「建築女子と巡る。」 〜丸の内編〜
はじめに。
こんにちは!「建築女子と巡る都内さんぽ。」のMikakoです。
Instagramを飛び出して、「ガイドブック」という形で建築をご紹介していきます。建築ってどうまわるの?を解決すべく、「建築の巡り方」をご提案しています。第一回目の今回は、有楽町駅〜東京駅をたどるルート。
このガイドに沿って巡っていけば、十分楽しめるように組んでいます。
途中、ひとやすみの時間も作っていますので、まったり自由な時間を過ごしてくださいね!
まずはざっくり、丸の内の歴史をご紹介します。
今の丸の内は、1890年、当時の三菱社の社長だった岩崎彌之助が、
明治政府の要請を受けて丸の内一体を取得した、その時からはじまります。1894年には「三菱一号館」が、日本初のオフィスビルとして竣工し、
次々に、開発が進んでいきました。
古いものを残しつつ、新しく進化を続ける丸の内を、ゆったりと巡っていきます。半日あれば回れますが、ぜひ、時間を気にせず、のんびりと巡ってみて下さいね!
【追記】
ガイドブックのルートをまとめました。
記事を開いたまま、マップも開いて建築巡りができるようにしました。
では、一緒に、巡っていきましょう。
第一生命日比谷ファースト
有楽町の駅から歩いていくと見えてくる、いかにも歴史がありそうな建物。
それが「第一生命日比谷ファースト」です。
みて下さい、この窓のいかつさ。幾何学の格子の重厚感たるや。
当時の名前は「第一生命館」。設計は、渡辺仁さん・松本与作さんの両名で行われ、昭和13年(1938)に竣工しました。
渡辺仁さんは、上野の東京国立博物館 本館を設計された方。古代ローマのようなクラシカルさは、ここにも健在です。
戦後にはGHQの庁舎に選ばれ、マッカーサー総司令官はここに滞在したそう。今でも、マッカーサー総司令官室が保存されています。
一般の見学ができないのが残念。
中の部屋は見学ができないのですが、一階にはギャラリーがあり、そこは見ることができます。高い天井と重厚感満載の空間に、アートが展示されており、アートはもちろんなのですが、まずその空間の圧力に押されてしまいます。ただ、呆然と立ち尽くす。そんな時間が流れます。
Information ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名称:第一生命日比谷ファースト
設計:渡辺仁・松本与作
竣工:1938年
住所:東京都千代田区有楽町一丁目13番1号
投稿:
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〜ひとやすみ〜 MCR HIBIYA
第一生命日比谷ファーストの手前、日比谷よりの建物「蚕糸会館」。
この建物の一階にあるカフェが「MCR HIBIYA」です。
内装は白やゴールドがメインで、奥にはアクセントの青のベルベットのソファが。おしゃれな雰囲気でいっぱいのお店です。
スペシャルティーブレンドコーヒーとパティシエが焼いたパウンドケーキやカヌレ、クッキーが用意されていて、いろんな種類のスイーツを楽しむことができます。今回は、パウンドケーキと、アイスコーヒーを。
日比谷ファーストに行く前や後に立ち寄れる、おしゃれカフェです。
ぜひ、ふらっとお立ち寄りを。
Information ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名称:MCR HIBIYA
設計:CALM DESIGN STUDIO
竣工:2022年
住所:東京都千代田区有楽町1-9-4 蚕糸会館1F
投稿:
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帝国劇場
第一生命日比谷ファーストを出て、皇居を横目に進んでいくと、
たくさんの人が並ぶのが見えてきます。
そう、帝国劇場です。ここでは連日、ミュージカルやコンサートで賑わいを見せています。
開場式は、1911年(明治44年)。横河民輔さんの設計で建てられた建築。渋沢栄一や大倉喜八郎といった財界人が先導に立って進んだプロジェクトでした。その後、1923年の関東大震災で一部消失しましたが、改修を経て、今に残っています。
現在の建築は2代目で、1966年に谷口吉郎さんによって建てられたもの。
丸の内の雰囲気に馴染むモダニズム建築。ここが、自由に中を見られないのは残念すぎます。もちろん、ミュージカルを見に行けば中が見られるので、ぜひとも、いつか入ってみたいです。
