宝物って、何だっけ?

はじめに

ポケモンが大好きな私は今日もSwitchを手に大冒険を繰り広げていた。
今年発売された新作スカーレット・バイオレットは歴代初の学校が舞台の作品だ。歴史ある学校に転入してきた主人公が相棒のポケモンと共に「宝探し」をテーマとした課外授業に参加する。
宝探しという壮大なテーマが掲げられてはいるが、何を宝物とするかについては言及されていない。それぞれが自分だけの宝物を見つけるのが目的のようだ。当然、歴史的に価値のあるもの等、所謂本物のお宝を見つけちゃうのもアリ。

ゲームの世界では各地の強者に挑んだり、実在するかどうかすら不明な伝説のスパイスを探し求めたり、学校の風紀を乱す不良集団をちょっとシメてみちゃったりする。
私の分身たる10代の少年少女がこんな大それた宝探しの大冒険をしている裏で、もしかしたら私自身も宝探しをしていたのかもしれない。
これは、ポケモンキッズのまま大人になってしまった私がPOSIWILL CARRERの受講を通して自分だけの宝物を探すである。

ポジウィルとの出会い

遡ること今年の夏。気にかけてくれる先輩や期待をかけてくれる上司に囲まれつつも、慢性化していた長時間残業や悪い意味で変わっていく社内環境に直面したことで働き方や生き方に疑問を抱き始めた私は、心の片隅とSafariのタブに置いておいたポジウィルの存在を思い出していた。
存在を知ったのは約2年前。ご時世的な影響で失業し、必然的に転職活動をしなければいけない中でキャリアのことを調べている時に見つけた。当時は有用なサービスだとは思いつつも、無職のため経済的に厳しく利用には至らなかった。でも思い出した今は一応働いている。安くはないが出せない金額でもないし、このままじゃダメなことだけは分かったので無料カウンセリングを受け、半ばヤケクソでキャリアデザインプランに申し込んだ。開始時期は仕事やプライベートの事情を考慮して少し先の11月にしたが、後述の理由からこんなに後ろ倒しにする必要はなかったと思っている。それでも、始めることに意義があったのは間違いなかった。

トレーニングを通して見えたもの

担当トレーナーは山崎さん。明るく穏やかな雰囲気のお姉様だ。
今いる環境はきっと悪くないはずなのにどうもしっくり来ない、かつてそんな思いを抱いていたそうで少し親近感を抱いた。

キャリアデザインプランは主に過去の経験が現在の思考等にどう繋がっているかを探り、そこから未来を見ていくプログラムだが、私のお世辞にも頭が良いとは言えない話の中から当時どう思っていたかを上手いこと拾っていただいた。時に感情と涙腺が爆発しながらもかなり大々的に思考や感情の言語化をお手伝いしていただいたと思う。
特に嬉しかったのは今まで何も頑張ってこなかった、好きなことや得意なことだけやって苦手なことからは逃げていた、そう思っていた私にも強みがあると気づけたこと。そして、それを堂々と言えるようになったこと。
さして苦労せず当たり前にできることが強みであるという話はあるが、それをきちんと実感できて本当によかったと思う。

「色んなこと頑張ってきたじゃないですか」
家族でも友達でも会社の人でもない誰かにそう言われることがこんなに嬉しいなんて思ってもみなかった。

私だけの宝物

スカーレット・バイオレット本編で(というよりポケモンシリーズのほとんどにおいて)主人公は多くの人達と出会う。
今作で出会ったのは新たに宝物を見つけた人、何かのきっかけで以前から大切にしていたものが宝物だと気付いた人、手に入れた宝物を守ろうとした人──人の数だけ宝物への認識は違う。

1ヶ月間のPOSIWILL CARRERでの宝探しにおける私は「以前から大切にしていた何かこそが宝物だと気付いた人」だった。

私の宝物は「好奇心」だ。

昔から興味を持ったことはとことん追求するオタクの気質があったし、好きなことをやるためなら嫌いなことも頑張れるくらいには好奇心を重んじていた。例えば、高校や大学で好きなことを学ぶために嫌いな科目の受験勉強から逃げなかったように。お金だけじゃなく、好きなことへの知見を深めたくて朝早くからバイトを頑張ったように。現職のアホみたいな残業だって、今思えば好きなことをやるための資金稼ぎだと思って耐えてきたんだろう。

もっと学びたい、新しいことを知りたい、そんな気持ちが現職の環境によって脅かされているからストレスを感じるという結論に至った今は、自分の宝物を守れる環境に身を置くための準備を始めることにした。
ただし一人でやるのは恐らく無理だろうと最初から分かっていた。絶対サボってしまう。相談の結果通常プランを終えた後で追加可能な180日のサポートプランに申し込んだが、悲しいかな日々の残業が祟ったせいか体調を崩したため、実際の開始は年明け以降になりそうだ。
正直申し込んでから最速でトレーニングを受けていれば身体を壊す前に環境を変える決断や行動ができたかもしれないと思う部分はある。ただ、起きてしまったことをウダウダ言っても不毛なので今は療養に専念し、宝探し第二章に備えたい。せっかく芽生えた未来を見ようとする気持ちをもう無碍にはしたくないから。

ポケモンの世界でも、現実世界でも、私の宝探しはまだまだ続く。

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