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「青い色素を持つ動物一覧」
前書き
こんにちは!
三日月あかりだよ。今日も毒にも薬にもならぬ、生き物の知識を紹介していくとしようね。
今回は青い「色素」を持っている動物!
色素というのは「特定の色を反射し、それ以外を吸収する」という認識でいるよ。青い色素は青を反射し、青以外を吸収するから青く見える……ってコト!
「青い動物の青はほとんど構造色」というのも間違いではないけど、青い色素を持っている動物、実は多いんだ。
マイナーどころからメジャーどころまで僕が知っていることを徒然なるままに書いていくとするよ。
なお今回のNoteは個人的なメモでもあるよ。他の記事でもそうだけど新たな種が発見されれば更新するからね!
また、当然だけど僕の知見に基づいているので「○○もいるよ!」「○○は違うよね」というのがあれば……コメントなりで優しく教えてね!
青い動物と構造色
青い動物と言われて想像するのはどんな動物かな。
クジャクやソラスズメダイ、モルフォ蝶とかが有名どころで美しい色合いだね!
動物の中で青い「色」を持っているのは比較的少ないよ。
例えば鳥類だとクジャクを筆頭としてアオカケスやアオフウチョウなどの青い羽を持つ鳥はいなくはないかなって感じ。
![](https://assets.st-note.com/img/1710914093970-52SYPaP1HR.jpg?width=1200)
鳥においてオスの色が派手になるのは性選択で説明されているよ
メスのほうが派手な鳥もいたりするけどね!
対して哺乳類はどうだろう?
マンドリルのようなごく一部の種は持っているけど鳥ほどメジャーなものではないね。
これはヒトや一部のサル以外の哺乳類では青や緑は識別できないからなんだ。同じ理由で緑色の哺乳類も……少なくとも僕は思い当たらないね!
青い動物は他にも爬虫類ではニホントカゲの尾、魚類だとソラスズメダイやナンヨウハギ、両生類だとコバルトヤドクガエル……
無脊椎動物まで範囲を広げればヒョウモンダコのリングやモルフォ蝶、オオセイボウなどなど、探せばいるよねーというくらいかな?
ただ青い動物も比較的少ないけど「青い色素」が理由で青い色をしているのはさらに少ないんだ。
これらクジャクやモルフォ蝶を初めとした多くの動物は構造色という色の反射で青い色に見えているんだね!
クジャクでは羽の、モルフォ蝶では鱗粉の、ソラスズメダイやヒョウモンダコは虹色素胞というタンパク質の集まりなど、非常に小さな構造によって入ってきた光が乱反射し青く見えているんだ。
(CDの裏面が虹色に輝くけど、ああいう感じ)
余談:
ブルーベリーの持っている色素はアントシアニン、しかしアントシアニンは紫の色素でブルーベリーが青く見えるのは果皮が青い構造色を持っているからだそうな!
余談2:
クジャクにはシロクジャクと呼ばれる白い個体がいるのは知っているかな? 構造色なのに白いのは変じゃないかーと思うかもしれないけど、より詳しく言うと構造色を生み出しているのはクジャクの羽の、メラニンの粒子状の微細構造!
白変種、つまりメラニンが存在しない個体では構造色も生まれないんだね!
……ではどういうのが青い「色素」を持つ動物なの?
青い色素を持つ動物たち
ということでここから青い色素を持つ動物とその色素、そしてその特徴をちょびっと解説していくね!
注意なんだけどタイトルの動物のみが色素を持っているわけではないことは念頭に置いておいてね!
その仲間も持っていることがあるよ!
さらに注意:
青と青緑の区別は非常に難しいものだよ!
見た目が青であれば青い色素、というのは構造色の存在によってできない……というか青色と青緑色ってなにが違うの? という話になるからね。
もちろん青緑色も珍しいんだけど、「青色」にこだわりは持ちたい……ので今回は「外見で青く見える」かつ「参考文献内で青いと表現されている」ものをピックアップする主観マシマシなものにするね!
最たる例がビリベルジンで、この色素は青色・緑色・青緑色のどれかで書かれていて、さらにヒトでも保有しているんだ。でもヒトが青い色素を持っているって言ったってブーイングの嵐になるものね!
(この注釈書いてるのもビリベルジンの扱いがめんどくさすぎるから)
ニシキテグリ:青色素胞
![](https://assets.st-note.com/img/1710929168056-1JlbffFf0d.jpg?width=1200)
Credit : David R (2019) / CC-BY-NC
ほぼ全ての魚の青色は虹色素胞という微小なグアニンが並んだ細胞によって構造色を作り、青い色に見えているよ。
しかし、ニシキテグリSynchiropus splendidus及び同属のスポッテッドマンダリンフィッシュSynchiropus picturatusのみからは青色以外を吸収する色素として存在する細胞、青色素胞(Cyanophore)を持っていることが知られてるんだ!
