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いらっしゃいませ、ダイジョウブです

毎日ではないけれど利用する駅があって

毎朝ではないけれど、

缶コーヒーとか小腹を満たすチョコレートなんかを

買いに行くことがある。

まだ通勤の時間帯で、しかも乗換駅なので

電車の到着が重なったときには人が縦横に乱れて

まっすぐに歩けないこともある。

人波の向こうの、

都会の1日の始まりが詰まったみたいな狭いコンビニにたどりつき、

お目当てのものをゲットしてお支払い。


セルフレジでバーコードを読んで、

Suicaをタッチして去ることもできるのだけど

私は店員さんにピッてやってもらうのが好き。


店内は狭くても結構な人が詰めかけるから

店員さんはいつも2人体制。

私がレジにいくと2回に1回くらいの頻度で

レジに立っているお兄さんがいる。


年のころは20代半ばくらい。

コーヒーとおやつを小さいビニール袋に入れてもらうと、

現金の客がほとんどいないためなのか

こちらが何も言わなくてもお会計はSuicaで進んでいる。

そしてピッてやると

「はい、ダイジョウブです」

と商品を渡してくれるのだけど、その声が

「麒麟です」の芸人さんに似ている。


はじめ、支払いが終わった合図を

「ダイジョウブ」と表現することに違和感があった。

ダイジョウブってなんなの。

ちなみに外国人ではない模様。

でもだったら代わりになんて言えばいいかっていうと

なかなかこれというものが思い浮かばない。

「OKです」だとなんだか軽いし、

「お支払い、おわりました」も客一人一人に言うには長い。


まぁ、いいかとビニール袋を受け取って改札を抜ける。


当然、その店員さんじゃないときもあって、

「ありがとうございまーす」

とややぶっきらぼう気味に言ってくれるのだけど、

あ、今日はダイジョウブですの人じゃないんだなと

思うようになった。

そうなったからといって、

「おかげで今日という一日が大丈夫になっているのに」

と思うほど心とらわれているわけでは全然ないのだけど。


少し前、まだ外で働けず家にこもっていたときに

たまに来る宅配便のお兄さんが

「ありがとうございます」のあとに

かならず目を合わせて少しだけ微笑んでくれた。

私も目を見てお世話様でした、と微笑み返す。

人とのコミュニケーションに飢えていた私は

その一瞬にひそかに癒されていたのだけど、

ある時からぷっつりと来なくなってしまった。

たぶん辞めたんだと思う。


コンビニのダイジョウブの人も、

ある日突然見かけなくなる日が来るかもしれない。

そしたら、

「あぁ。辞めたんだな」と現状は理解するけれど、

商品を受け取るとき、

とても物足りない気持ちになるんだろうなあ。

そう考えながら今日のダイジョウブを受け取りました。


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ミカジロウ
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