保護犬を家族に迎える条件が厳しすぎじゃない? って方へ
今回わたしはこの投稿をするにあたり
いまはまだ犬との暮らしをあきらめてくれる方
犬を迎えるにあたり、犬のために犬と暮らす方法を考え模索し行動する方
が増えることを願っております。
わたしが何者かというところから説明します。
犬と関わって今年で57年を迎えようとしている一般飼い主であり、1999年から動物福祉の活動に携わり、現在はかつて保護犬だった愛犬と暮らしながら保護犬の一時預かりボランティアをしている人間です。
基準は団体によって異なる。公式ガイドラインはない。
ないんですよ。
こちらのサイト(enkaraさん)にいい感じでわかりやすくまとめてあったのでぜひご覧ください。
全国には個人、NPO含めたくさんの保護団体が存在します。
人にも犬にも不誠実な団体もあるかもしれないし、生理的に相容れない雰囲気の団体もあるかもしれないし、怪しくて信頼できないと感じる団体もあるかもしれません。
当然のことですが、それが保護団体の全容をあらわすわけではないです。
勤務先や収入証明を要求する所もあるとネット上でみかけたことがありますが、わたしが知る団体についてのみお話しすると、そのような条件を設けているところは知りませんしお付き合いもありません。
保護団体ごとに譲渡条件は異なるので、問い合わせをした際に不安を払拭できないところから譲り受けるのをやめたらいいだけのことだと思います。
『本当に保護犬の里親を見つける気があるのか』『そんなことしてるからペットショップで犬を買う人が絶えないのだろう、本末転倒だ』『何様?ムカつく』などと憤り、エモーショナルに保護団体やボランティアを叩く人もいるようですが、なるほどなるほど。
これと同じ構造ですね。
たしかに「保護犬のボランティアをするのには批判を受ける覚悟が必要」とどこからともなく聞こえてきたことがあったのですが、正直意味がわからなかった。好きでやってることなので他人から賛辞を送られる理由もないけれど、批判をされる筋合いもないからね。
でもまぁ保護犬譲渡のことだけでなく、SNSではありとあらゆるジャンルで知らないことを知ったようなクチきいて叩く人もたくさんいるようだし、まだまだ人類そういうフェーズなのでしょう。バルカン人が地球に来るの、いつだっけ?
叩くなら叩けばよい。しかしわたしは叩かれてスルーできないもの(名誉毀損罪、信用毀損罪、侮辱罪に該当するもの)に関しては迷いなく法に訴えます。面倒くさいことに時間を割くのは不本意ですが、放置するのは未来に無責任だと思っておりますので。
話し横にそれましたが、仮に譲渡会などのイベントを巡って複数の団体からどこもかしこも断られた、というのであれば、犬と暮らす環境が整っているのかどうか、犬と暮らすのに適したタイミングなのか、再考するきっかけにしていただいたほうがいいです。
わたしもあります、保護団体から譲渡を断られたこと。
夫とはながらく未入籍で暮らしてきましたが、長年共同生活をし事実婚であることを伝えても未入籍を理由に犬を譲ってもらえませんでした。
同棲カップルで散々な目にあった保護団体の体験談はよく耳にするのでわからなくもないです。
しかし夫婦だって離婚するので入籍してれば安心とは限らないじゃん、未入籍ということでいえば、心優しい同性カップルだって世の中にはたくさんいるのに、と不満を持ったことも事実。
しかし入籍していることがその団体の条件、ルールなら致し方ない。その団体の経験と理念のもとに作られたルールを外から強制したいとは思わない。
別に入籍なんか紙切れ一枚で済む話しなので入籍してもよかったけど、入籍をしない選択をしたのは他ならぬわたし。残念だけれど、そのときは縁がなかっただけのことです。
犬関係の仕事や保護犬ボラしてる人にきいてみたら?
