犬のために

我が家は今、改築中。
庭に小さいけれどウッドデッキを作ることにした。
ウッドデッキから庭の地面には、一部緩やかなスロープがつく予定。
今までは、庭への掃き出し窓をあけると、結構な段差を
トンッと降りなければならなかった。
降りた先には50センチほどの奥行きのあるモルタルのたたきがあって、その先が庭になっている。
着地点が土ならまだよかっただろうが、モルタルでは足に響く。

「うちの犬も年を取ったのもあるけれど、生まれつき足が不自由だったから、庭に降りると足を傷めて後ろ足をつけずに歩くようになってしまったから」
だからウッドデッキを作るというと、
同僚が
「え、犬のためにそんなことするの? 考えられへん!」
その言葉にショックだった。
犬だから脚が痛くてもいのか?
犬と人間の差って、何?

形が違うと種類が違うと
優劣をつけたがる
親疎をつけたがる
そういう線引きが人間の意識にはあるんだな。

私は教職についていて、
今の職場ではないけれど
10年ほど前の職場では、
よく「人間様」という言葉が使われていた。
この世界を支配しているのは人間で、
人間が一番偉い
だから、ほかの動物を支配するのは当然だ。

人を育てる場がそうなら、
そういう人間が大量に生産されてしまう。

人間様
そういう感覚が、今の環境破壊や地球温暖化をもたらしたのでは?
人間のやったことで人類が全滅するのは
嫌だけど、
まあ、自業自得かなと思わなくもない。
絶対いやだけど。
でも、そのせいで、
環境を阻害せずに正しく生きものとしての生き方をしていた
動物や植物たちが迷惑をこうむるのは
なんだか申し訳ない気持ちにもなる。
南極の氷塊がなくなって、
ペンギンのコロニーが少なくとも今年3つ消滅したとか。
つまり大量のペンギンたちが、
繁殖できずにちりぢりになったのだ。

何とも申し訳ない。

動物はどうでもよくて人間だけが大事
そんなことを考えないで
みんな対等に生きていけたらいいのにな。
捕食関係にあろうとも
命を奪うまでは尊重できたらいい。

そんなことを、
足を引きずって歩く我が家の老犬を見て
思ったりする。

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