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【読書記録】『るきさん』高野文子

 ◆「大人」って、こういうことだよな

 バブルも終盤に入った都会で暮らす、るきさんの日常を描いたお話です。
 在宅で医療事務の仕事をし、新しい切手の発売日には飛んで行き(そう、『るきさん』には郵便局がよく出てきます)、友達の「えっちゃん」とはつかず離れずの関係を保ち、「都会の独り暮らし」を満喫しています。自分のことは自分で、でも、独りじゃない。物質的な豊かさが正義のようなあの時代では、新鮮な価値観だったと思われます。
 ラストはとても軽やかです。あっけない、かもしれません。個人的には、あのまま二人は、連絡を取り合わなくなるのではないでしょうか。お互いの生活に必要以上に踏み込まないのが「大人」ですから。

 私は文庫で読みましたので、今回は文庫で。


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