![](https://assets.st-note.com/img/1711008301410-n9QceUx1XB.jpg?width=1200)
Credit : uwkwa (2023) / CC-BY-NC
なお、肝心の青色素胞についての研究はあまり進んでいないよ。
なにが青色を呈しているかもわからないけど、ビリン系(後で出てくる)ではないようだね!
当然のこと生き物のことなんて未知の部分のほうが多いのよ。判明したら更新する……かも!
ロブスター(を含む多くの甲殻類):クラスタシアニン
![](https://assets.st-note.com/img/1710926864160-tUtl6KroHN.jpg?width=1200)
Credit : pascal_samson (2016) / CC-BY-NC
第一に本画像のアメリカンロブスター!
というのも多くの甲殻類はクラスタシアニン(Crustacyanin)という青い色素のカロテノイドタンパク質を持っているんだね!
名前も甲殻類とシアンとシンプルだね!
では、なぜ多くの甲殻類が青い色素を持っているのに暗い感じの色をしているかというとのクラスタシアニンは赤い色素のアスタキサンチン(Astaxanthin)と結合して存在していて、普段は黒っぽい色になっているんだ。
余談:
エビやカニは熱を通すと赤くなるよね!
美味しそうなアレはアスタキサンチンと結合しているクラスタシアニンが変性することによって青い色を失い、アスタキサンチンが表に出てきて赤く見えるんだ
余談2:
カロテノイド色素はC40H56の基本構造を持っているやつらのこと。
炭素と水素のみで作られているやつをカロテン類といって有名なのはビタミンAの前駆体のβ-カロテン!
酸素がくっつくとキサントフィル類となってアスタキサンチンはキサントフィルの代表例だね!
さらにちなみに、カロテノイドと結合するタンパク質のことをカロテノイドタンパク質といったり……でもこのあたり自信ないから違ったら優しく指摘してね!
本種は通常、どちらかというと赤系統の色をしているんだけど200万~500万匹くらいに1匹くらいの割合で青い個体が生まれるそうだよ
「普通見えていない色は卑怯かな……」と思ったけど知名度的に本種を使わせてもらったよ。
普通に青い色の甲殻類もいるけど、和名がないからね!
![](https://assets.st-note.com/img/1710927315524-BYjAc8ED3K.jpg?width=1200)
Credit : dhfischer (2020) / CC-BY-NC
本画像は僕の押し(ミナミ)ザリガニの一種、Euastacus sulcatusという種なんだけど種として基本的に青色をしているんだ!
(ソライロザリガニって名付けたい)
他にもCambarus loughmanやProcambarus holifieldiなどのザリガニは美しい青色をしているよ。
これらは構造色によるものではなく、クラスタシアニンによるものだと……思うんだけどね!
……違うかな、違わないかな……
コクカイビゼンクラゲ:リゾストミンズ
![](https://assets.st-note.com/img/1710929028287-C5HZYhCWok.jpg?width=1200)
Credit : xavi salvador costa (2021) / CC-BY-NC
次に紹介するのはコクカイビゼンクラゲRhizostoma pulmo!
本種から見つかったのがリゾストミン(Rhizostomin)という青い色素。
(正確に言うとリゾストミンという色素の大きな括りなのかな?)
このリゾストミンはrpulFKz1という色素タンパク質による青色なんだけど、わかっていることは少ないよ。
Frizzledタンパク質ドメインとKringleタンパク質ドメインに基づくもので……
……そろそろ僕の頭がパンクしそうなのでここで止めるね。
すなわち、青い色素のタンパク質を持っているんだねぇ。
またクラゲ繋がりではサカサクラゲの一種Cassiopea xamachanaも青い色素を有するよ。
![](https://assets.st-note.com/img/1710996599952-6F9HyUKCkT.jpg?width=1200)
Credit : myles_wagner (2023) / CC-BY-NC
彼らの青い色素の名前は属名のカシオペア(Cassiopea) よりとったカシオブルー(Cassio blue)というんだ。
これもまたrpulFKz1タンパク質によるのもの!
なんでも本種の色素は共生している褐虫藻が存在する組織で発生し、最適な波長の光を通過させながら、強すぎる光は緩和するなんて便利なもの……の可能性があるんだとか!
