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あなたの身体を老化から守る「和式生活」のススメ

こんにちは!理学療法士、心理分析プロファイラーのみかりんです。今回は「和式生活」のススメというお話をします。

今ではかなり減ってしまった「和式生活」。トイレも昔は和式が多かったですが、今はほとんどが洋式になっています。和式トイレを使えない人が多くなってきているというのも事実です。戦後、洋式の生活が便利だと認識されて、どんどん洋式に変わっていっています。そんな中、私は自宅を建てる時に「和風」にこだわりました。木造にすること、壁は珪藻土にすること、床も無垢板にすることなど、様々なこだわりを持っています。

その理由は1つ。「和式生活は身体作りに最高だから」ということです。

和式の生活については、色んな議論がこれまでされていました。理学療法士をしていると、患者さんが一番困るのは「自宅に帰ること」。それを阻むのが自宅の環境であり、「和式の生活」なのです。最悪じゃん!って思う人もいるかもしれません。そう、和式生活って今の時代を逆行する、バリアアリー生活なのです。

しかし私はそのバリアアリー生活が一番身体機能を保てていけると考えています。

人間の身体は楽を覚えたら、楽をすることしかできなくなります。とにかく毎日能力が落ちていくばかり。しかし和式の生活って、身体能力が落ちたら生きていけません。本当に死活問題になります。

だからよほどの理由がない限り、カッコいいなという思いだけで洋式の生活をするのはためらいます。

和式生活の3つの利点

和式生活には3つの利点があります。それは、「生きているだけ」でエクササイズになることです。昔の日本人に「肥満体型の人」っていなかったように思いませんか?戦後しばらくは完全に和式生活だったこともあり、余程の地位のある人くらいしかふっくらした人はいなかったように思います。

今は食生活も豊かになり様々な家事が楽になっています。

①生きているだけでボディイメージを更新できる
②インナーマッスルが鍛えられる
③体力が維持できる

何だそれと思う人も多いかもしれません。本当にこの3点がめちゃくちゃすごいことだと考えています。一つづつ説明していきますね!

①生きているだけでボディイメージが更新できる

以前のnoteにも書きましたが、ボディイメージは一度作られると、なかなか更新されていきません。洋式の生活では、特に手足を投げ出したような姿勢が増えます。

靴を履いたまま室内で過ごすということは、生活の中で足の裏の感覚を使わなくなります。足の裏はバランスをとるのに使います。また、足の裏の感覚ってものすごいので、大切にすることをおすすめします。裸足で過ごす、和式スタイルの生活や、足袋を履くのも足が地面を掴む感覚ができます。履き物も草履や下駄って、地面を掴む感覚がないと、すぐに抜けてしまって歩けません。だから靴よりも草履がよく、スリッパを部屋の中で履くなら草履をオススメします。

余談ですが、赤ちゃんが生まれてくる時に、感覚が優れている場所が3つあります。生きていくのに外部からの刺激をたくさん受け取って、成長するのに大切な場所が、口の周り、手のひら、足の裏の3か所です。足の裏の感覚をしっかり使えることは、転ばないようにするため、バランスよく過ごすためにも大切です。

さらに、和式の生活の良いところは自分のボディイメージが更新できると言いました。ボディイメージを更新するというのは、自分の筋力や可動域を生活の中で確認できるということです。和式の動作には軸を整える動作、屈む動作がたくさん含まれています。

ーボディイメージの更新①軸を整える動作

身体は構造的には左右対称な骨格をしています。正確には内臓の配置などで左右の重さは違いますが、全体的に左右でバランスを取られています。姿勢が悪くなると、この軸がどんどんずれるわけですが、和式生活にはこの軸を整える動きが多いのです。例えば、正座。左右のバランスが崩れていたり、体幹がしっかりしていないと足にかかる体重のバランスが悪かったり、足の上に寄りかかっている姿勢になるので足の痺れも早く、姿勢を維持できないのです。茶道の方の所作を見ていても、昔ながらの三つ指をつく動作、正座からのお辞儀など、軸を整えることが自然にできます。さらに昔だったら、床を吹くのに「雑巾掛け」をしていました。これも左右のバランスが取れていないと、まっすぐに進めないし、雑巾から手がずれ落ちてしまったり、足がもつれたり。様々な意味で、左右対称に動くことができ、自然に軸を整えることができます。

