ブーム
真珠貝 水面に出ては 月光の 糸を巻き取り 沈む海底
研ぎ爪を 立てた柔肌 跡なぞり
あなた猫でも 飼ってたかしら
残り香に 気づかぬは嘘 鼻聴くの
嗅ぎ分けしてる これ特技だわ
悲しみは いつもぴたりと 横にいて
幸せは いつだってほら 誰かの肩ね
ふせまつげ 眠るその顔 やわらかく
目が開かないの ウソみたい
耳たぶに カミソリ一つ 水たまり
添えて跨いだ まま何見たの
僕の目に 映らなかった 空見たの
描けども 足らぬ足らぬと 親の目が
猫の目のよう 障子の隙間
金にくらんだ 光る目に 見られ震えて
じっと絵を描く
小さな娘 村に置き 山に帰れと 皆が言う
見ればダメ 見てはならぬと あれほどに
言ったが聞かぬ バカな男ね
燕飛ぶ 季節を無視して 君がため
届け物して 足元で見る夢
身を削り 配りてみても 無力なり
配り配れど 貧しさ消えず
海の岩 鎖巻かれて 怪物の
生贄なのに 食べられず底
木で出来た 身体壊れて 直したい
作った主人は 木陰に眠る
鯨の胃 住めば都と いうけれど
魚臭くて もう帰りたい
ごめんおれ もう遊ばない 本当さ
ロバになりもう 口も聞けない
すり減った 心満たすは 朝取れた
若い娘の 肺と肝臓
寝て起きて 100年経てば どうにでも
なれとゆきずり その男抱く
泡になる そんなのごめん 短剣で
突くわ王子を 家に帰るの
菓子を食べ 小さくなれと つぶやいた
おおきくなぁれ どうにでもなれ
桃色の 髪の毛痛み 千切れても
まだまだ懲りず 色抜き入れる
掛け布団 取り合い奪え 負け犬は
静かに冷えし 冬の入り口
口開けて 待つ雛の居る 親鳥と
どこまでも飛ぶ 青い若鳥
風が吹く 大木の下 葉は落ちる
待てど暮らせど 落ちてこない実
街灯の 灯り目障り 目を閉じる
吹いた木枯らし 頬を切る風
生まれ出た 熊殺さんと 来たものの
抱いて帰り マタギになれず
月夜道 追ってくる影 高い背の
街灯の横 じっと我見る
玉引きし 子をば産まんと いきむ我
引けど敢へ無し また玉を引く
クルエボは 苺まぜても かわらない
残る匂いは 永遠にクルエボ
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