2025年には一時閉館してしまう「帝国劇場」。
新たな帝劇に出会える日が楽しみ。
Information ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名称:帝国劇場
設計:(初代)横河民輔/(2代目)谷口吉郎
竣工:1911年/1966年
住所:東京都千代田区丸の内三丁目1番1号
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出光美術館
谷口さんの帝国劇場は、出光興産の本社ビルと一体になった建物。ビルの最上階は、出光興産の創業者、出光佐三さんのコレクションを所蔵する美術館「出光美術館」があり、雰囲気を味わうことができます。
展示される日本美術は、見れば心が落ち着くものばかり。ただそこにいるだけで、心が洗われる気がします。
ロビーは、皇居側がガラス窓になっていて、休憩スペースに。
ゆったりと椅子に座って、皇居を眺める。
こんな贅沢で優雅な時間が、あるでしょうか。
Information ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名称:出光美術館
設計:谷口吉郎
竣工:1966年
住所:東京都千代田区丸の内三丁目1番1号
開館時間:午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:毎週月曜日
入館料:一般 1,200円/高・大生 800円/中学生以下無料
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東京會舘
美術館を後にして、次に向かうのは・・・
「東京會舘」。何度でも足を運んでしまう場所です。
竣工は1922年11月。「世界に誇る施設ながら、誰もが利用できる人々が集う社交場」を目指して建てられました。
1923年の関東大震災、そして戦時下の激動、終戦後のGHQによる接収・・・数々の嵐をくぐり抜けて、今に残っています。
1934年には、日本初の鮮魚介料理店が開店。これが今、東京會舘を代表するレストラン「プルニエ」なのです。本当に、歴史が深い。
1971年に本館が改修されるのですが、これを設計したのが、谷口吉郎さん。
丸の内の谷口吉郎さん率の高さたるや。大好きなので、嬉しい限りです。
谷口さんのモダニズム建築は、ここにも健在。
ロビーには、猪熊弦一郎さんによるシャンデリア「金環」。そしてモザイク画「都市・窓」が。「金環」は、もう今は見られないのですが、デザイン踏襲したシャンデリアが今も飾られ、館内を彩っています。
現在の東京會舘は3代目。モダンなデザインに変更されながらも、今までの歴史を紡ぐデザインを残した内装は、つい見惚れてしまうほど。
中々入りにくい雰囲気はありますが、入ってみれば、スタッフの方が丁寧に案内してくれます。天井が高く、開放的な空間は優美そのもの。
1階には、有名な「マロン・シャンテリー」を初め、季節のスイーツが買えるショップがあり、お土産におすすめ。
エレベーターを上がり2階にいき、螺旋階段を見あげると見えるのは、大きなシャンデリア。螺旋階段にシャンデリアなんて、こんな贅沢なものが見える場所、初めてです。螺旋階段の壁には、鏡がはられているのですが、実はこの鏡にも面白い仕掛けが。これは行ってみてのお楽しみ。ぜひ、行って、確かめてみてくださいね。
Information ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名称:東京會舘
設計:(2代目)谷口吉郎/(3代目)日建設計
竣工:(初代)1922年/(2代目)1971年/(3代目)2019年
住所:東京都千代田区丸の内3-2-1
投稿:
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明治生命館
さて、次にやってきたのは、またもクラシックな外装の建物。それが、明治生命館です。古典主義様式の最高峰として高く評価され、今でもその姿を残しているこの場所。この建物は、1934年に岡田信一郎さんの設計で建設されました。岡田信一郎さんは、東京ではニコライ堂や歌舞伎座を手がけた建築家として知られています。
1945年には丸の内にある他の建物と同じく、GHQにより接収され会議室などとして利用されたそう。ここにもマッカーサー、来たんですね!
