『サーフブンガクカマクラ』は、本当に江ノ電の走行時間と同じ長さなのか
アジカンが2008年にリリースしたアルバム『サーフブンガクカマクラ』。
江ノ電の駅名が曲のタイトルに入っていて、おもしろいコンセプトアルバムだなあと聴いてみたところ、鎌倉の街や海の明るさ、切なさみたいなものが感じられて、毎日通勤しながら聴くようになったのが半年前。
1曲1曲が短くて、アルバムとしても31分9秒と短く気軽に聴けるのですが、「これって江ノ電の走行時間と同じなのかな…?」という疑問が湧いてきました。
ネットで調べてみると、「走行時間と同じになるよう計算して作られたらしい」という情報が多かったのですが、自分で確かめたいとずっと思っていました。
今回、ついにその夢を叶えてきました。笑
【江ノ電路線図】※公式サイトより
アルバムでは藤沢→鎌倉ですが、実験したのは江ノ島→鎌倉の区間です!
実験の仕方は簡単で、動き始めのエンジンの"プシュー!"という音と同時に再生をスタート。終わりは、完全停止時点と電車が動き始める前までの2パターンを確認しました。
まずは江ノ島駅を出発!1曲めは〈江ノ島エスカー〉
2回目の「逸るビート 踊りますか」で腰越駅に到着!!
そして数秒のインターバルを挟み、〈腰越クライベイビー〉が始まると同時に電車が動き始めました
これは期待がもてる…!!ワクワク。
〈腰越クライベイビー〉の中間部分「今日の切れ端でも いつか未来で開くのは君なんだよ」あたりで鎌倉高校前のアナウンスが入りました。「腰上まで君は波に浸かって(中略)ズブ濡れで僕も泣いてしまって 涙目で滲む昧の浜」で、アニメ「スラムダンク」のオープニングシーンに登場したり、ゆずの「夏色」MVのロケ地として人気撮影スポットとなっている鎌倉高校前駅に到着。〈腰越クライベイビー〉の歌詞をよく読んでみると、実は高校生をイメージして人生に悩む人たちに向けて作られた曲だったんだなと気づかされます。
さて、鎌倉高校駅を過ぎて七里ヶ浜駅に着いたのは、〈七里ヶ浜スカイウォーク〉が流れ始めて約50秒経った「見ろ その影はエイだね」。少しずれてきました…電車が混雑していて遅れているとのアナウンス。電車の混雑状況によって、曲と曲との間の間隔がずれてしまうことが発覚。
次の稲村ケ崎駅への到着も〈稲村ケ崎ジェーン〉とずれていたので、ここで調整に入ります。インターバルはもう100%合わないので、曲自体の時間が走行時間と同じなのか調べる方向に切りかえ。
次の極楽寺駅へ着いた時、まだ〈稲村ケ崎ジェーン〉の最後のサビ前「君の闇も瞬く合間」でした。〈稲村ケ崎ジェーン〉は走行時間より長めに作られているようです。
次の長谷駅は〈極楽寺ハートブレイク〉の「赤紫の花のような心模様」でしたが、次の駅へ動き始めるところで曲が終わったので、ほぼほぼ走行時間と同じです。
お次は由比ガ浜駅ですが、〈長谷サンズ〉が全然終わっていませんでした。最後から2つ目の「不意に思い出して馳せ参ず」だったので、まだ1分半くらい残っています。〈長谷サンズ〉は走行時間よりかなり長めに作られているようです。
そして終点の鎌倉駅へ着いた時は〈由比ガ浜カイト〉の「それでも何度も君を探して」でした。ゆっくり電車を降りていると曲が終わり、〈鎌倉グッドバイ〉が始まります。
楽しい旅を終えた人たちの背中を見ながら、改札へ向かって歩く時間。〈鎌倉グッドバイ〉を聴きながら旅の終わりを感じます。左手のお土産やさんでは鎌倉コロッケや江ノ電のグッズが名残惜しそうに並んでいます。まだ帰りたくなくてゆっくりゆっくり改札へ向かうと、切符を通したところで〈鎌倉グッドバイ〉が終わりました。「さよなら 旅のひと」
わくわくして始まった実験。途中、曲がずれてきたり、メモが追い付かなくなって焦り、最後には旅の終わりを感じて切なくなる、濃い30分間となりました。
【結果】
●江ノ電は日によって各駅での待機時間が変動する。そのため、曲と曲の間が合わず、アルバム流しっぱなしでぴったり終点到着というわけではない
●曲自体の時間と走行時間はほぼ同じくらいだったが、〈稲村ケ崎ジェーン〉と〈長谷サンズ〉の2曲は走行時間より長い