見出し画像

株式投資・企業分析⑤アオキスーパー

 企業分析の5回目は、愛知県のみで食品スーパーを営業している、アオキスーパー(東証S:9977)にします。 
※重要(2024/01/05):MBOにより上場廃止予定。買い付け金額は3800円で1200円プレミアムがつく。非上場化で改革急ぐそうです。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFD057480V00C24A1000000/



アオキスーパーの概要

創業80年の地域密着型食品スーパー。愛知県西部を中心に生鮮食料品・一般食品・日用雑貨のスーパーマーケット「アオキスーパー」を51店舗(愛知県内、2023年2月)運営。地域密着の中規模店舗を基本に住宅地への「郊内型」出店に特色。四半期に一度の大感謝祭、月に一度の「魚の日」「青果の日」「肉の日」セールを実施。その他、ショッピングセンター「ショッピングセンター アズパーク」、生花等ガーデニング店舗「花いちば アズガーデン」を運営。2011年総合物流センター、本社ビルを開設。従業員数918人 (2023/02現在)

マネックス証券「銘柄概要」より

 

 一部花を売る、複数のテナントを入れるなどの業態はあれど、駐車場を構え食品スーパーのみに専念するという店舗がほとんど。同地区に複数出店するなど、名古屋市、尾張地区の食品スーパーとして定着しています。最近では、新しくできたららぽーとにも出店するなどしています。安売りがテーマのお店で、食品・生ものの回転率が高く、惣菜のおいしさは他のスーパーより1段勝ると考えています。(カネ美食品(2669)よりうまいと思う)
 関東地盤のオーケーにも通じるところがあるかもですが、オーケーではキャッシュレス決済に対応しているのに対し、クレジットカードなどの手数料を嫌い、アオキスーパーは長く現金のみの姿勢を崩していませんでした。

基本情報と決算説明書を読んでみよう


倒産のリスクなどは低そうである。実際に店舗を持っている以上、PBRは割安感。PERについては利益的な問題なのかすごく割高に見えてしまう。

 PBRは割安圏なものの、PERが39.4倍は凄く高く見えますよね。
 ROEが測定不可(赤字があったことによる、四季報によると-1.7%)、キャッシュフローを見ると、著しく汚れています。なんと営業キャッシュフローがマイナス?!粉飾でもやってんのか?と思ったのですが、決算説明書では、下記のように説明されています。

これは主に、前事業年度末が金融機関の休業日にあたり、仕入債務等の支払50億98百万円が3月1日となったことにより、フリーキャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差引いたもの)が79億13百万円の減少となったこと、財務活動によるキャッシュ・フローが5億45百万円の減少となったことによるものであります。

https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS00087/9754371a/6d79/4bc8/9a11/f650ab28e5fd/140120220414521619.pdf

 でも株主優待(100株で1000円買い物券,300株で3500円買い物券、500株で6000円買い物券)やっているし、そういう投資家が尻込みするような決算はもったいないかなあってなっちゃいます。パンパシHD(ドンキホーテ・アピタ・ピアゴなど)や、ナフコなど他にもスーパーの優待銘柄はあるんだから、そっちに流れちゃうような。こんなんだから1日で200株くらいしか取引されねえんだよこのやろ~~~~~~~

強烈なライバル・パンパシHDグループのメガドンキ×アピタ。
ドンキが加わったことで、空きテナントを一気に埋めて若者客をつかむ。
株価も業績も絶好調。カネ美食品も好調で。

激戦!食品スーパー業界

 食品スーパー業界は激戦が続いており、近年は人手不足に伴う、設備投資が重くのしかかります。
 リニューアルのために一時休店し、リニューアル後に新しく機械が増えているぞ、ってことも。
 セルフレジを投入して一段落かなー?と思いきや、今度はお会計だけ別の『セミセルフレジ』が登場。2年近くはこれで落ち着きますが、今度はバーコード決済を国策で推したこともあり、消費増税に伴う5%還元などを理由にQRやクレジットカードにも対応するセミセルフレジにさらに置き換える・・・ということも。

セルフレジ(バーコードをお客が読み取る)、イオンなどに非常に多く、6個並んでいたりも。
少ない点数でよい場合は良いが、大量購入するスーパーなどには不向き
バーコード読み取りに時間がかかり、結局セルフレジのほうが遅い、なんてことも。
https://diamond-rm.net/ec-epayment/87325/  より引用
会計だけ別のセミセルフレジの例。小銭でもたもたしてレジの回転が遅くなるのを防ぐ。

