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24歳の推し



私は今、恋をしている。


♪こーいーしちゃったんだ たぶん 気づいてなーいでしょ


ええ。
気づいてないでしょうね。
だって相手は、24歳のピッチピチの若手俳優なんだもの。



私は、ずっと、只今絶賛活動休止中の国民的アイドルAのABちゃんの大ファンである。
ファンクラブにだって入っちゃってる。
北は札幌ドームまで追っかけちゃったことだってある。

何も考えずに、ひたすらキャーキャー黄色い声を出すのって、幸せホルモンが出るのか、次の日のお肌は潤っている気がした。


潤いって大事。
肌にも、そして、心にも。


しかし、活動休止状態になってから4年目。
さすがにだんだんABちゃん熱が・・・・冷めてきた。


私の日常から、キャーキャーできる推しがいなくなった。



そんな5月。


私は、出会ってしまった。

あるドラマに彼は主演で出ていた。
最初は、綺麗な子だな、でもちょっと金髪の割に眉毛が黒くて濃いな・・・と、そのアンバランスさが気になって仕方がなかった。


でも、だんだん彼の繊細な芝居に惹かれていった。

ああ、誰かとこの高ぶる気持ちをシェアしたいと思い、私は心友の米粉ちゃんに連絡をした。
(米粉ちゃんの記事⇨「米粉を操る女」)



昔から好みが私と似ている米粉ちゃんも、見事にハマってくれた。

それからというもの、米粉ちゃんと私のLINEは彼の話題でもちきりとなり、


彼は、晴れて私の推しなったのである。


ああ、久しぶの推し生活。


楽しいんですけど


私たちは録画した推しのドラマを見ては、感想を送り合った。


『ちょっと、今回、やばい。もう見た?見たら連絡待つ!』

『今、見てる。大音量で。声がたまらん』

『ひゃーーん。メガネかけてるやんかぁぁ。萌ーーー』

『あかん、鼓動が鼓動が激しい!鼓動が激しく波打つわ!』


と、ひたすら送り合っている私たち。


楽しいんですけど


私の推しに対する思いがどんどんヒートアップしていき、


推しがタオルを首に巻けば、

『タオルになりたい』


推しがソファに寝っ転がれば

『靴下になりたい』


推しが花を持てば

『花になりたい。口元に近い部分の』

と、変態じみた熱い気持ちを米粉ちゃんにぶつけていた。


インスタライブがあった時は、それはそれは大変なことになる。


なんてったって、ライブだからね。
テンションぶち上がりですよ。


『ちょっと、今の、可愛いんですけど』

と、送り合い、盛り上がる。

私は、ドキドキしながら推しにコメントを送る。
すると、私のヨガをしているインスタのアイコンが、推しのお腹を通過した。


私は興奮のあまりスクショをして、


『推しの腹で、私がヨガしているわ!!!』


と、送った。


『ウケる!!!!!やばい、あんたがヨガしてる!!』


そんなやり取りを、米粉ちゃんとニヤコラしながら送り合い、インスタライブが終了した。


『さて・・・・皿洗いするか』

一気に現実である。


ある日、嬉しいニュースが飛び込んできた。


ファンクラブ限定の「リアルイベント」が開催されるとのこと。


私は、決意する。



これは、ファンクラブに入るしかない。


ふと、夫の顔が脳裏をよぎった。

一応、やはり報告しておくか。

私は、LINEで24歳の推しがいること、そしてファンクラブに入ろうとしていることを打ち明けた。

夫から

『推してまえ推してまえー!』

という返信が届いた。


この人と結婚してよかった、とその時思った。

ここで言っておこう。
もちろん、夫は私の殿堂入りだ。


しかし、私、1人でファンミに行けるのか?
国民的アイドルAのコンサートとはまた違うぞ?

まだ駆け出し中だし、握手会とかあるかもしれない。
私、泡吹いて倒れてしまうんじゃなかろうか。
正気でいられるだろうか。


不安だ。


私は、思いきって、米粉ちゃんに一緒にファンクラブに入ってくれないかとお願いすることにした。

彼女は、「あんたほどハマれてないけど、ファンミは気になるな」と言いながら、一緒に入ってくれたのだ。

『あんた愛してるで』


と返信し、
この御恩は墓場まで持っていこうと、心に誓った。

米粉ちゃんは、どこまでも優しい。


私と米粉ちゃんは、ファンミの昼の部に応募した。
ドラマきっかけで、一気にファンになった私みたいな人が続出したのか、当初1部のみだったのが、昼と夜の2部制になり、しかも抽選になってしまった。


神よ!どうか私たちに微笑んでくれ!


