【経産省派遣】 シンガポールをだいたい1周した話🇸🇬(2/3)
はじめに
みじゅです。11月第4週に、経産省のプログラム、J-StarXでシンガポールに派遣されてきました。
シンガポールをだいたい1周したよー、こんなこと感じたよ学んだよーっていうのを、3回に分けてお届けします。1回目のnoteはこちら。
今回は2回目、「東大なんてまだまだ!?アジアトップ大学めぐり&フェリーで海洋研究所へ!」南部~西部編です!
加えて、1周シリーズが終わったら、喋りすぎない範囲で、プログラムを通して学んだことも書けたら良いなと思っています。
1周シリーズはプログラム外でのお話です!しばらくお付き合いくださいませ!
※「だいたい」1周です。およそ北部、東部、西部、南部行ったよーっていう話なので、厳密には1周ではないことをご容赦ください!
南部 島がいっぱい
ST John's Island National Marine Institute
シンガポールの本島の南部には、小さな島がたくさん浮かんでいます。日本でいうと長崎でしょうか。
USSや水族館などのリゾートが集まるセントーサ島が有名ですね。今回は行けなかったので、いつかセントーサにも行きたいです。
その中の1つに、ST John's Islandという島があり、そこにある海洋研究所を訪問してきました!
本島のMarina South Pierという駅を降りると、目の前は輝く海!何となくほっとする景色です。フェリーの発着港となっており、たくさんのお客さんがいました。
ここからフェリーで25分ほど海の上を走ると、ST John's Islandに到着です!
島には2つの研究所と、グランピングができるちょっとしたリゾートがありました。元々は刑務所として使われていた島だそうで、その時の名残の有刺鉄線もありました。
ちなみに、この島の研究所の学生さんに「毎日フェリーでここに来るの?」と聞いてみたところ、一応泊まり込みで実験するための寮はあるけど、皆さん毎日フェリーで通っているとのことでした。フェリー通学、大変そうすぎる…!
島で周りが海なので、自然海水は使い放題、島内には自生するマングローブ林にアマモ場、岩場があり、サンプリングがすぐでき、海洋研究所として完璧な環境でした。
東大は当然周りに海はなく、海水は人工海水、サンプリングには車を出して遠くまで行かなければならないため、心底羨ましいです。
英語で研究の議論をする経験
この研究所には、クラゲの研究をしている研究者の方がいました。
事前にその方にアポを取り、お互いの研究内容の紹介をし、議論を交わすことができました。
詳しい内容は割愛しますが、私にとって英語で専門的な研究の話をするのは初めてだったので、これがめちゃくちゃ良い経験になりました。
自分の研究の説明も、相手の研究の説明を聞いて理解するのも、さらに議論するのも正直超大変でした。日常会話なら単語の並びもある程度決まっていますし、言い慣れているものも多いですが、研究の話となると「え、それ何??」「まってこれなんて言うんだ…」「やばい基本的な単語が飛んだ」と脳内がてんやわんや。
だって「クラゲの拍動」を英語で言う機会ってなかなかないじゃないですか!!
それでも、会いに行こうと思ったこと、アポメールを書いたこと、会いに行って翻訳機に頼らずに自分の力でどうにかコミュニケーションをとったこと、これがすっごく良い経験になりました。上手い下手に関わらず、挑戦したことに意味があるはず。それで次もっと上手になっていれば良いんです。
基本的には、相手方もこちらが母語で話しているわけではなく、第二言語、第三言語を使っていることはわかっているので、多少文法や表現が変でもとにかく怖がらずに喋ることが大事だと思います。伝えようとすれば伝わります。
ありがたいことに何度か「英語が上手だね」と褒めてもらえましたが、上手というよりは英語で喋ることを怖がっていないっていう、ただそれだけな気がします。
とはいえ、より的確に自然に喋れるに越したことはないので、「英語ネイティブかと思った!」って言われるくらいにはなりたいですね。これからも頑張って勉強します。
結果的に、クラゲの話はもちろん、そこから派生して、シンガポール特有の一次産業の問題点だとか、地政的なところだとか、水産の話をすることができて、日本で研究をしているだけでは気づかない視点を得ることができました。
また相手の研究者の方も、東アジアでのクラゲの問題について新たに色々知ることができて良かったとおっしゃっていました。
こうして、ガッツリ数時間議論をし、大変有意義な時間を過ごすことができました!
ずっと晴れていたのに、帰りのフェリーに乗る直前に急なスコール☔️
モンスーンの力を思い知りました。
最後に、おすすめのシンガポールのおやつを教えてもらいました!周りにまぶされているココナツがすごく美味しかったです!
南西部~西部 トップ大学
シンガポールには、アジアのトップ大学が2つあります。シンガポール国立大学(NUS)と、南洋理工大学(NTU)です。2024年の世界大学ランキングでは、NUSが8位でアジアトップ、NTUが15位と北京大学に次ぐアジア3位をマークしています。
ちなみに東大が32位、京大が50位なので、日本の大学はまだまだですね。
NUS
NUSはKent Ridge 駅というところからバスで向かいます。NUSに通う学生と約束をして、夜ご飯を食べて学内を案内してもらいました。
とにかく、広い!!広すぎる!!
