたくさんいる』って情報に留めておいて、ちゃんと説明できる時まで情報を隠すって手段もあるのかなと思いました。
1-24 今日も猫とともに
三十手前無職の桜と高校生の翔太、そして通い猫であるタロ。あらすじにある通り、幸せを探しすふんわりとした雰囲気の作品なのかなと思いながら読んでたら、最後の引きでひっくり返りましたね……。猫かわいいとか思ってたのが罠でした。
桜さん、人殺しちゃったんですか……? 四人も。思わず敬語になっちゃうよ。
確かに、ところどころおや? と思うような不穏な空気はあったけれども、まさかそうくるか、と最後の最後でどんでん返しを食らいました。
終始丁寧な描写で、かつ桜さんの素朴な人間性を見せられていたので、ラストの引きでは一体どういうことなんだ!? と続きが気になる終わり方で、読んでいる人を次の話に繋げられる良い書き出しだったと感じました。
2-13 島流しされた濡れ衣令嬢、絶海の孤島で赤竜と出会う。
すっきりとした文章で読みやすく、スラスラと読むことができました。特にマンティコアの生態が詳しめに書かれたのがすごい好きポイントが高かった……!
キャラクターの印象と、今後の予想・期待についての感想をご所望とのことなので、そこら辺を重点的に。
最後まで読んでみて、主人公のアミュレットへの印象は薄かったなあと思いました。ただ、もしかするとこれは意図的にそういう印象を抱かせたのかな?って。
『追放されてからしばらくして、ただ一人のアミュレットとして過ごしてみよう』とか『ーー死ぬにしてもーー』とか、心情描写があっさりしていた。しかも、『生涯を王太子に嫁ぐために捧げてきた』とあらすじにあったので、今までは他人(王太子)を優先していたけど、追放されたので自分の気持ちを優先しよう。って流れになるのかな……?なんて勝手に想像してみたり。そのために意図的にあっさりした心情描写で済ませたのかも?なんて。ラストで赤竜が『小屋はその辺りに作るといい』って言ってたので、赤竜のお膝元でゆっくりスローライフを過ごすのかな?とかちょっと妄想が膨らみました笑
4-14 マリファナ売りの少女
とんでもないタイトルだなと思ってたけど、内容も凄かったですね……。
大麻を売って生計を立てている少女と、仲間に大麻が売られているのが許せないサショウ。この2人が出会ってある謎に気づき、バディになる。二人の関係性からワクワクするんだけど、いかんせん闇が深い笑
前半で二人のラップバトルの内容書かれてるのびっくりしました。読みながらリズムに乗れたし、きっと相当考えて作られたものなんだろうなあ……!
後半は特に緊迫感凄かったですね。情景少ないながらも、読んでいて簡単にそのシーンを思い浮かべられる。前半後半で視点も違うのにしっかりまとめあげられていてすごかったですね。
題材しかり、構成しかり、なかなか攻めた小説だなと感じました。
4-25 貧乏令嬢の花婿探し 〜なぜか、悪役令嬢に溺愛されるなんて聞いてませんけど!?〜
キャラの魅力について中心的に感想が欲しいようなのでその通りに。
個人的に好みの作品でした、面白かったです。
キャラに関しても良かったと思います。特に主人公。
あらすじの段階で主人公のキャラが立っているし、読み進めていってもキャラがまったくぶれない笑
レオンに惹かれてはいたけれど、そんなことより金づる……もとい婚約者を見つけようと奮闘するぞ!って感じのハイテンションで元気のあるキャラ。
そんな主人公に対して、2人のキャラがアプローチをする。自分が転生者だと宣うイザベラと、第3王子のレオン。この2人も少ししか出てきていないのにキャラが濃いし笑
読み口をとにかく警戒で読みやすく、作品の雰囲気にも合致している。
この1話の段階で、この先このキャラ達のドタバタコメディ(ラブコメ?)が展開されるのかなって期待できるので、すごく良かったです。
1-2 ドキッ♡ヤクザだらけの異世界転生〜仁義もあるよ〜
好みの作品でした。終始読みやすかったし、すごく良かったです。
中盤の説明もすんなり読み進められたし、相当書き慣れてる方が書いた作品なんじゃないでしょうか?
どういったポイントが良かったのか聞きたいようなので、その通りに。
個人的に好きなのは、主人公とヒロインの温度差でした。主人公は転生して、好きに生きてやるぜ的なちょっとローテンションなのに対し、ヒロインはグイグイ引っ張っていくようなハイテンション。あらすじに書かれてるけれど、主人公が「史上最悪の組長」になるまでの物語、と。ヒロインが主人公を振り回すような感じになるのかなって先の展開が非常に想像しやすい。王道ですごくいいよね。
んで、最後にすごい気になってしまうところなんですけど、実母に撲殺されたってところ。主人公は色々あったって言ってたけど、一体何があったの……笑
1-4 こひつじちゃんとおおかみくん〜またその手を取れる日を夢に見て〜
詐欺でした。この作品、詐欺です。
まあ、冗談は置いといて……依頼文には「変わり果てた姿の幼馴染を前に、主人公の少年が頑張ろうとするお話」ってあったり、あらすじに、「遥が、羊になった」ってあったり。嘘はついてないんですよね、ただ情報隠してあるだけで。
読み始め、羊に変わったとかあらすじにあるから、ゆるキャラみたいになったのかなーとか思ってたら全然違って度肝を抜かれましたね。
監禁中に何があったのかって情報を一切出さず、遥の現状を描写することで何かとてつもなく悲惨なことがあったであろうことを読者に想像させる、と。
しかも何がヤバいって、この主人公彼女持ちなんだよなあ笑
もうドロドロした展開しか想像できないよ……笑
とんでもない闇が詰め込まれてますよ、この作品。こんな暗い作品だとか聞いてない。
作者様の闇が垣間見えるといいますか、とんでもないものを見た気分だ……。
3-7 僻地コンビニの雇われ宇宙人店長はKawaii原生生物が好き
宇宙人と陰口を言われる位ズレている主人公。その正体は本物の宇宙人だったーー。
宇宙人だからこそ、地球のノリ、というか人とのコミュニケーションの取り方がズレているというのが面白さのキモになっている作品ですね。実際に主人公とおじさんが会話しているところなんて、現実世界でも見そうな場面で、くすりと笑いながら読んでいました。そして、そんな主人公を茶化す経営者のお姉さん。いいよね、お姉さん。少ししか出てこなかったけど、すごい好きなノリでした笑
最後には何者かに襲われていそうな女性客が助けてください!と言いながら登場して、引きもバッチリ。終始軽いノリで非常に読みやすく、こんな面白いノリが続くんだろうなって期待できる良い作品だったと思います!
