夜からの手紙は 【毎週ショートショートnote】

「おはよう」

 テーブルの手紙はいつもその言葉から始まる。続くのは、朝ご飯のメニュー、連絡、ゴミの日なら「よろしく」、そして、
「いってらっしゃい」
 だ。

 ママの仕事は朝が早く夜も遅い。休日も合わない。パパはいない。もう高校生だから、お金さえあれば大丈夫。独り暮らしのような毎日に私はすっかり慣れていた。

 でも時々思った。ロボットとかAIが手紙を書いてたりして、と。


 その日は調子が悪いのか、寒かった。寒さは人を心細くする。だから、エアコンはつけるわ、電気もつけまくるわ、テレビは大音量にするわ、あらゆることを試してみた。

 でも、寒さは消えなかった。

 その時、ダイニングから見えたのはママのベッドだった。とと……、と近寄ると、私はベッドにダイブした。毛布からはもわっとした匂いがする。「これ、加齢臭?」
 ママも年か。笑っていると指先にじわりと血が通い始めた。


「昨日はよく寝られた?」
 今朝の手紙の始まりはこれだった。あのまま寝たらしい。文字を指でなぞりながら私は、寒かった背中が暖かくなっていたのを感じた。



 は……初めて参加させていただきました。わーわーわー……(汗)
450文字だと勝手に思ってたから……。
 でももう、これ以上減らせません。どうかビギナーということでお許しを……。

◆こちらの企画に参加いたしました。たはらかにサマ、ありがとうございます。


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