学内でも徒歩では移動しきれないので、バスやタクシーを使って移動します。調べてみたら東京ドーム30個分もあるらしいです。イメージつかないけどめちゃくちゃ広いってことはわかりました。
どこがどこやらわからないので、学生に案内してもらった日は、U Townと呼ばれる大学と街が一体になったようなエリアを見せてもらいました。
ご飯屋さんもかなりたくさんあり、遅くまで開いている図書館、ジム、オープンスペース、食堂、寮、不自由なく暮らせそうでした。
ちょうどテスト期間だったので、あちこちのテーブルで勉強している学生さんをたくさん見かけました。テスト期間なのに案内してくれてありがとう…
NTU
NTUはNUSよりもさらに西側、ほぼ山の中にあります。
滞在場所から1時間以上かかりましたが、こちらもその分広大。なんと東京ドーム43個分!!!!!もうよくわからんくらい広い!!!
NTUに正規で4年間通っている日本人の学生と待ち合わせて、学内を案内してもらいました。多分案内してもらっていなかったら遭難していたと思います。
お昼はフードコートで食べました。物価が高いと聞いていましたが、屋台やフードコートではまだまだお安く食べられました。これで3.2 SGD!
NTUは緑がとてもたくさんあって、学生さん曰く「人類滅亡100年後みたい」だそうです。というのも、2030年までに大学の炭素排出量を実質0にしようという取り組みがあるらしく、そのためにたくさんの植物が植えられているとのこと。
企業との共同研究ラボも多く存在しており、こういった新たな取り組みやイノベーションが生まれる場所として機能しているんだなあと感じました。
大学の構造と建築から見るシンガポール
いずれの大学にも共通して言えることは、とにかく机と椅子がたくさんあって、勉強したり友人と喋ったりする場所には困らないということでした。
少なくとも東大にはあの密度で机と椅子はありませんし、今まで遊びに行った他の国内の大学でもあのような場所はありませんでした。
これには結構シンガポールの気候が絡んでいるんじゃないかと思っています。
シンガポールは雨がよく降るので、濡れずに移動するために大学内の建物の多くが屋根付きの渡り廊下で繋がっています。そのため、渡り廊下の分のスペースが生まれ、机や椅子が置けるわけです。
東大の建物はたまに地下で繋がっていても、基本は地上に出て移動するため、そういったスペースはないわけです。
だとしてももっと日本の大学も机や椅子をたくさん配置するべきだと思います。結構、東大で生活していると、ちょっと作業したいとか、ちょっとmtgがしたいとか、友達とご飯を持ち寄って食べたいとか、そういう時にふらっと使える場所がなくて困ることが多いです。空き教室を探さないといけません。
そういうオープンスペースから自然と対話が生まれ、そこから新たなプロジェクトやチームが生まれるんだと思います。普段の何気ない会話やオープンスペースでの偶然の出会いって大事ですよね。
それでも、日本の大学の広さや構造、予算だと厳しいのも確かです。難しいですね。
また、日本だと絶対に建てられない建築物が、特にNTUにたくさんありました。
これ、日本の耐震基準だと絶対にアウトなんですよね。地震が少ない国だからこそ、建築家がクリエイティビティを爆発させられるんだと思いました。
結構有名な建築も多いらしく、聖地巡礼みたいな感じで見に来る方もいらっしゃるそうです。
こういった構造や建築からも、日本との違いを知ることができました。
国家としてのアイデンティティ
大学の訪問とは別に、NUSの学生とNTUの学生と、派遣された学生何人かで夜ご飯を食べました。
かなり多岐にわたる内容を喋りましたが、特に印象に残っているのがシンガポールと日本の国家としてのアイデンティティの比較です。
シンガポールは独立が1965年と新しく、そして多民族国家です。対して日本はずっと独立国家で単一民族と、特徴が真逆です。
シンガポール1周シリーズ①で軽く触れましたが、シンガポールは公用語が4つあり、たくさんの民族の方がいらっしゃるので、私は「シンガポール人」というアイデンティティを持っている人は少ないんじゃないかという印象を受けました。
色々な人がいる分、細かいルールや罰金制度を作ることで、さまざまなバックグラウンド、価値観をもつ人が集まる多民族国家をうまく回しているのが印象的でした。
そして日本は比較的大きな島国という特徴もあり、独立性が強く、我々は「日本人」というアイデンティティを持っています。
およそみんなが同じ価値観を植え付けられて育つので、上の写真のような細かなルールは必要ないわけです。
しかし最近、日本にも移民が増えてきています。政府は減らす政策をとっていないようですので、今後もっと増えるでしょう。
となると、日本の単一民族国家としてのアイデンティティが崩れ始めるのも時間の問題です。おそらくあと数十年が勝負でしょう。
これにどのような変化で対応するのか?日本の国家のアイデンティティはどうなるのか?を我々は考えなければいけないなと感じました。
日本、良くしたいですね〜〜〜〜〜〜〜
次回予告
次回、「3回目にして最終回:体力限界ナイトサファリ」北部編&番外編 をお送りします。
お楽しみに!