4ヶ月かけて1人で10,000点のNFTを制作「KawaiiSkull」について
これはあるNFTアーティストについてのnoteです。
まずは、この画像を5秒間見てから読んでください。
この記事を読み終わった後、あなたの感想を変える体験ができればと思っています。
これは「KawaiiSkull」というNFTで発行された作品です。
一人の作家により10,000点の作品が4ヶ月かけて作成されました。
今年は数々のNFTプロジェクトが立ち上がりましたが、すべて手作りで10,000点が描かれたNFTは、私の知る限り日本ではKawaiiSkullだけです。
4ヶ月間、1日に100点近い作品が販売され続けていました。
スカル(骸骨)というシンプルなテーマで10,000点のバリエーションをつくるのは、想像するだけで気が遠くなります。
いまでは「多くの方がはじめて買うNFT」のひとつとなっています。
2021年のNFTの歴史とKawaiiSkullについて。
まずは2021年3月に時計の針を巻き戻してみましょう。
3月・BeepleがNFTマーケットに火をつけた
いまやバズワードとなっているNFT。
その盛り上がりのひとつのきっかけは、このデジタルアートでした。
2021年3月に約75億円で落札されました。
なぜこの金額がついたかは大きく2つの理由があります。
①NFTの価値を認めることで暗号資産の使い道をつくった
早期から暗号資産に参入して途方も無い額を手に入れた、いわゆる「クリプトリッチ」といわれる富豪たち。彼らは自身の持つ資産の価値を高めたいと考えています。beepleの作品を落札したもNFTへの投資を目的とするファンド(組織)でした。彼らにとって落札額の75億円は資産の10%にも満たないものとコメントしています。そして保有している資産は、ほぼ暗号資産であると宣言しています。
これまで限定された貨幣としての価値だけだった暗号資産に対して、NFTという使い道をつくることによって暗号資産全体の価値を認められたかった。NFTはマネーゲームに巻き込まれているという側面もあります。
②制作に13年間かけられた作品
Beepleは5,000日間(13年間)、twitterなどで毎日1枚づつデジタルアートを発表してきました。ただし、デジタルの絵に対して価値は認められていませんでした。いくらtwitterでバズをおこして数万のRTを得ても、2020年10月までの間にbeepleがプリント作品で受け取った最高額は100ドル。
そんな彼の5000日分の作品を1枚にしたのが、この「5000DAYS」
デジタルアートが、NFTというツールによって価値を付与されました。
彼の5,000日間が金銭的にも認められたのです。
アーティストが毎日作品を発表していくこと。
それを想像すると途方も無い執念を感じますが、ここにKawaiiSkulltとの共通点があります。
KawaiiSkullは1人の匿名アーティストにより1つづつ10,000体が制作されました
「このプロジェクトは10,000点を制作することです」と宣言。
7月下旬からスタートし、8月には1000点、そのあと毎月約3000点。
1日につき約100体のスカルを作成してきたことになります。
最初は静止画での作品リリースでしたが、いつからかGIFアニメになっていました。
ついに12月には、10,000点の作成が達成されました。
ただ10,000点が「完成した」というイメージではなく、10,000体を作る過程が作品であったと感じています。
彼は雨の日も、雪の日もスマホでスカルを制作しつづけました。
そう、驚くべきことにパソコンではなくスマホで描いていたのです。
上のツイートのあるように、スマートフォン利用時間は1日17時間以上。
宣伝ツイートやインスタの更新していたのでSNSの時間も含め、4ヶ月間ずっとKawaiiSkullのことだけを考えて生きてきたようにみえます。
スカルはドット絵ですが、発表された過去作品をみるとまったく違う作風です。学生時代は写真を学び、ファッションや花の作品を制作していました。
なにが彼にそこまでの執念を生んだのでしょうか。
その原動力は「怒り」であると語っています。
7月・現代美術家・ダミアン・ハーストがしてきたこと
KawaiiSkullの制作がはじまったのとおなじく、7月のこと。
「縦に真っ二つに切断された牛と子牛」をホルマリン漬けにした作品で世界に波紋を呼んだダミアン・ハーストがNFTアートプロジェクト「The Currency」をリリースしました。
A4サイズの紙に手書きでドットを描き、サインと言葉をつけた作品。
こちらも10,000点の作品を手書きで制作されたプロジェクトです。
さらに「現物の絵」と「デジタル版(NFT)」としてを発行し、購入者は1年以内にどちらかを選ぶという実験的な作品でした。
現物の絵を選ぶ⇛デジタル版はBURN(永久に失われる)される
デジタル版を選ぶ⇛現物の絵は破壊される
