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○ いつかのメモ 〜 出産ふりかえり
雨の日用のウインドブレーカーを着るとポケットから小さなメモが出てきた。
『 ○時○分いたみ、○時○分出血あり → ○時にtel 』、時間がいくつも並んでいて、産婦人科へ陣痛間隔を伝えるためのものと気づいた。
あの日も雨が降っていて台風が来ていた。産婦人科へ到着したら雨足が弱まり、分娩室のベッドに横になると緑と枝が揺れているのが窓から見えた。
逆子だったり色々あって緊急帝王切開になった。とてもこわかったけど赤ちゃんは無事に産まれてくれ、麻酔がきれた時にあんなに恐れていた出産がとにかく終わったとほっとした。陣痛はいつどこで来るか分からないものだからとても怖かった、夫の休みの日の明け方に来てくれて良かった。
NICU搬送もなくミルクの飲みっぷりが良いですよと言われた。産まれたての子の印象はとても堂々としていて『 産まれましたけど何か?』という雰囲気だった。どっしりゆったりしていて、ああこの子はもう大丈夫だな、なんて思った( 私よりずっとしっかりしてると )。
染色体の事がわかったのはそれから半年後になる。不安になりがちなので、その頃何も知らないままで良かったかもしれないと思う。ゆっくりわかってこころの準備をして段々馴染んでいった(今も勉強中)。
陣痛間隔をメモすることはこの先もう無いかもしれない、( 弟妹を産んでやれなくてごめんと思うけど )それはそれでマルと思いたい、マルということにしよう。
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