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キュンがMAX!推しの3秒は私のもの〜後編〜
推しのファンミがついに開催された。
どうぞ、推しを前に壊れた女を見届けてやってください。
前編はこちら↓
推しが登場しないまま、まさかの後編へ。
では、ここからどーぞ。
↓
ガチャっと背後の扉が開いた。
ゆっくりと後ろを振り向くと
扉の前に
満面の笑みで推しが立っていた。
ぎゃーーーーーーーーーーーー
きゃーじゃなくて、ぎゃーだ。もう、ぎゃーだ。
推しが私のすぐ横を通過した。
こんなに初っ端から。
ちょっと待って
はちゃめちゃにかっこいいんですけども!!!!
これは、やばいぞ。
これは、やばい。
やばいやばいやばい。
推しのかっこよさは、想像をはるかに超えてきた。
すぐに前方の舞台には上がらずに、会場中をウロウロ歩き回ってくれる推し。
その後を目で追う恋する乙女たち。
また私の横を通過する。
なんですかこの顔の小ささは同じ人類とは到底思えない頬の面積が狭すぎておかしい首と顔の幅が同じなんてことありますかどんだけかっこいいのよきゃっ笑った顔がはちゃめちゃに可愛いんですけどどうしようどうしよう可愛い可愛い可愛い可愛い可愛いかっこいいかっこいいかっこいい可愛いとかっこいいが渋滞してる理解が追いつかない同じ時代に生きている奇跡生きててよかった
もう、私はすでに溢れんばかりの推しへの気持ちで破裂寸前。
誰か、酸素、酸素をくれ。
そんな私の横で
「やばい。超かっこいいー」
と、米粉ちゃん。
米粉よ、いいから私に酸素をくれ。
もう、夢みたいだ。
推しが、推しが、すぐそこにいる。
私、鼻血出てないかな。
推しが舞台に上がり、マイクで挨拶。
声ーーーーーーーーーーーーー
推しは、声がいいのよ!声が!!!!!
耳が幸福。
耳が幸福すぎる。
はぁ、はぁ、はぁ、・・・・
最後までもつだろうか私の心臓。
推しのファンミがいよいよスタートした。
2024年の活躍を振り返ったり、仲良し俳優さんたちからビデオレターが届いて無茶振りされたり、その他さまざまな企画が用意されていた。
そして、ここから、推しのとびきりのファンサービスが続く。
ジャンケン大会。
全員で推しとジャンケンをして、最後勝ち抜いた人が、推しが撮影で着た衣装をもらえるのだ。
私は早々に負けた。
勝ち抜いた人に、直接衣装を手渡す推し。
いいなぁーーーーーーーーー
(よだれダラダラ。羨ましぃぃぃぃ)
次、撮影大会。
推しが会場を歩き回る。立ち止まる。
写真、動画、が許される時間。
推しが通路側で立ち止まる。
シャッターチャンス。
カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャ
動画ポチ。
ズーム。
なんなん?
ほんとになんなん?
こんな可愛い人見たことねぇです
いよいよ日本語がおかしくなってきた。
「○くーん、こっち向いてー!」
黄色い声が飛ぶ。
笑顔で振り向き手を振る推し。
会場中の恋する乙女たちがスマホを推しに向け、写真や動画を撮りまくる。
冷静になってみれば、なかなか異常な光景だ。
耐えきれず、途中で照れて走り出す推し。
マイクでマネージャーに「走るな」と注意される。
まったくもぅ困ったちゃん
思い存分に推しを撮りまくった。
嬉しくて泣きそうだ。
生きててよかった。
次、質問コーナー。
事前にファンから集められた質問に答えてくれるコーナー。
ボックスから質問が書かれた紙を推しが引く。
私は、ミラクル起きろ!と願った。
しかし、残念ながらそんな簡単にミラクルは起きなかった。
質問が当たると、推しが目の前まで来てくれる。
本人はもちろんまわりにいる人たちも正気ではいられない。
私のすぐ後ろの人が当たった。
推しがこっちに来た。
私の横の通路を通り、すぐ、すぐ、すぐ、後ろに止まった。
じっとりねっとり上から下までくまなく見る私
おおっピアスの穴が見える。
ニキビが一つできているわ!