しくじり続きの新決済方式

 アピタ・メガドンキのパンパシHDが独自電子マネー「majica」を導入しますが・・・

 前任のUCSカードの利用率の悪さを引き継いだのか現金決済率が高く、レジでチャージできることや、おじいちゃんでも使えるレベルのUIなどアプリの出来は秀逸なのにかかわらず、キャンペーンを複数打って利用率の向上をしている始末(還元率はまあまあなんですけどね)。認知が進まず損をしています。
 例として非上場で中部関西地盤のコノミヤでは、チャージ式のプリペイドカードとPayPay,aupayを用いていますがプリペイドカードを使っている人もあまりおらず空気、PayPayとaupayは手数料の負担がかさみます。
 非上場・東海地盤のヨシヅヤではCGCグループ提供のチャージ式プリペイドカード式の『ありがとうCoGCaカード』を導入。ただ、こちらは利用率は非常に高く、高齢者でも利用率が高いように思えます。前任のポイントカードから丁寧に引継ぎを行ったこと、もともとそんなに安くはない代わりに高齢者向けに丁寧にプロモーションを行うという戦略もうまくいきました・・・と思ったら、PayPayをしれっと導入していたり。迷走は続きます。(最近になりaupayどころかd払いも導入。ええ・・・)

損益分岐ラインは高めの営業方針だし、高齢者に向ける余裕はあるのは大きいです。ただレジでチャージできないのはどうなんだろう。

 せっかくセルフレジを導入、セミセルフレジを導入・・・としていたところにまた設備投資、となっているのが最近のスーパー業界。クレジットカードを導入すれば手数料がネックになるしで、結局どの方式に定着するのかは、手探りです。
 アオキスーパーは、どういう方式になったのでしょうか?

アオキスーパー、現金のみやめるってよ

 2022年9月、アオキスーパーはついに支払い現金のみの姿勢を崩し、バーコード決済を導入しました。
 それは・・・・これまであったポイントカードを移行し、電子マネー機能付きのポイントカードにし、希望者はスマホアプリにもできるよ、というものでした。これなら、自社で開発したシステム費用だけで済みますよね。

 クレジットカード機能はなく、支払いに使うだけというシンプルな仕様になりました。スマホを使えない高齢者に向けて、カードかアプリを選べるという仕様にもなっています。他社の失敗事例を見ているのか、2022年の8月には移行期間には店員が特設ブースを開き、丁寧に移行の説明を1か月以上にわたり行ったことで、概ね混乱なく移行することができました。
 設備投資に負担はかかれど、これまでのクレジットカードを使わないことで安く提供、というのを引き続き続けられたのは良い傾向なものの、将来的には、銀行からの振り込みでチャージとかにしないと・・・という課題もあるでしょうね。
 追記:PayPayの自治体のキャンペーンに限り、電子マネー決済を解禁しているそうです(2023年9月確認)

 なお、個人的にはクリエイトSDのアプリが一番完成度高いと思っています。

おわりに

 値上げ圧力、人手不足もありますが、物流や省人化などあらゆるものの最終目的地ってスーパーだと私は思っているわけで、どういう着地をするか、良く見守っていきたいと考えています。
 特に愛知はしくじりをしてしまった店舗や、オーバーストア気味な商圏にさらにドラッグストアが増え・・・となっている始末。自由競争も悪くはないのですが、おじいちゃんおばあちゃんのことを考えて利用しやすいところに店舗があればなあ、っていうのは毎回考えてしまいます。

ちょっと宣伝

 幼なじみのBL漫画、TBSでドラマ化されるからみんな見よう!このリンクから購入してくださると、アオキスーパーで買い物する著者の支援になります。(ダイマ)
 DLsiteのコミックで30%OFF+クーポン利用可能。ブラウザで読めるのでスマホの容量も圧迫しません(ダウンロードして読むことも可)
 デジタル漫画ではDMMブックスは最近還元率が50%から下げられて、還元といってもポイント還元なのでまた買わないといけない、GooglePlayブックスは便利ですが値段が張る。それに比べると現金での定価で値引きなので、DLsiteは新興ですがおすすめです。昨年は小学館、集英社の取り扱いを始めましたし。

著者名一緒でなんか運命感じる(もちろん偶然です)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?