内装は、レッドカーペットやシャンデリア。花の刺繍が美しい家具・・・。どの部屋も華やかで、目移りしてしまいます。
よくドラマで見るような、ながーーーい会議机もあり、ここに偉い人が座っていたのかと、想像を巡らせています。
中には、会議室や控え室、さらには食堂など、様々な部屋が公開されており、当時の様子を垣間見ることができます。
ぜひ、ゆっくりと、館内を散策してみてくださいね。
Information ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名称:明治生命館
設計:岡田信一郎
竣工:1934年
住所:東京都千代田区丸の内2-1-1
投稿:
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〜ひとやすみ〜 STARBUCKS 皇居外苑 和田倉噴水公園店
ちょっと足を伸ばして、皇居外苑までやってきました。
ぜひここで休んでほしい。それはここが、あの丹下健三さんの設計だから。
和田倉公園は元々、1961年に上皇陛下の御結婚を記念して創建された大噴水を、1993年6月の今上天皇の御結婚を機に、「継続と新たな発展」をテーマに再整備し、1995年6月に完成したもの。
そこに出来たこの建物、それが丹下さんの設計だったんです。元々、レストランとして営業していた場所が、今ではSTARBUCKSになり憩いの場として愛されています。
アーチ状の屋根の連なり、大きなガラスの窓。特徴的な外観ですが、中に入れば木材が多用された優しい場所。
天井が高いので開放的で、大きな窓からは、美しい噴水を眺めることができます。
さらに、このSTARBUCKSは、日本初となる「Greener Store」。
環境に配慮した取り組みがされた店舗なんです。
店内では、マグやカップでの提供だったり、持ち帰りの場合でもマイボトルが推奨されています。
店内のテーブルや椅子、什器には、北海道や東北などの国産の木材を使用して作られているんです。さらに愛着が湧いてきますよね。
さらに、店内の照明などのインテリアは、実は廃材から作られたもの。こんなに美しいデザインで、リサイクル素材だなんて・・・。
もっと他の店舗にも広がってほしいなあ、なんて思ってしまいます。
ここで頼んで欲しいのは、この店舗限定のメニューの「和三蜜 アーモンドミルク フラペチーノ®︎」と「和三蜜 ムース フォーム アーモンドミルク ラテ」。これ本当に、おすすめです。甘さも控えめですし、アーモンドミルクがさっぱりとしていて、飲みやすいドリンクでした。
このドリンクを飲みながら、噴水を眺めてリラックス・・・。幸せでしかないです。
Information ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名称:STARBUCKS 皇居外苑 和田倉噴水公園店
設計:丹下健三
竣工:1995年(STARBUCKSとして2021年OPEN)
住所:東京都千代田区丸の内3-2-1
投稿:
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KITTE -MARUNOUCHI-
カフェで癒された後は、隈研吾さんに会いに。
この建物は元々、1931年に建てられた「東京中央郵便局」の跡地に出来た商業施設。当時の建物が一部保存されながらも、新しい建物として設計されました。
中に入ると、高い吹き抜けのアトリウムが。ここに立って見上げると、天井の模様も、窓のような壁面も全部見えて圧巻なんです。これはぜひ、見てほしい。
日本各地でつくられた自然素材を用いて、日本を「つなぐ。」ことがコンセプトになっているそう。各階でそれぞれ違う素材が使われているのを見つけると、ワクワクが止まらなくなります。
「つなぐ。」にもいろいろあって、東京駅から丸の内を場所的につなぐ、だったり、館内にある博物館「インターメディアテク」は、知識をつないでいる。「つなぐ。」にも様々な意味が込められいるんです。楽しすぎる!
館内には、「旧東京郵便局局長室」や、「インターメディアテク」といった施設があり、買い物だけでない楽しさが満載。
「インターメディアテク」とは、東京大学が1877年の開学以来積み重ねてきた資料を展示した博物館。ここ、本当にすごい。
入れば、まるでハリーポッターに出てきそうな雰囲気の空間に、恐竜の標本が・・・。初めていった時には、泣きそうになるくらいの感動を覚えました。ここは2階分のフロアが博物館となっており、じっくりと楽しむことができます。企画展もやっているので、何回行っても楽しめます!