これもまた、リゾストミンの一種だね。
また、Stomolophus meleagrisというクラゲ(通称キャノンボールジェリー)やその仲間からも青い色素もしくは前駆体が発見されているよ。
![](https://assets.st-note.com/img/1711018713173-lUXsI86xfI.jpg?width=1200)
Credit : carduivee (2019) / CC-BY-NC (Adapted)
青くないじゃん……
では次がキャノンボールジェリーの同属のお仲間の画像
(おそらく未記載種)
![](https://assets.st-note.com/img/1711018282714-llC3R5YPAd.jpg?width=1200)
Credit : lorenamagallon (2021) / CC-BY-NC
真っ青じゃん!!
上記の他、ビゼンクラゲRhopilema esculentaやスナイロクラゲRhopilema asamushi、エチゼンクラゲNemopilema nomuraiからも青い色素タンパク質やその前駆体が確認されているよ。
まだ研究が進んでいない分野だからまだまだ発見されるんだろうね!
![](https://assets.st-note.com/img/1711018559425-IgfKtfomxF.jpg?width=1200)
アオヒトデ:リンキアシアニン
![](https://assets.st-note.com/img/1710929116213-PFqyURAEAi.jpg?width=1200)
Credit : melianie_max_and_asker (2017) / CC-BY
この真っ青なヒトデ、名前もそのままアオヒトデLinckia laevigataもまた青い色素を持っているよ。
本種が持っているのはカロテノイドタンパク質で名前をリンキアシアニン(Linckiacyanin)!
青色の色素というのはつまり青以外を吸収するということ!
だから青を光受容体のために使うこともある……んだけど本種は擬態のためとかなんとか。
正直なところ、あまり情報が手に入らなかったよ……!
代わりと言ってはなんだけど豆知識をひとつ。
アオヒトデはアカヒトデ目アカヒトデ科アオヒトデ属アオヒトデ。
……赤いのか青いのか……(青いんだけど)
カワナシカイメンの仲間:エペンダイミンの仲間
![](https://assets.st-note.com/img/1710929294145-P0Eab2dveQ.jpg?width=1200)
Credit : Luke Foster (2022) / CC-BY-NC
カワナシカイメン属の仲間(本画像はHaliclona caerulea)でも青いカロテノイドタンパク質が確認されているよ。
名前をエペンダイミン(Ependymin)様タンパク質……などと言うよ。
この色素タンパク質はアスタキサンチンとミチロキサンチン(Mytiloxanthin)を結合し、深い青色を呈するんだ。
エペンダイミンというのは魚の記憶や神経に関するタンパク質として最初に同定され、本物質はそれとファミリー……仲間なわけだね!
ちなみに本属以外からではコルクカイメン属の一種Suberites domunculaという海綿動物でも青色のカロテノイドタンパク質が確認されているようだね!
その他の青色のやつ
ここからはその他。参考資料がなかったり、ふむふむ……つまり? となったりしたのを置いておくね!
……理解力のなさを露呈するようで恥ずかしいけど。
ツツサルパ
![](https://assets.st-note.com/img/1710994823424-EaFWGqoe7V.jpg?width=1200)
Credit : Florida Museum of Natural History (2020) / CC-BY-NC
このツツサルパIasis cylindricaも青い色をしているね!
これは参考文献ではカロテノイドタンパク質にフコキサンチン(fucoxanthin)とちょっと似てる発色団と言われているよ。
……で、これ以上調べようともしたんだけど趣味の範疇ではこれが限界そうだね!
カイアシ類ポンテラ科
![](https://assets.st-note.com/img/1710997794705-pUojTRXQrm.jpg?width=1200)
Credit : Gabriela Cuevas (2019) / CC-BY-NC
甲殻類の仲間、カイアシ類のポンテラ科にも青色を持っている種類がいるよ!
本文ではアスタキサンチンを含む青色のアスタキサンチンとカロテノイドタンパク質の複合体と書かれているのでクラスタシアニンじゃあないかなぁ、とも思ったのだけどクラスタシアンはアスタキサンチンと結合したら青灰色を呈するので別なんじゃないかなあ……とここに置いておくね。
カツオノカンムリ
![](https://assets.st-note.com/img/1711153051200-BuHyZSqEy1.jpg?width=1200)
Credit : João Pedro Silva (2020) / CC-BY-NC
他にもカツオノカンムリvelella velellaでも青いアスタキサンチンとタンパク質の複合体が確認されているよ。上記したもののどれかと同じかもしれないけど、一応ね
またギンカクラゲPorpita porpitaでもおそらく同様の青色カロテノイドタンパク質が確認されているよ
![](https://assets.st-note.com/img/1711154314803-wcZc9MlD0m.jpg?width=1200)
Credit : Albert Kang (2022) / CC-BY-NC
どちらもギンカクラゲ科の動物!
