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10月4日のバースデー(番外編)

珍しく和泉が泣き付いて来たので、キッチンへと足を運ぶと、その様子を見て、何となく察しがついた。

普段の食事は数人毎の当番でローテーションを回しているのだが、キッチンで作業をしていたのは、和泉一人だった。

今日は夕姫の誕生会で、その準備をしているのだが、手が足りていないらしい。

と言うのも、志那は会場の現場監督に行っており、飛鳥は急用が入ったとか。

千詠はどっかに消えたらしい。消えたって……。

まあ、私を含めて必要な事だけを熟(こな)し、自由にしているメンバーは多いし、茉莉達『蒼穹の深淵』組は籍だけ置いているだけだと言われればそこまでだ。

和泉達みたいに、クラブという施設を裏から支えているメンバーの方が少ないくらいだ。

流石にこの状態の和泉一人に任せきりというのも申し訳ないので、キッチンへと来るまでに見かけたメンバーの内、料理が出来そうなメンバーを思案する。

私は一つ嘆息をつくと、朱里と有栖を摑まえて来る旨を伝える。

誕生会の時間に遅れる事は無いだろうが、結構ギリギリだなぁと思いながら、二人を探しに行くのだった。

〈鳴神〉の子が書いた日誌より