絶滅した伝説の鳥ドードーを描いた、ルーラント・サーフェリー~Roelant Savery's Wondrous World at Mauritshuis Museum in Den Haag
5月までマウリッツハイス美術館で開催していた展覧会は、オランダの画家ルーラント・サーフェリーの作品をまとめて見ることができた初めてのもので、動物や植物が画面にぎっしりと描き込まれていて、どの作品を見ても楽しかっです。
残念ながら5月20日に終わったしまったのですが、動物がたくさん描かれていたから、子どもたちのために夏休みまで開催すればよかったのにと思いました。
ルーラント・サーフェリーは八十年戦争の最中にベルギーで生まれ、彼が6歳のときオランダのハーレムへ逃亡しました。
その数年後、アムステルダムに移って画家として活動していた兄の下で修業し、兄がペストで亡くなるまで一緒に働きました。
その後、まもなくサーフェリーはプラハへ向かい、当時最大の収集家であったハプスブルク家皇帝ルドルフ2世のもとで宮廷画家として仕えることになりました。
ルドルフ2世の宮廷は、世界中からヨーロッパに持ち込まれた新種を含む動植物や美術品、科学機器があふれ、サーフェリーにとっては楽園のようでした。
魅力的な描く対象にあふれたルドルフ2世の宮廷で、宗教や戦争といったテーマから日常生活や自然を描いたものまでサーフェリーは精力的にさまざまなテーマに取り組み、オランダで初めて花の静物画を描いた画家ともなりました。
上の作品は《聖アントニウスの誘惑》という作品で、聖アントニウスが悪魔から与えられる苦痛に耐えている所を描いています。
ヒエロニムス・ボッスの作品にあるような奇妙で魅力的なモンスターたちが描かれています。
《メメント・モリ(死を想え)》という作品。
人間の頭蓋骨が動物の骨の中央に置かれている。頭蓋骨の上には動物の骨が冠の様にのせてある。
全ての骨が正しく描かれているので、標本を見て描いたと考えられます。
ギリシャ神話の詩人で音楽家、竪琴の名手であるオルフェウスが音楽で動物を魅了している場面を描写しています。
ライオン、チーター、サイといったヨーロッパにはいなかった動物を描き、空を背景に羽を広げたダチョウまでいます。
そして、右側には、岩の上に絶滅したといわれる伝説の鳥ドードーがとまっています。
ドードーは、インド洋西部のモーリシャス島に生息する飛べない鳥でした。
17世紀初頭にオランダの船乗りが到着すると、ドードーは集中的に狩られたことと外来の病気の持ち込みにより絶滅しました。
それ以来、ドードーは人間の行動による種の絶滅の象徴としてよく知られています。
皇帝ルドルフ2世が所有する珍しい動物の膨大なコレクションの中にはドードーがあり、サーフェリーはそれを描くことができました。
オランダで描かれた最初期の花の静物画。
サーフェリーがプラハに発つ前に描かれたとされています。
右上の赤いチューリップの下にある野生の蘭は珍しく、ほかの静物画で描かれたことはないそうです。
サーフェリーが描いた最大の花の絵で、野生のものと栽培したものを合わせて63種類の花が描かれているそうです。
一番上にあるオレンジの花はルドルフ2世にちなんで「皇帝の冠(Corona imperialis, 和名:ヨウラクユリ)」と呼ばれるもので、サーフェリーがルドルフ2世の宮廷画家だったことを意味しています。
Roelant Savery's Wondrous World
2024.02.08-05.20
マウリッツハイス美術館 Mauritshuis Museum
Plein 29
2511 CS Den Haaf
https://www.mauritshuis.nl/en/
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