彼らの青色の色素は塩分濃度や温度に敏感だとかなんとか……
余談だけどギンカクラゲにはキンカクラゲ、こと黄色い色彩をした個体がいるよ。
![](https://assets.st-note.com/img/1711155701314-gXLH8FnLBr.jpg?width=1200)
Credit : Aaron Dsouza (2023) / CC-BY-NC (Adapted)
理由は分かっておらず、熱によって青いタンパク質が変性したから……という理由にしては確認されている個体数が少ないように思えるよ。
今後に期待だね!
あと黒い個体もいる。
![](https://assets.st-note.com/img/1711155853541-jO0V8vwfPS.jpg?width=1200)
Credit : fredcjh (2018) / CC-BY
なぞです。
ルリボシカミキリ
![](https://assets.st-note.com/img/1710929423057-SJwrctvVeW.jpg?width=1200)
Credit : Zorac&Visar (2017) / CC-BY-NC-SA
ルリボシカミキリRosalia batesiもおそらく色素を持っているよ。
ただしどんな色素かは不明、僕がネット上で調べた限りでは本種の色素に関して研究したようなものは見つからなかったんだ。
どうして本種の色を色素だと思うのかというと、本種の標本は保存状態が悪いと青色が褪せていくんだ!
画像はどちらも40年以上前に採集されたルリボシカミキリです。左は暗所で保管された標本、右は長期間紫外線に当たり色褪せた標本です。
— 埼玉県立自然の博物館 (@saitama_shizen) June 23, 2020
標本は紫外線を受けると退色し、劣化します。退色すると元の色には戻せないので、標本を適切に管理し保存することは、とても重要なお仕事です。#学芸員のおしごと pic.twitter.com/o8vopr4dzd
例を挙げると緑色で光沢の美しいタマムシなんかは何年経とうと紫外線に関係なく美しい色合いをしているよ。というのも色素による発色ではなく、構造色による色だから物理的に破損しなければ色は変わらないんだ。
対して上記の写真のようにルリボシカミキリの色は紫外線で褪せていく……これは色素由来の色である証拠だね!
ただ、やはりどんな色素かの情報がないのでこればっかりはお手上げ。
いずれ誰かが研究し、発表してくれることを待って一区切りとさせてもらうよ!
青? 青緑……?
ここから先は青に分類しようと思ったけど文献ごとに書いてあることが違ったりするものを少し紹介するね。
というかビリン類の色素は青だったり緑だったり青緑だったりするので、正直個人の感覚によりそうだからあくまで参考までにね!
キバアイナメ:ビリベルジン
![](https://assets.st-note.com/img/1710978660960-tW2oX8YXkJ.jpg?width=1200)
Credit : Christian Schwarz (2018) / CC-BY-NC
本画像の子はキバアイナメOphiodon elongatusといってアイナメ科のお魚!
本種すべてが青いのか……と言われるとそんなことは全然ないよ。ただ、たまにこういった肉まで青緑色の個体が現れるんだ。
この色が青(緑)色のビリベルジン(Biliverdin IXα)の色合いなんだ。
肉までとは言わないものの、ほかのさまざまな魚でビリベルジンによる呈色はあって例えばナポレオンフィッシュの体やサンマの骨、顕著なところでダツの骨なんかが有名だね。
ビリベルジン自体は動物にありふれている物質で、我々ヒトでも赤血球中のヘモグロビンの代謝過程で一時的に作られたりするよ。
また、例えばミドリチトカゲPrasinohaema virensは名前の通り血が緑色なんだけどこれはビリベルジンによるもの。
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Credit : Eric N. Rittmeyer (2023) / CC BY-NC
いくつかの鳥類では美しい青緑の卵を産むんだけど、これもまたビリベルジン。
![](https://assets.st-note.com/img/1711012528265-Y77z2QcwBz.jpg?width=1200)
Credit : Rob Routledge (2022) / CC-BY-NC
ビリベルジンは青かなー……青緑かなー……緑かなー……?
ビリベルジンが肉や骨にどのように入り込むのかは未だ謎!
ただ、この色合いは加熱すると消えるので青い魚を青いままで味わいたいのならお刺身かお寿司で頂くのがいいのだろうね!
……昔、Twitterで「ビリベルジン? ああ、緑ですね!」みたいな回答をしていて心が痛ましいのは内緒ね。
アオスジアゲハ:プテロビリンとサーペドビリンとフォルカビリン
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Credit : Norio Nomura (2017)/ CC-BY-SA
アオスジアゲハGraphium sarpedonは僕らにも割と身近なチョウ!