忙しいのかしら。
顔ちっさ。
やっぱ頬の面積おかしいわ。
背が高いなぁ。
ウエストほっそ。
質問なんて何も入ってこない。
すぐそこにいる推しを目に焼き付けようと必死だ。
質問は続いたが、やはりミラクルは起きなかった。
しかし、私の隣の隣の隣の人が当たった。
その方の目の前の席が2席空席だった。
ってことは
ってことは
目の前にくるんとちゃーーーう
推しが近づいてくる。
「おっ、そこ空いてるな」って、目の前の列の人の前を「ちょっとごめんね」と言いながら通る。
きゃーと悲鳴が上がる。
そりゃそうだ。
だって、自分の膝がたぶん推しと触れ合ってんだから。
いいなぁーーーーーーーーー
膝になりたい
空いている2席のところに推しがいる。
ほんとに、すぐそこだ。
さっきより顔がよく見える。
鼻高っ。
鼻筋よ。
鼻筋がほんとに筋ーーーーーって感じ。
あたしゃ、あなたの鼻筋になりたいよ。
ここでも、やっぱり思う。
頬の面積が狭すぎておかしい。
あー、もー、質問どころではない。
瞬きするのも惜しい。
私はできるだけ瞬きするのを堪え、推しの姿を目に焼き付けた。
焼き付けるんだ!推しの姿を!この目に!!!
結局、私の質問は読まれなかった。
ちなみに、私が書いた質問は
『疲労回復どうしてますか』
切実ぅぅ。
もっといいのなかったんかい!
推しが熱いと汗をかいている。
その汗すらもキラキラ美しい。
あなたの汗は、ダイヤモンドなんですか?
ずっと見ていたいが、お時間だ。
夢のような時間は終わりを告げる。
さて。
お待ちかね。
くるのか?あの時間が。
1番の目玉。
推しとの触れ合いタイム!
くるのかこないのかくるのかこないのかくるのかこないのかくるのかこないのかくるのかこないのかくるのかこないのかくるのかこないのかくるのかこないのかくるのかこないのかくるのかこないのかくるのかこないのか
握手?
頭ポンポン?
仲良しnoterちゃんが、もし頭ポンポンあったら、髪の毛一本抜いてラミネート保存だ!とナイスなことを言ってくれた。あたしゃマジでそうするよ?
アナウンスが流れる。
「さて、これから○とのハイタッチがございます。今回はおしゃべりはなしとさせて頂き、ハイタッチ後はみなさん速やかにお進みください。順次退場して頂きますのでご案内するまで席でお待ちください。」
ハイタッチーーーーーーーーー
おしゃべりなしかぁぁ。
頭ポンポンによる髪の毛ラミネート保存の夢は敗れたが、
推しに触れるぞ
やはり、確認メールに書いてあった「順次退場」とはこのためだったのか!
恋する乙女たちが次から次へと立ち上がって1列になり、扉から順番に出ていく。
16列目の私たちもあっという間に呼ばれ、列の後に続く。
ドキドキドキドキ
私の心臓が再び激しく波打ち始めた。
おしゃべりはなしでも、何か、何か、一言声がけしたい。
何て言おう何て言おう。
きっと一瞬だよね。
一瞬でこの熱い思いを伝えられる言葉はなんだ?
語彙力ーーーーーーー!
どんどん列が進む。
焦る私。
高鳴る鼓動。
バクバクバクバク
私の心臓はドキドキ越えのバクバクに達した。
ああああ!
向こうの方に推しの手が見えるぞ!
推しはどうやら壁の陰にいるようだ。
だんだん近づいてくる。
どうしようどうしよう何て言おう!
何て言おうーーーーーーーーー!!!!!
