感想『不気味なものの肌に触れる』(2013 濱口竜介監督)
出演:染谷将太、渋川清彦、石田法嗣。
55分の中編ムービー。
象徴的な構図が多く、セリフも決して多くはないが濃縮された世界に引き込まれる。何もかも全く無駄がない。携帯の着メロすら意味を持っている。見やすい尺のおかげで集中して一気に見てしまった。
千尋と直也の没頭するダンスはコンテンポラリーダンスのようなもの。密接しながら決してお互いに触れない。しかし先生は「もう触れているのかも」という。2人は物理的に触れ合ってはいない。しかしダンスのテーマは触れ合い、なのだろう。(途中、先生から課題として出される問答も意味を成している。)そしてまさに2人が触れ合っているように見えていた人物が、直也の彼女・梓だったのだと思う。
千尋は結局、何故梓が直也から離れたのかを知らない。知れば、物語は変わったんだろうか。
兄と彼女の暮らす空間にいつまでもいられない。千尋の居場所はダンス教室、直也と踊る場所だけ。最後、直也が行ってしまって、取り残された千尋はどうなったのか。物理的に千尋は取り残されてしまったけど、心は何かに触れることが出来たのかな。何かを手に入れられたのかな。
劇中で度々登場する、ポリプテルス・エンドリケリを調べてみた。…肉食だった。劇中の印象的なシーンが思い浮かんだ。