聞いてみたらいじゃないですか。犬と暮らす未来に本気なら。
自分の環境やライフスタイルに合った保護犬はどんな年齢でどんなサイズでどんな性格の犬を迎えるのが、人も犬も、お互いハッピーなのか。そもそも自分のライフスタイルは犬を迎えるのに適した環境で、タイミングなのか。
里親募集のチラシを貼っているような近所の動物病院でもいいし、ドッグトレーナーでもいいし、トリミングサロンでもいいし、保護団体でもいいし、インスタでもnoteでも、いくらでも話を聞ける相手は見つかるはずです。
生理的に受け付けないなーという人や団体を見かけたらそっと閉じてスルーすればいいし、このひと(団体)に聞いてみたい!と思った人がいたら聞けばいい。疑問や不安に思っていることを。
保護団体が簡単に譲渡しない理由、あるある事例として
アレルギーで手放す
経済的な状況が悪化し手放す
子ども(人間)が生まれて手放す
カップルの関係が破綻して手放す(入籍、未入籍問わず)
単身飼い主の健康状態が悪化し手放す
飽きた
老犬を手放し仔犬を買う
飼育がこんなに大変だと思わなかった(犬が糞便をすることに耐えられないといって手放したバカップルもいた)
年老いて世話ができなくなり手放す(最近の60代〜が若く体力があるのは承知しておりますが、20年生きるかもしれない仔犬の譲渡対象にはなりません)
先住犬との相性が悪い。先住犬より可愛いと思えない
(逆もあります。新しい犬を迎えたから先住犬が要らなくなった)
治療費踏み倒して犬を入院させたまま置き去りにして引っ越す飼い主
保護団体から譲渡→数年後にネグレクト→最初に保護されたときよりもボロッボロな状態になって再度保護された犬
譲渡された犬が後年病気になり、犬を保護団体に戻してくる人
胸糞悪すぎて挙げたくもない実例が挙げきれないほど挙げられますのでこのへんで。
日常でふつうに常識人として社会生活を営んでいる人がわりとカジュアルかつナチュラルにそういうことをしてしまうところがおそろしい。「自分は悪くない」という理由を無理やりこじつけて「仕方ない」のひとことで済ませてしまう。おー怖。
江戸時代の浮世絵師 暁鐘成の著書、犬の飼育本である犬狗養畜伝も似たようなエピソードに苦言を呈しています。
変わらんね、人類は。
わたしが一時預かりボランティアとしてお手伝いをしている保護団体も、愛犬を譲渡してもらった保護団体も、どちらも保護した犬それぞれの個性にあったマッチングを最重要視しています。
保護した犬1匹1匹をよく観察し、この犬にはこういうライフスタイルや家族構成の家庭に向いているな、とか、この犬は経験の浅い人には難しいだろうな、とか。
そうそう。犬の留守番時間、どのくらいになりますか?
これ、「そんなこと言ってたら専業主婦がいる家しか犬飼えないじゃん!」と半ばキレ気味に言う人も多いのですが、じゃあ逆に聞かせてください。
例えば1日12時間留守番させる場合(所定労働時間8時間、休憩1時間、残業1時間、通勤片道1時間を想定)睡眠時間を除けば残りの時間は4時間程度。
その4時間の中で朝食もとり、夕食もとり、入浴もするんですよね?
11歳のチワワの散歩でも1日2時間使います。
犬のQOLはどうやって保つんですか?
ペットシッターつけますか?デイケアサービス使いますか?
その予算は組めますか?
人間の寿命と比べて短い犬の犬生のほとんどを留守番させてまで、犬と暮らしたい理由はなんですか?
そうはいっても留守番時間がゼロなら犬にとっていい家というわけでもないです。
溺愛してます🩷 と言いつつ(きっとそれは本心)
やっていることは 『いるだけ、見るだけ、触るだけ』 の人も多い現実も知っていますし。
多頭飼育をすればさみしくないでしょう?と安易な多頭をする方もおりますが、多頭飼育は解決になりません。
有料記事のためログインができない方は途中までしか読めませんが、多頭飼育は分離不安関連の行動減少に影響していたかの研究結果が書かれています。
分離不安の犬のために2頭目を迎える…は本当に有効なのか?
多頭について追記すると、先住犬との関係性もしっかり築けていない飼い主が多頭したところで犬の欲求不満や寂しさを埋める問題解決にはなりえません。
ほかにも留守番について書かれていた記事をいくつか挙げます。
記事引用で挙げた犬曰く、犬との暮らしを真剣に考える人にとっては宝箱のようなサイトなのでこれから犬と暮らすことを考えている方にはぜひ有料購読をおすすめしたいサイトなのでリンク残しときます→ 犬曰く
↑のような引用をすると、わいてくるんですよね、必ず。『また欧米かよ』的なことを言い出す人が。こっちが言いてーわ。タカアンドトシかよ。
欧米だって動物たちに残虐なことをしてきた歴史があって、そこからの反省と研究があり整えられた法律ですから。他国の例を挙げただけでかみついてくるそのわけのわからないコンプレックス、なんとかならないですかね。
単身者に関しても、単身者譲渡不可になっていることも多いかもしれませんが、単身者だがリモートが多く留守番はほぼない、という方の場合などはそれらの状況をきちんと説明すれば理解し、マッチングできる犬を紹介してくれる団体もあるはずです。
譲渡希望の方のプライベートな情報はご本人から説明を受けなければ知るよしもないことです。
保護団体は過去の経験から譲渡をする際に挙げる条件を整えていますので応募条件の告知にはそれらを挙げますが、果たして譲渡してほしい側から保護団体に向けて
「自分はこういうライフスタイルで、こういう犬(サイズや年齢や性格)とこんな生活(アクティブに運動をしたいのか、静かで穏やかに生活をしたいのか等)を考えていて、共生できる犬を探している。犬のための時間はこのくらい割ける。トレーニングにはこのくらい割ける。」
