うちの子発達障害かも?②~自閉症スペクトラムの特徴~
子どもってこんなもん?
私にとっては、長女みるく(仮名)が初めての子どもなので、育児のすべてが初めてのことだらけ。
手探りの育児だったわけですが、そんな中でも、何となく、ほかのお子さんや育児書に書いてあることと違うなーと思うことが、ちょくちょくありました。
それでも、育児自体が初めてのことなので、比較対象がなく、「こんなもんなのかな?」と思ってやり過ごしていました。
自閉症スペクトラムの診断がついてから改めて振り返ると、その何となく引っかかっていたほかの子との違いが、自閉症スペクトラムの特徴で説明がつくと思えたのです。
それは赤ちゃんの頃、出生の時まで遡ります。
出生~新生児期
私はみるくを、緊急帝王切開で産みました。
陣痛がなかなか進まず、いつまで経っても生理痛のちょっと酷いヤツくらいの痛みでした。
結局、子宮口は開かず、みるくも下りて来ず、そのうちみるくの心拍が落ちてきて危険な状態になったことから、緊急帝王切開となりました。
また、出生直後は新生児一過性多呼吸ということで、NICUに入院したのですが、多呼吸の症状はすぐに良くなったものの、ミルク(母乳)の吸いが悪く、体重の増加がゆるやかなため、経過を見る目的で、その後7日間入院しました。
体重の増加がゆるやかというのは、退院後も続き、みるくは、出生体重は平均的だったものの、その後は成長曲線のギリギリ下限ラインの小さめ赤ちゃんでした。
「母乳ハラスメントの話」の回でも書いたのですが、みるくが大きくならないのは私の母乳の出が悪いからだと考え、おっぱい教室にも通いました。
しかし、おっぱい教室でマッサージをしてもらうと、「母乳の出はそんなに悪くないよ」と言われ、ピューピューと噴水のように出ていました。
これらの新生児期の出来事は、もしかしたら、みるくが発達障害だったからこその結果だったのでは?と、私は思っています。
発達障害の特徴のひとつとして、体幹が弱かったり、筋肉が柔らかく力が弱かったり、筋肉の使い方が上手くなかったりということがあります(すべての人に同じように現れるというものではなく、個人差があります)。
もしかしたら、みるくには、自分で母体から出てくる力が育っていなかったのでは?と私は思っています。
母乳を飲むという行為も、生まれたばかりの赤ちゃんにとっては、力と要領が必要なことだと思います。
その力や体の使い方がうまく備わっていないから、母乳を吸うことが難しかったのでは?と思っています。
だから、「母乳が出ない」と悩んでいた当時の私の悩みの半分くらいは、「みるくの飲む力が不十分だった」という理由も潜んでいたのではないかと思うのです。
授乳期
退院してから自宅での育児が始まりますが、みるくは、ただの一度も、お腹がすいて泣くということがありませんでした。
母乳育児をがんばっていた私は、頻回授乳で2時間置きに授乳をしていました。
いつも、時間が来たから授乳するというのが常で、みるくがお腹をすかせている様子だから授乳、ということは、一回もありませんでした。
また、このことにも関係していますが、普通、お母さんなら、赤ちゃんの泣き方で、赤ちゃんが何を要求しているかわかると言いますよね?
