浅沼へ
友達が事故で亡くなった。
知らせを聞いたのは、祖父の危篤で実家に帰る準備をしている時だった。全然整理のつかない頭のまま生きている祖父の手を握ってありがとうって伝えた。手を握ることもありがとうを伝えることも出来ないままいなくなっちゃった友達の浅沼に、生前褒めてくれたモリィなりの文章でお別れを告げる。
出会いはちょっと変で、親友と十条の晩杯屋で飲んでいる時にナンパしてきた男の後ろに申し訳なさそうに佇んでいたのが浅沼だった。浅沼はどついたるねんのコーチジャケットを着ていて、思わず「え!?どついたるねんじゃん!やば!好きなの!?」と声をかけたところから始まったね。
近所に住んでいて同い年なこと、好きな音楽が一緒ってこともあってすぐに仲良くなって時たま飲みに行った。夜中に酔っ払うとすぐにインスタのDMを送っては送信取り消しをして、わたしが朝起きてDMを開くと大量の送信取り消しの後に「ごめんなさい一人で飲んでました」とだけ残っていることがよくあった。浅沼はさ、本当に良いヤツだったよ!他に言うことがないからとかじゃなくて、心の底から良いヤツだった!出身の八丈島の友達をとにかく紹介してくれて、十条の良い飲み屋もたくさん教えてくれた。もしあんたが紹介魔じゃなかったら、島の友達と飲ませてくれてなかったら、死んだことも知らないまま生きていくとこだったよ!昨日ね、浅沼の大々送別会に参加したら会ったことないのにモリィのこと知ってるって人いっぱい居たの。ずっとわたしに会わせたがってた子達にも会えたよ!わたしがいないところでもモリィを布教してたこと初めて知って照れたよ!お母さんにもお会いしたけど、すごく素敵な人だった!八丈島に遊びに行く約束もしたんだ!
知らせを受けてからずっと死んじゃったのか~って気持ちと、そんなこと言ってまだどっかで生きてるでしょ!って気持ちをずっと行ったり来たりしてる。十条のカラオケ10番でなぜか二人でおぎやはぎの漫才を見た日のこととか、お互い終電で十条に帰ってきてココスでワイン飲んだあとやっぱりカラオケ10番でシャムキャッツを歌った日のこととか、浅沼んちでめちゃくちゃ久しぶりにサラバーズを聴いて朝焼けの中、SAD GIRLを聴きながら家に帰った七月の早朝のこととか、いつも酔っ払うと大きな声でモリィは本当に凄いんだから!って何故か自分の事のように悔しそうに言ってくることとか、インスタのストーリーにいつも必ず🔥のリアクション送ってくることとか、なんでもない日常が綺麗な思い出になっちゃったよ!これからもずっと不毛な飲み会をし続けたかったな。十条にまた引越し直そうと思ってたんだけど、浅沼のいない十条なんて味気なくてつまんないよ!
私はさ、浅沼の分までとか生きたくても生きられなかった人の分までなんてことは全然考えられなくて、図々しいからどんなに情けなくてもみっともなくても自分のために自分の人生をめちゃくちゃ全力で生き抜いてやろうって思ってる。だからさ、しばらくの間は会えないと思うんだけどまた来世でお酒飲もうね!出会ってくれて、出会った日にどついたるねんのコーチジャケットを着ていてくれて本当にありがとう!名前の通り優しすぎるくらい優しい浅沼優介がずっと大好きだよ!てかさ、この文章ストーリーにあげるから🔥のリアクションあの世から送ってよ!
いっぱいありがとう、また会おう!
2022年7月31日(快晴)
モリィより