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京都経済倶楽部跡でヨーゼフ・ボイスに会う

京都の四条烏丸のCOCON KARASUMAで、空きスペースを占拠(スクワット)して期間限定で文化的コンテンツの発信を行う「SKWAT」とtwelve books のポップアップショップ「Thousandbooks」が開催中。会場は、京都経済倶楽部跡。B品やサンプルも含め、アートブックが1,000円均一で販売されているお値打ちなイベントだ。今回会場となる「空きスペース」は、京都経済倶楽部跡。2005年、経済人の会員制の交流の場としてにここに設立された。

本の販売とともに、ヨーゼフ・ボイスの関連書籍、資料をあつめた「Beuys Room」の展示、映像の上映がされていた。

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ヨーゼフ・ボイスは、社会活動や環境問題に真っ向から取り組んだコンセプチュアル/ポリティカル・アーティストとして知られている。ドイツの左翼「緑の党」支持者で、資本主義や権力に管理された世の中を正すアクションを「社会彫刻」と呼んだことなど(ざっくりですいません)、いまザワザワきている社会状況をばっちり予見している。

だから偉いんだ、という話じゃなくて。

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ボイスは、80年代初頭に来日。バブル絶頂期のセゾン美術館での展覧会があったのだが、洋酒の広告への出演、コヨーテとエアーで遠吠えを交わし合う謎のパフォーマンスのサブさ、セゾン系媒体の、読者置いてけぼりなはしゃぎぶりもあいまって、資本主義を糾弾しながら、そのど真ん中でドヤっているかのような異様な印象をうけた。

今となっては、どんなアートも資本主義やマーケットと切り離して語ることはできないことがわかるし、ハンス・ピーター・リーゲルが暴露本「Beuys: Die Biographie」についてのインタビューで語っているように、ボイスの数々の神話にウラがあることも、大いにアリだと思える。しかし、それも今となっては、アーティストの病理として興味深く、多面性という魅力として感じられる。

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この京都経済倶楽部では高級ワインうやカラオケも楽しめたようだ。おじさまたちのグリッターな欲望の残り香をたたえた空間から什器が剥がされ、そこを占拠して、アート本とボイスの資料が並べられた。こんなふうに一つの論理でくるまれない世界が現れ続ける(消え続ける)ことがアートだと思う。

本も買わんとすいません。断捨離中でして。



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