ふにゃふにゃ甘えるように泣いているから眠いんだなとか、ギャーギャーと火がついたように泣いているからお腹がすいているんだなとか。
それが、私にはまったくわかりませんでした。
みるくが初めての子育てで経験がないので、わからないのかなとか、私って母性に乏しいから我が子の意思表示も理解できないのかなと、少し落ち込んでいました。
でも、次女の時には、その泣き方の違いが明らかにハッキリとわかったのでびっくりしました。
私の感受性の問題ではなく、みるくの泣き方に大した違いがなかったのです。
次女との比較で初めてわかったことですが、次女の明らかに感情を乗せてくる泣き方の変化に比べて、みるくの泣き方は、どの場面も同じに聞こえるような、感情の表出が感じられない泣き方だったのです。
みるくは、成長した今(執筆時6歳)も、自分の意思や感情を表現することが苦手です。
表現も苦手だし、その意思や感情そのものに、自分自身でさえ気づいていないのでは?とさえ思う場面があります。
これらも、自閉症に見られる特徴のひとつです。
赤ちゃんの頃から、この特徴のせいで、「お腹がすいた」と泣くこともなかったのではと思っています。
1歳頃
みるくは11ヶ月の頃から保育園に通っていますが、保育園に預ける時、泣いて嫌がるということが一度もありませんでした。
最初から、すんなり母子分離ができました。
「泣かずに慣れてエライなー」と思い、親としては助かっていたのですが、これも、感情の表出ができていなかったか、あるいは、「さみしい」などの感情の出現がまだなかったか。
母子間の愛着形成も不十分だったのかもしれません。
また、前回書いたように、この頃には、指差しができなかったり、歩行開始が遅かったりということがありました。
定型発達のお子さんと比べると、明らかに、発達の遅れが見られました。
2歳頃
2歳頃には、前回書いた、トトロを毎日見て、毎日演じる(最初から最後までセリフ暗記)ということがありました。
トトロの場面を再現してから寝るというのがルーティンになっていましたが、この寝る前のルーティンというのは、その時々で、変わっていきました。
同じ絵本を繰り返し読んでから寝るとか、「Let It Go~ありのままで~」を何度も何度も私に歌わせるとか、本棚の本を全部出して、また片付けるというのを繰り返すとか、眠くなるまで体を左右に振り続けるとか。
こういう、「同じことを繰り返す」ということが好きだったように思います。
この頃の大好きな遊びは、36色マーカーや刺しゅう糸の束を、何度も何度も繰り返しケースから入れたり出したりするというものでした。
延々とやっているので、「何が楽しいんだろう」と不思議に思っていました。
これらは、自閉症の特徴のひとつである「常同行動」や「こだわり」に該当するのではと思えます。
また、トトロのセリフの丸暗記というのも、自閉症児だからこその、強いこだわりと驚異的な記憶力があってこそでしょう。
3歳頃
3歳頃には自閉症の診断が出ていたので、私自身、自覚的に「自閉症だからなんだ」と理由付けできていましたが、他のお子さんと比べて、発達のゆるやかさが目立ってきた時期です。
お絵かきをさせても、何の形状もなしていない、ぐちゃぐちゃのなぐり書きしかしていませんでした。
「コップを持ってきて」などの指示は通るものの、会話はうまく成り立たず、「今日は給食で何を食べた?」などの簡単な質問にも答えられませんでした。
11ヶ月の頃から同じ保育園に通っているにも関わらず、お友達の名前も覚えていませんでした。
運動面も遅れていて、公園の遊具で遊ぶことは難しかったですし、両足ジャンプができなかったり、階段を両足で交互に下りることもできません(これは今でも苦手です)。
出かけても、怖がったり驚いたりして嫌がり、何もせずに帰ってくるということもしょっちゅうでした。
たとえば、お祭りのようなワイワイしたイベントに行き、ステージ上でマイクの声が聞こえると、もうダメでした。
耳を塞いで、その場にいられないという様子でした。
自閉症の人たちに多くある、聴覚過敏のせいだと思います。
4歳頃
4歳頃から、みるくの自閉症らしさというか、その特徴的な症状が強く出るようになってきました。
まず、保育園に行けなくなりました。
0歳の頃からまったく泣くことなく母子分離できていたのに、4歳6ヶ月になって初めて、「保育園に行きたくない」と言って泣いたのです。
母子の愛着形成や、感情の表出というものが、4歳になってやっと熟してきたのかな、と思いました。
保育所等訪問支援を受けて、何とか保育園に行くようになっても、活動を嫌がる様子がありました。
特に、やったことがないこと、苦手だと感じていることには、参加しません。
参加できるように促しすぎると、また登園できなくなってしまうのです。
運動会や発表会には参加しましたが、おそらくがんばりすぎたせいか、またパタリと登園できなくなりました。
通っている小児精神科医からは、「過剰適応があるかもしれない」と言われました。
最後に~一例としてお読みください~
自閉症スペクトラムの”スペクトラム”とは、「連続体」という意味だそうです。
自閉症の症状や特徴は様々な領域に広範囲に及び、その程度も日常生活に支障のないレベルからそうでないものまで連続的にあって分けられない、ということで、「スペクトラム」という言葉になったようです。
つまり、「自閉症」とひとくくりに言っても、その症状や特徴は様々で、重度の人・軽度の人、いろんな人がいます。
ですから、今回書いたみるくの特徴は、ひとつの例に過ぎません。
自閉症の人に必ず表れるというわけではないし、同じような特徴があったからといって、必ずしも自閉症スペクトラムとは言えないかもしれません。
みるくと同じように緊急帝王切開で生まれて母乳をあまり飲んでくれないからと言って、すぐに「自閉症かも」などと不安にならないでくださいね。
私がこれらの出来事と自閉症を結び付けているのは、事後的に判断しているだけだし、素人の勝手な憶測に過ぎません。
母親の直感を書いている部分もありますので、ひとつの参考例としてお読みいただけたらと思います。