ーボディイメージの更新②屈む動作

マニアックな表現をすると、「屈む動作」はまさに「環境適応」を促し、自分の体力を実感できる動作になります。屈むというのは、重力がかかっている地球上で生きており、必ず地面(支持面)に支えられて、動作が可能になっています。だからこそ、自分のいる場所との関係を知ることのできる「屈む」動作はとても大事になり、重力との関係でバランスをとる動作というのはボディイメージを更新するのにとても良いきっかけになるのです。

もっと専門的な言い方をすれば、人間は環境によって動作が決められており、それをアフォーダンスと言います。自分が環境をどうやって感じているかによって動きが変わってくる生き物です。屈む動作というのは、視覚的にも聴覚的にも嗅覚的にも体性感覚的にも環境を感じられる動作。すごくないですか?私たちの持っている感覚の5つ中の4つも支えているんです。

例えば、「雑巾掛け」は屈んでやり典型的な動作。床の匂いを感じるし、手を伸ばして床と雑巾を適切な圧力で押さえて滑らせながら、足を動かして前に進む。視覚的には床との距離感を感じながら動く。だから最高の動作だと思います。

しかし体幹が弱い人は要注意です。体幹が安定しないということは、手足の動きも安定しないことになり、力づくで雑巾掛けをすることになります。変なところに力が入れば、腰や膝を痛める可能性があるからです。

②インナーマッスルが鍛えられる

和式生活でインナーマッスルが鍛えられるの?と思う方が多いと思います。正しく和式生活をしていれば、かなりインナーマッスルは鍛えられます。姿勢維持という観点でも和式はとても優れています。さらに①で伝えたように軸が整えられていれれば、自然にインナーマッスルも働きやすくなります。着物を着た女性は、背筋がピンと伸び、姿勢が悪かったり、動作が雑だと着物が着崩れてしまうので、自然と所作も姿勢も気をつけることが可能になります。いま、それを着苦しいと思う方は、すでにインナーマッスルが弱すぎて姿勢の悪くなっている人だと言えます。

インナーマッスルはスポーツ選手が鍛えているイメージがありますが、実は「姿勢維持筋」です。だから鍛えたからどうこうという訳ではなく、どれだけ日常的に使えているかどうかがパフォーマンスを変えてくると考えています。

③体力が維持できる

三番目に体力が維持できるとしました。その理由は、「バリア有り生活」だからです。畳のヘリに足を引っ掛けたり、家の中の段差が多かったりなど、生活の中に、自分の身体を楽にだけして、体力を落とさない工夫がたくさんあります。また、生活を楽にするための工夫が少ないため、掃除にしても生活にしても、床から立ったり座ったりが多くなり、自分で動かなくてはいけないことが増えます。これを毎日繰り返すことで体力を維持しやすくなり、さらに、「よいしょ」などと声を出して気合いを入れなくては動けなくなった場合は「自分の体力が落ちたな」と、気づくことができ、それに対応して何か工夫をするのか、そのまま様子を見るのかで変わってきます。

まとめ

日本人が完全に和式生活をしていた頃、つまり戦時中の普通に生活している日本人の19歳男子の体力は、がっつり鍛えて成熟した29歳アメリカ兵士の体力に匹敵していたと言われています。そのくらい和式生活をしていたら、勝手に「身体」は体力がつくのです。

私は今の時代、忙しい人も多く、楽をしたいとは思います。しかし、アンチエイジングとかダイエットとか健康を意識するのであれば、毎日を丁寧に暮らす「和式生活」の要素を取り入れることがオススメだと考えています。

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