といった発信を含めたやりとりをしているのでしょうか。
マッチングに必要な最低限の自己開示もなく、お客様気分でヒアリングを受け、期待どおりの答えがないとムカついて難癖つける人もいますよね。
いや、いますよ。
知ってる。
譲渡条件の文面をみて怒るより先に、嘘偽りのない情熱的なプレゼンをぜひしてみてください。その上でお断りされてしまったのであればそれはご縁のタイミングではなかったのでしょう。
保護犬だけのことじゃないです。
ペットショップから犬を迎える場合にもまったく同じこと(一定の審査)が必要なんです、本来。ペットショップは利益出したいからそれをしないだけでね。ペットと暮らせない賃貸住宅の人にも確認せず売るショップのほうが多いでしょう。
実際、わたしは趣味で都内のペットショップチェックをしていた時期があり数百店舗を巡りました。
どんなに犬にとって条件の悪いひどい飼い主像になりすましても、あなたには売らないと断られたことはありません。
※個人的に趣味でリサーチしていたことなのでどんな店でどんな接客をうけたか等の公表はしませんが、少なくとも、犬を売っている人だから犬のプロ、とは決して言えない、絶対に言えない、ということは知っておいていただければ幸いです。
チワワにも散歩は必要だし、ジャックラッセルの散歩はチワワと同程度で大丈夫なわけありませんから(→実際こういう接客を受けたことありますので書いときます)
ブリーダーという言葉には悪いイメージがつくようになってしまいましたが、シリアスブリーダーから犬を迎えることになれば、それこそ保護団体よりもずっと厳しい条件を挙げるかもしれません。
とにかく、犬を迎える前にいま自分は犬と暮らしはじめるのに適したタイミングなのか、適した環境なのか、適した環境をつくれるのか、その根拠と責任のあり方を慎重に考えるべきです。
お金のこと
わたしがいままで関わったことのある保護団体に収入証明を出すように言われたことは一度もありませんが、飼育放棄の理由に経済的な事情を挙げる人はとても多いので提出を求めない団体であっても、安定した収入があるかどうかは気になることだとは思います。
しかし金持ちなら十分なケアをするとは限らないし、様々な事情で生活保護を受給する状態になっても犬を手放さずに支給額でやりくりしながら共に暮らす選択をする人もいます(生活保護を受給している人の犬の飼育は法律上は禁止ではありません)
たとえば。「生涯かかる飼育費用結果」について
犬との暮らしを考えた時に
というenkaraさんの記事の中に、アニコム損保調べとしてお金のこと(生涯にかかる飼育費用)が載っていました。
かかる費用はその犬の年齢や体調次第でずいぶんとかわります。ここに挙げられている金額で済む場合も、済まない場合もありますが、済まない場合を想定したほうが確実です。実際済んだためしがない。
不安、孤独、肥満。退屈して怖がりで。理解されず、でも愛されている… が日本の家庭犬?
有料記事なのでログインできない方は途中までしか読めない記事ですが、このタイトルからだけでも様々な現実を、想像できませんか?
保護犬であろうがなかろうが、わたしは幸せな犬を増やしたい。
つまり、ゴキゲンな飼い主をふやさないといけない。犬はとても共感力が高く社会性のあるいきものですから。
不安が原因の独りよがりは精神的に未熟な人全てに見られる特徴です。
自分のニーズが満たされているか、気分を害するものはないか常に気にする
非難されることに耐えられないため自分の過ちを少なく小さく見せようとする
この自己中心性は「自分のことを好きだから」ではなく「慢性的な痛みを抱えて視野狭窄的にしか考えることができない」に近い。
親的存在となる飼い主が愛犬の気持ちをきちんと思いやるには、まずは自分自身の精神を自覚できる自己成長が必要です。
犬育てについてもパピー期のトイレトレーニングでおしまい、ではありません。犬のすべてが解明されているわけではないです。飼い主の学びは生涯です。
あなたの倫理観を教えてください
わたしがいちばん、譲渡希望者の方に聴きたいことです。
もちろん任意ですが。
わたしは飼育経験が長いだけの一般飼い主で、特になんの資格もないし偉そうな肩書もありませんが、
預かった犬がどんな犬であっても、
咬む犬でも、吠える犬でも、シャイな犬でも、
脅しや暴力や痛みや苦しみを与えません。長期的にその犬の犬生を考えたとき、そしてわたしの倫理観を鑑みたとき、そういったトレーニングを採用する理由が一切ないから。
脅しも暴力も痛みも不快感も使いません。
だけど(いや、だから)
みんなうまくやってます。けっこういい感じでリハビリして幸せに暮らしてます、お互いに。
一般飼い主で無資格で肩書のないわたしですら脅さず傷めず信頼関係を築いてきた預かり犬を、やれ「犬のほうが上になっている」だ「忠義の心が美しい」だ「その犬の過去はこんなこんなこんな可哀想だった(はず)」の部分に固執しながら犬が犬らしく生きることから遠ざけ犬の自信や自尊心を尊ばない人に、わたしの犬同様に暮らしてきた保護犬をお譲りするのは犬に対しても自分に対しても慚愧に堪えない。
I Don't Want Nobody To Give Me Nothing (Open Up The Door I'll Get It Myself)
わたしが保護犬に家族を探しているとき、いちばんよく聴いている曲を貼っときます
整えて、覚悟を決めたら待ってるぜ
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