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英語学習は宗教だ。救いは大阪のオッチャンYouTube英語講師ヒコジローにあった

アメリカ人の友達が「日本て何でも神社に祀るよね。オレ英語神社やろうかな」と言ってるのを聞いて「それ、イケる」と、膝を打ったことがある。

日本人にとって、英語学習は宗教だ。
その道の先には、今の自分をリセット(成仏)でき、人としてのステージが上がり、人生が極楽になると信じられている。(女にとってのダイエットにも似てる)

仏教には、悟りという一つの目的のために、多くの修行の宗派や修行法がある。英語宗教界も同じだ。「英語ペラペラ」という一つの目的に向かって、無数の学習法や学校が乱立している。

ボッタクリやカルトが横行しているのも、宗教と英語教育の世界の似ているところ。
YouTubeの英語動画を見てほしい。「一瞬で!難聴フレーズのリスニングできます」と大道芸みたいな番組や、何処の馬の骨かわからん「ネイティブ」や帰国子女がオラついている番組。ナルシスト教師による、まるで新興宗教みたいなノリの番組もある。(私も相当見ましたがな)

道が無数にある以上、魔界への道も多い。
「布施を払えば払うほど救われる」と思うのか、とにかく「ネイティブ」を信仰してしまって無意識にレイシズムに染まるのか、試験スコアと教えるスキルとは関係ないのに講師のTOEIC高得点をリスペクトするのか。
そうこうしているうちに、教材ショッピングや「やってる感」中毒に陥ってしまって、ただ一つの目的「英語ペラペラ」を見失って、時間とお金がどぶに消えてゆく。

「話せない」原因はお釈迦さまが禁じた苦行=ガリ勉だった

仏教の話に戻る。
お釈迦様は苦行を禁じている。
「修行した自分」に酔いしれて、尊大になるからだ。これは英語学習においては「ガリ勉の罠」だと思う。

自分のことを話せば、四十も半ばを過ぎて通訳学校に通いtoeic890、通訳案内士資格も取得したが、いつまでたっても普通のアメリカ人のナチュラルスピードの会話が聞けない、話せない。10年以上やって仕事に使える英語になってないというのは、明らかにやり方が間違ってるのだが、原因が直視できなかった。

なぜなのか、今ならわかる。
ヒアリング試験に出てくるようなニュース英語(エリート的な教材)をガリ勉して、日常の話し言葉をどうも下に見ていた。そんなんじゃなくてニュースキャスターのように、きっち話してやる、とムキになってスペル通りの発音をしようとしたり、そんな「勉強」すればするほど、結果はでなかった。
無限地獄に堕ちた。

大阪弁のオッチャン「ヒコジロー」の英語道場に入門

ユーチューブの英語動画をふらふらしているうちに、怪しい勧誘がトントンと肩をたたいて「お時間ありますか?」と呼び止めるがごとく、アルゴリズムさんがリコメンドに上げてきたのがヒコジロー

確かに時間はあるのだが、いやこれはクリックをためらうコテコテのサムネではないですか。それでも、ものは試しと試聴してみたら、講習内容はサムネに劣らずコッテコテだった。英語ユーチューバーの大半を占める帰国子女や、ハーフ講師のスカしたノリと大違い、超異色である。

キツい、、、、。ワタシが心底悩んでいなければ、このサムネをクリックする勇気はなかっただろう。内容は、問答無用の実践レッスン。迷っている時間こそ無駄だった。
観た30分後、イヤでもヌートバーとタメ口でしゃべれるようになっている(たぶん)。「ネイティブ発音への近道」に力づくでグイグイ押し込まれる。絶対に逃げられない最強の学習メソッド。

動画のビジュも、もれなくコッテコテ。発音をぶっとい赤や青のフォントでカタカナ表記しながらイントネーションやリズム指示をする展開は、聞けないことにぐずぐず言い訳を言ってた英語迷子をはがいじめにして、リスニング&スピーキングの近道に押し込むような強引さがある。

ファレル・ウィリアムスの歌で「歯茎音」をレッスン

解説も、居酒屋で隣の卓にいる面白いオッチャンの話を聞いてる感じでいい感じにゆるい。

ヒコジローさんは音楽がお好き(英語は嫌いらしいです)らしく、洋楽を使ってリズムやリダクションを説明するレッスンが多い。90年代に青春を過ごした方らしく、ジェネレーション感じる選曲が、たまに泣ける。

たとえば、「これいい歌なんですよ、歯茎音よくわかるから」と、「l」の発音の教材にしているのがファレル・ウィリアムスの「ゲットラッキー」。

今やルイ・ヴィトンのデザイナーのファッションアイコンのファレルが、まさか自分の口元アップにトリミングされて「舌を前歯におもっくそ触れろ」とキャプションつけられてるとは思うまい。

「歯茎音いいですか? 発音の勉強するために聞くんじゃなくて、本気でゲットラッキーする思いでやってるから、そういう思いでやるから、できるんです。だから僕は、アンタと差がついてるの!(興奮してなぜかオネエ言葉)これ、ほんとですからね。そういう人生送ったらいいんですよ」。

高スコア取りたいからでも、ええカッコするためでも、スキルアップのためでもない。人生楽しむためにやる。それがヒコジローさんの本音なんだろう。こんな英語講師、今までいました?

地獄に落ちて初めてわかる、念仏授業のありがたみ


ヒコジローさん自身が40を過ぎて初歩から自力で工夫をしながら英語を学んできたそうで、レッスンは、そのプロセスを愚直に開示している。スコアは高くとも、そのベーシックをやってこなかった人は、一緒にやりなおすと初心に帰れると思う。ステップごとのアドバイスは、苦労して勉強してきた人ならではのリアルさが沁みる。

壮麗な伽藍で目をくらませるのではなく(高額な教材)、総本山の正統性(ネイティブ講師)を誇示するのでなく、「念仏を信じて一緒に唱えましょう」と言っているのがヒコジローさんだ。シンプルで、迷わない修行法がここにある。
必要なのは、コテコテのサムネをクリックする勇気だけ。
何年かかっても前に進めなかった道が少しづつ開いてきた感じがする。
地獄に落ちて初めてわかる、有り難みだ。

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