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院の御子 第一章 畿内編

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#歴史小説

院の御子 第一章 畿内編

院の御子 第一章 畿内編

一、父と子 永万元年(1165年)、ある夏の夜――。激しい雷雨で、京(みやこ)の夜空は青く瞬いている。
 雷鳴の轟く中、泥をはね上げながら男は馬を走らせる。宮城の外、桂川のほとりで馬を降りると、激しい雨が叩きつける地面に抱えていた包みを置いて、太刀を抜いた。
 目が痛いほどの光を放って稲妻が空を走る。包みの中には赤子がいた。激しく泣く赤子の喉元に、男は切先を向ける。雨が、男の整った鼻先からいくつも

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