ついに結果発表の日がやってきた。

何時頃発表されるか知らされていなかったので、ずっとソワソワしていた。


夕方6時過ぎ。
米粉ちゃんからLINEがきた。


『とととととと当選!昼!』


私は、慌てて通知を確認すると、私も米粉ちゃんと同様昼の部で当選していた。


神は、私たちに微笑んだ。

『当選!』
『春!』
『ちゃう!』
『昼!!!!』

手が震え、上手く打てない。

『やばい』
『泣きそう』
『っていうか泣いてる』
『会える!推しに会える!!』
『嬉しい』
『生きててよかった』


と、怒涛のLINEを米粉ちゃんに送った。


その日から、ファンミの妄想が止まらない。


俳優さんのファンミとか初めてなんですけども。
どんなことするんだろうか。

まだ、ブレイク前。
駆け出し中だし、握手会とかあるかな。
今のうちに触っておきたいところだ。

お姫様抱っことかしてくれんか。

え、ちょっと待って。
そんなんされたら、

確実に泡吹いて失神する。

あ、でも倒れたら助けてくれるかな。
「大丈夫ですか」つって、パッと腰に手を当てて受け止めてくれたりなんかして、目と目があったりなんかして、あ、でもこっちは失神してるから目は合わないか、口から泡出てるから泡拭き取ってくれるかな。で、そのままお姫様抱っこ状態で休憩室に運んでくれたりなんかして・・・。


止まらぬ妄想。


頭ポンポンも捨てがたい。
もう髪の毛、洗えないな。

「大丈夫だよ」って言ってもらおうかな。
録音オッケーだろうか。たぶんNGだろうな。ちきしょう。


あだ名つけてもらおうかな。
もしつけてもらえたら、noteのクリエイター名もそれに変えて、家族も含め友達にも、これからは私のことを推しがつけてくれたあだ名で呼んでもらうように頼もう。


止まらぬ妄想。

楽しいんですけど



会社から帰宅した夫に、ファンミ当選のことを告げると、


「もう、顔が恋しちゃってる」


と、笑われた。

バレた。

恋してることバレた。

そして、この記事を読んで、いつも米粉ちゃんとそんなLINEをしていることもバレた。

でも、もう一度言っておこう。
あなたは、私の殿堂入りなんでそこんとこヨロシク。


しかし、恋してる顔って、どんな顔なんだろうか。


チケット引き換えの日がやってきた。
気になるのは、そう・・・座席!

私はドキドキしながら発券しにセブンのレジに向かった。

引き換え日は、明日だった。

次の日、またドキドキしながら朝8時頃レジに向かった。

引き換え時間は、10時からだった。


まさかのフライング2回を経て、ついにチケットをGETした。

気になる座席は・・・

P列14番

どうなの?

P列ってどうなのよ!
14番ってどうなのよ!
普通に数えると前から16列目ってことだよね?

あー!気になる!

でも、それは当日までのお楽しみ。


そのドキドキのファンミは今月に開催される。

当日までにやっておくことは、美容院とネイルだ。

推しカラーって何色だ?

やはり、情熱の赤にしようか。
それとも、推しの名前入れたろか。

私はくせっ毛なので、どうか当日は晴れますようにと願っている。
雨なんて降ったら、湿気で髪の毛がくるんくるんになる。
そんなくるんくるんで推しに会うわけにはいかない!!

でも、待てよ。

くせっ毛のくるんくるんが好きかもしれない。

米粉ちゃんも、「くるんくるんも可愛いで」って言ってくれたし。
(あなたは、優しさの塊です。)

だとしたら、雨でもいいかもな。


嗚呼、止まらぬ妄想。

楽しいんですけど



ちょっと最近メンタル弱り気味な私にとって、推しの存在というのはかなりの力になる。
ただ、キャーキャー言ってるだけで、元気になれる。

キュンキュンって大事。
潤いって大事。

何よりも、

楽しいって気持ちが大事。


推しがいる幸せ、噛み締めてます。


さてと。
ファンミまでもう少し。
指折り数えながら、妄想スイッチONでニヤコラするとするか。

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