と、考えている間に私の番。
〜ここからはスローモーションなイメージでお読みください〜
(BGM Beauty And The Beast)
推しが目の前にいる
目が合う
「ありがとうございます」
と言いながら推しが両手を差し出す
私はそこに自分の両手をそっと重ねる
推しが優しく微笑む
推しの瞳が私だけを見つめる
推しの手はとても大きく温かい
「ありがとうございます」
と私は推しに伝える
思い返せば、推しに恋してから私の日常がほんのりピンクに色づいた。
ウハウハのLINEを米粉ちゃんと送りあってキャーキャーしたり、
推しに会うために美容院に行き真っ赤なネイルをして服やカバンを買った。
ただキャーキャー言ってるその時間が楽しくて。
そういうシンプルな楽しさは、私を笑顔にしてくれる。
私が笑うと
家族も笑う。
しんどかった毎日がパッと明るくなった。
だから、私から出た言葉は
「ありがとう」という推しへの感謝の気持ちだった。
私は、推しと重ねた両手を見ながら感動していると、後ろで米粉ちゃんが
「かっこいいーーーーー!!!」
と言いながら推しとハイタッチをしていた。
私との温度差よ。
しかし、どうしようこの両手。
洗いたくない
そんなわけにもいかないので、まだ新鮮なうちに推しと触れ合った両手を鞄にゴシゴシなすりつけた。
少しでも推しの要素をどこかに閉じ込めておきたかったのだ。
米粉ちゃんがそんな必死すぎる女の姿に爆笑していた。
ファンミ会場を後にして、向かうは隣のビルのスターバックスだ。
インスタで「推しにお花をみんなで送ろう」という企画に参加した。その企画した方が花代を皆んなから徴収するためにスターバックスで待っている。
米粉ちゃんは私の付き合いでファンクラブに入ってくれたので、リアルな推しのファンの方と交流するのは初めてだ。
花企画に参加した目的は、推しに花を贈りたいということの他に、推し友を作りたいと思ったからだ。いつまでも米粉ちゃんに甘えているわけにはいかない。彼女を解放してあげなければ!
私は積極的に絡みに行った。
みなさんとても良い方達ばかりで、中でもものすごく気が合う人を見つけた。
私たちはすぐに連絡先を交換した。
その推し友たちとキャッキャしているのを、米粉ちゃんが後ろの方で見守っていた。
あんた、よかったね。
と、これで私の役目は終わったと言わんばかりにニコニコ微笑んでいた。
そして、なんとその仲良くなった推し友は、私と同じ沿線に住み、息子が不登校だという共通点があった。
推しが繋げてくれた縁だなぁ、と感動した。
あー
しかし、推しの余韻がすごすぎる。
この余韻がいつまでも続けばいいのになぁ。
ふわふわしながら駅に着いた。
米粉ちゃんが、私に紙袋を渡してくれた。
米粉のクッキーを焼いてきてくれたらしい。
米粉ちゃんは、相変わらず米粉のクッキーを焼いている。みんなが推しのファンレターやプレゼントを持ってくる中、米粉ちゃんは私に米粉のクッキーを持ってきてくれた。
愛だ。
ファンミもクッキーもありがとね、米粉ちゃん。
この御恩は、墓場まで持っていくで。
それにしても胸がいっぱいだ。
ピンク色のきらめくため息しか出ない。
しかし、家に帰宅したら息子が待っている。
恋する乙女から、お母さんに変身しなければ。
もっとこの余韻の中に浸っていたいが、洗濯物やら夕飯やら一気に現実だ。
帰宅して鏡を見ると、気持ち肌がツヤツヤしている気がする。
これぞ恋のパワーだ。
その夜の私の夕ご飯は、胸がいっぱいすぎて何も喉を通らずお茶漬だった。
完全に恋である。
そんな妻の様子が気になったのか、「で、どうだったの?学校の先生は」と、夫が隠語を使って探りを入れてきた。
しかし、ここで一度口にしたら、もう息子を前にしても、推しへの思いが溢れて止まらなくなりそうだ。
だから、私はすごい眼力で「察しておくれ!」と、夫を見つめた。
子供就寝後、2階からリビングに降りてきた瞬間に、ファンミの全貌と、我慢していた推しへの思いをすごい勢いで夫に浴びせた。
夫は、推しに心奪われた妻の豹変ぶりにただただ笑っていた。
私のキュンはMAXに達した。
余韻がものすごい。
この余韻が薄れていくのが寂しい。
いつまでも忘れたくない。
あのハイタッチの時。
推しと私の間には、2人の時間が流れたのだ。
時間にすると3秒くらいだったが、
推しの瞳には、私だけしか映っていなかった。
間違いなく推しの3秒は、私だけのものだった。
推しが私だけを見つめたあの一瞬。
どうしても忘れたくない。
だから、私は、noteに綴る。
私だけを見つめた推しの3秒を、このnoteに大切に閉まっておこう。
いつでも、あの時の人生最大級のキュンを思い出せるように。