最後にぜひ行ってほしいのは、最上階にあるテラス。ここ!ここは、丸の内が好きな人はきっと、楽しめるはず。なぜなら、東京駅前広場が一望できるから。ここから見る東京駅は、絶景なんです。ドームが見下ろせて、尚且つ、周りのビルと溶け込んだ雰囲気が最高。レンガ作りが、これほどにもかっこいいのかと、ため息です。新幹線が発車するのをもみられるんですが、どこか旅に出たくなります。
昼に行っても夜に行っても、本当に素晴らしいので、ぜひ、時間を変えて、何度でも楽しんでください!
Information ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名称:KITTE -MARUNOUCHI-
設計:隈研吾
竣工:2013年
住所:東京都千代田区丸の内二丁目7番2号
投稿:
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東京駅
ついに到着しました。東京駅。辰野金吾さんに会いに行きましょう。
1914年(大正3年)に開業したこの東京駅。当初は「中央停車場」という名称で、建設が始まりました。帝国大学工科大学(現在の、東京大学工学部)の学長だった、辰野金吾さんに設計を依頼。それが1903年のこと。完成までに、11年の歳月がかかっているんですね・・・。
東京駅には、東京ステーションホテル、という素敵すぎるホテルが入っているんですが、このホテルの歴史も東京駅とともにあります。
1914年の開業時に食堂のみオープン、そして1年後の1915年にホテルとして、全面開業しています。
開業以降、関東大震災や戦時下を乗り越え、今に至る・・・。この偉大さと、重厚感、見る人に感動をくれる魅力は、そこからくるものなのでしょうか。2003年に重要文化財に指定され、その後、2007年〜2012年に保存・復原工事が行われ、今に美しい姿を残しています。
このレンガ作り・・・。いつ見ても最高なんです。丸の内側の「東京駅丸の内駅前広場」から見る東京駅は、昼には大空に映える姿を。夜には、美しくライトアップされた姿を見せてくれます。
駅舎としても、ホテルとしても、さらにギャラリーとしても楽しめる東京駅。歴史に想いを馳せて、ぜひ、みに行ってみてください。
Information ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名称:東京駅
設計:辰野金吾
竣工:1914年(2012年に復元)
住所:東京都千代田区丸の内1丁目
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〜ひとやすみ〜 TORAYA TOKYO
東京駅に来たら、寄ってほしいのがここ。「TORAYA TOKYO」。
東京駅丸の内南口から、2階に上がると見えてきます。
ここに来るまでも、円形ドームを上から見下ろせたり、ホテル内を通り抜けたり、、、ワクワクが止まりません。
中に入れば、落ち着いた雰囲気の店内。壁は、東京駅のレンガが目の前に。東京駅をモチーフにしたアートも飾られていて、癒しでしかありません。
そんな雰囲気の中で、美味しい和菓子や和食がいただけるんです。
ここでしか頼めないメニューや季節ごとの和菓子があり、五感で楽しめるカフェ。東京駅によったら、ぜひ、時間が許す限り、堪能していただきたい場所です。
Information ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名称:TORAYA TOKYO
設計:辰野金吾
開業:2012年
住所:東京都千代田区丸の内1丁目
営業時間:
平日 10:00〜19:00(ラストオーダー:18:30)
土日祝 10:00〜18:00(ラストオーダー:17:30)
投稿:
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おわりに。
有楽町から丸の内まで、一緒に巡ってきましたが、いかがでしたでしょうか。丸の内は歴史の上でも重要な場所であり、他にはなかなか見られないような建築ばかりが並びます。
仕事場で、電車の乗り換えで、訪れたことはあっても、じっくり建築を見たことがない方がほとんど。
ぜひ、これをきっかけに実際に見て、体感してみてください。
きっと、今までよりも、丸の内を歩くのが楽しくなりますよ!
今日のコースは、ひとりでもみんなでも、お子様連れでも楽しめるコースになっています。まったりゆったり、楽しんでいただけたら嬉しいです。
長々と、お付き合いいただき、ありがとうございました!
では、また、Instagramでお会いしましょう。
「建築女子と巡る都内さんぽ」by Mikako
@mikako_arch_tokyo