2-1 シナスタジアの聖女、今日も最前線を往く
感情や性質が色として見えるという共感覚を持つ主人公が、純真な白色の勇者と悪意である黒を纏った騎士を見かけ、これはまずいことになりそうだぞ! と主人公はこの共感覚を活用して戦場をかけながら幸せを掴む物語。
なんですが、初っ端から主人公さん何してるの!笑
乱れた教会関係者から子羊(少女たち)の貞操を守るために、司祭へ渡すように頼まれたおそらくラブレターであろう手紙を勝手に処分するという笑
確かに善行ではあるけれども……主人公、いいことしてやったぜって絶対にほくそ笑んでるじゃん!!笑
そして後半では白色の勇者と黒を纏ったドラゴン、騎士も登場する、と。状況的には、いきなり街に襲撃してきたドラゴンが、たまたま居合わせた勇者に狩られるように見える。けれど、共感覚を持つ主人公だけは誰かの意思によって作り出された状況だとわかる。主人公だけが悪意を察知していて、それを阻止しようとしてるって状況がもうワクワク止まりませんよ!!
1-15 Re;TRY!〜どうか、今度こそ殺されませんように!〜
狐面の自称神様から9回分の命をもらい、現世に舞い戻った主人公。しかし、その命もついには8回目……しかも毎回元カレによって殺害されていた。今回こそはと主人公は元カレに出会わなければ問題ないと考えるのだが……?
どう執着させたいのかが見えたかどうか、みたいなところが聞きたいようなので、その辺を重点的に。
一通り作品を読んんだ感じ、こんな感じになるのかなって先の展開が想像できました。
元カレと出会わないように、という策は失敗。なら、元の世界で元カレが浮気していた相手を当てがえばいいんじゃね?って考えから、元カレと浮気相手を恋仲にさせるべく奮闘していく……しかもその作戦の結果に自分の命がかかっているんだからそれはもう必死に二人の中を取り持つことでしょう。そしてその中で、なぜ元カレは主人公を殺すのか、8回目の生のはずがなぜ生命線の本数が〇になっていたのかといった、謎が回収されてくのかなあ?
2-6 勇者でしかなかった女は、孤独な魔王と結ばれない
結論から言ってしまうと、すごく綺麗な作品でした。
構成も作品の雰囲気も、全てが綺麗。読み進めていくごとに提示される情報も詰まることなくスラスラ読めたし、4000字以内っていう制約の中でここまで書けるのはすごいです。
3回も場面変換(視点変換も含めて)してるのに、よくぞここまで仕上げられましたね。相当文字数カツカツだったろうに、もう本当にレベルが高すぎる。
キャラの関係性も対比も、良い。虚無感があるという共通点がありながらも、勇者と魔王という絶対に分かり合えない関係性、いいよね……。
そして最後の引きもまた良い。『一度目の決別の瞬間だった』ってこれから先に対する期待感も爆上がり。結ばれるまで何度も何度もこの二人は対峙するってことだよね。
もう全てが良すぎるよ、この作品……。
1-13 亡くした初恋~王女が結婚したがらない理由~
生涯結婚しないといいはる王女様と、そのお付きになった主人公騎士のお話。しかも、そんな主人公にはとある国の王子様だったという過去があって……というお話。
主人公と王女様、小さい頃に会ったことあったんですね。しかも何やら過去の回想では雰囲気が悪くなさそうな感じ。しかも、読んでいて感じたんですけど、ヒロイン、主人公が小さい頃に会った王子様だってこと実は気付いてたりしない……? で、その王子様のことがどうしてもきになって忘れられなかったから結婚しません! って言いだしたりしてない……?
あらすじのジレジレ純愛という説明もあり、実は主人公の身分がヒロインにバレてて、徐々に徐々に距離詰めていく感じの恋愛になるんじゃないかとこの先の展開が期待感爆上がりですね……!
1-23 ふたりぼっちの硝煙使い
書き出し祭りで歴史ものとは、なかなか渋い題材を選びましたね笑
まったくと言っていいほど歴史に疎い自分ですが、それでも読めるくらい読みやすかったです。「マイナー歴史を取り扱ってる」とは依頼文にも書いてありましたが、この作品を読んで初めてそんな人たちいたんだなあと思ったくらいでした笑
でもそれでも詰まることなくすんなりと読めたし、知識がなくても読める作品になっていたと思います。
個人的に一番記憶に残っている場面は清大夫が銃に話しかけてたところかな……笑
こ、こいつやべえ奴だ!って読みながら思ってしまった……笑
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