KawaiiSkullも、このプロジェクトに対して「鬼の手描き、プロジェクトの面白さ、スピード感は感銘を受けたもののひとつ」であるとのコメントしていました。
KawaiiSkullの頑固さ
世界市場ではクリプトパンクス、BoredApeYC、そして先日NIKEが買収したRTFKTなど大成功したプロジェクトが多数あります。
いずれも10,000体以上のNFTを発行し、購入者によるコミュニティを形成。
基本的には企業か、3人~10人のチームで構成されています。
一方、KawaiiSkullは、「1人で10,000体」を制作したプロジェクトです。
いま日本国内のNFTはイラストレーターによる作品販売が主流となっています。二次創作、作品どうしのコラボレーションもクリエイターの間で活発おこなわれています。いくつかアーティストやホルダーによるコミュニティもできあがっています。
現状、KawaiiSkullは日本のどのコミュニティにはも所属しません。KawaiiSkullとしてはコラボもしていません。早期からNFTでの活動をしているので、おそらく様々な誘いもきていたはずですが一貫してソロワークです。
彼が主として展開しているのは、SNSでの海外コレクターへのアプローチ。NFTマーケットやインフルエンサー、コレクターの「あなたのNFTをみせてくれ」というツイートへの返信で、私が一番よくみかける日本人のツイートはKawaiiSkullでした。国内市場に向けてではなく、1人で世界と戦っているようにみえます。
どうして国内ではなく世界に向けて発信しているのか、本人に聞いてみました
かけてきた時間だけがつくることができる価値
これは私見ですが、NFTでのアート/イラスト作品において重要だと思うことの一つは、その作家さんがNFTの世界からいなくならないこと。それを証明できるのは、かけてきた時間でしかないとおもっています。
どんなにフォロワー数が多くて素敵な絵を描く作家さんでも、NFTの購入者に向けての発信や、出品をやめてしまったとしたら、それまでだしてきたNFT向けの作品の価値はなってしまうのではないでしょうか。
また、作家さんがNFTへの興味がなくなったり批判的な姿勢になってしまった場合、ファンとしてそのNFT持っていたくはありません。
いまは新しい技術としてもてはやされていますが、NFTに対して風向きが悪くなるときが、このさき必ず来ると思っています。
そんな中で証明できるのは、NFT作品にかけてきた時間と姿勢。
●KawaiiSlkullがかけてきた4月から12月の8ヶ月間
●1日の制作にかけてきた時間
●4ヶ月で10,000体を発行すると宣言して達成したこと
言葉ではなく行動として、これに勝る信頼というものはないと思います。
今後、同じように10,000点を手書きで発行するアーティストが生まれたとしても、"黎明期である21年12月までに手書きで10,000点作成を達成したアーティスト"という事実を覆すことはできません。
KwaiiSkullのNFTでの総取引額は14.1ETH(二次流通含む)、私が集計している国内NFTランキングでは、国内約800のプロジェクトのうち「33位」と上記にランクインしています。体感ですが日本でメタマスクを繋いでOpenSeaでNFTを購入した方の合計はまだ2,000人くらいではないかと思っています。
その中で無料での配布をほとんどせず、450人の購入者がいるのは特異的なプロジェクトだと思います。
私も、彼のツイッターで「いま5,000体!」「今日はこんなスカルをつくった」というのを毎日の更新をみていくのはエキサイティングでした。10,000体を発行するまでの姿に、多くの方が共感を得ていたのではないかと思います。
最後に「今後のKawaiiSkull」について聞いてみました
10,000体を作成し終わって、ひと息ついているかと思いきや、もう次の挑戦に向けての構想が進んでいるようです。世界に向けてNFTを販売するアーティストとして、これからのKawaiiSkullさんの活動も楽しみです。
さて下の画像は、この記事の冒頭で貼ったものです。
記事を読んでいただいたあとでは、最初と印象が変わっていませんか?
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
KawaiiSkull
twitter: @kawaiiskull_nft
note:https://note.com/kawaiiskull
コレクション:https://opensea.io/collection/kawaiiskull
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▼2022年2月14日 10,000体が完売しました
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