彼らの美しい青色は色素と構造色によって作られているんだ!
まず彼らが保有しているのはビリベルジン IXγ(Biliverdin IXγ)こと通称プテロビリン(Pterobilin)とサーペドビリン(Sarpedobilin)、フォルカビリン(Phorcabilin)の3つを保有しているよ。
またビリベルジン? と思うかもしれないけど、上記のビリベルジンはIXα、こちらはIXγなので構造が異なるんだね。
これらのビリン系の色素は鱗翅目の幼虫では一般的!
多くの人がチョウの幼虫って言われると緑色のむにむにした奴らを思い浮かべると思うんだけどあの色は青いビリン系の色素と植物由来の黄色いカロテノイド色素が合わさって緑色をしているんだね!
ちなみにアオスジアゲハGraphium sarpedonの学名を見てピンとくるかもしれないけどサーペドビリンSarpedobilinは名前の通りアオスジアゲハから発見されたものだよ。
同じくフォルカビリンPhorcabilinもフォルカスミドリアゲハPapilio phorcasより発見されたんだ。
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Credit : Séverin Tchibozo (2016) / CC-BY-NC
と、ビリン系の色素は割とありふれているんだけど、上でも述べた通り僕はこの色素系統を「青」に分類するかを悩んだよ。
ビリベルジンは緑色でしょうって思っていたんだけど、某記事で「チョウの一種Nessaea obrinusは唯一の青い色素を持つ動物です」と書いてあって「ほなプテロビリンは青かあ」と思って入れておいたよ。
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Credit : Rich Hoyer (2019) CC-BY-NC-SA
プテロビリンを青とすると、同じ系統の色のビリベルジンを青としないと恣意的になってしまうから一応ご紹介した限り!
あと、この記事を見ればわかる通り少なくとも現在では「唯一」ではないね!
後書き
以上で青い色素を持っている動物についてはいったん筆を置こうと思うよ。
……というか多いねぇ!!
趣味の範疇で調べられることは調べるけど、それ以上のことはやりたくはないのである。
青い生物は少ないし、青い色素を持っていても青色が見えている生物はより少ないね。
それでも屁理屈をこねるのなら青い色素を持っている動物は割と多いんだ。
甲殻類はクラスタシアニンを持っていて、鱗翅目はプテロビリンを持っていて、脊椎動物だってビリベルジンを持っているよ。
なにが言いたいかといえば「チョウの一種Nessaea obrinusは唯一の青い色素を持つ動物です」とか書いている記事が真っ先に上にあがると誤解を招きかねないってことかな!!!
生き物っていうのは日々新たな発見があるといって過言じゃないし、ほかの分野でもたぶんそうだよね。
僕も情報のアップデートは怠らないようにしなければ……
さてさて、今回は割と長文だったね!
次はどんな生き物にスポットライトを当てようかな!
<参考文献>
・ニシキテグリ等
・甲殻類
・コクカイビゼンクラゲ等
'New Class of Blue Animal Pigments Based on Frizzled and Kringle Protein Domains'
https://doi.org/10.1074/jbc.C400337200
・アオヒトデ
'Studies on a blue carotenoprotein, linckiacyanin, isolated from the starfish Linckia laevigata (Echinodermata: Asteroidea)'
https://doi.org/10.1016/0305-0491(89)90090-4
・カワナシカイメン等
・ツツサルパ
'A blue carotenoprotein, containing an unusual chromophore, isolated from Salpa cylindrica (tunicata: salpidae)'
https://doi.org/10.1016/0305-0491(78)90143-8
・カイアシ類ポンテラ科
'Studies on a carotenoprotein isolated from the copepod, Labidocera acutifrons and its relationship to the decapod carotenoproteins and other polyene-binding proteins'
https://doi.org/10.1016/0305-0491(72)90043-0
カツオノカンムリ
'Studies of the blue astaxanthin-proteins of velella velella (coelenterata: chondrophora)'
https://doi.org/10.1098/rstb.1977.0092
'Stability of the blue pigment of Velella and Porpita (Coelenterata: Siphonophora)'
https://doi.org/10.1016/0305-0491(71)90127-1
・キバアイナメ等
・アオスジアゲハ等
'Preliminary report on the neopterobilins, blue-green pigments from lepidoptera'
https://doi.org/10.1016/0305-0491(73)90340-4
![](https://assets.st-note.com/img/1711090279167-6mlWI2rJKX.jpg?width=1200)
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