20. 彼が携帯を忘れていった話 2

彼が私の部屋に携帯電話を置き忘れて帰った。
携帯電話の中身を見たら、他の女性と2人で会っていたことが分かった。

彼からメールで、
｢携帯忘れたからここに宅急便で送って｣
と、住所を伝えてきた。

その住所は、彼の友人であるT氏から聞いていた住所と一致していた。
彼は、今まで私に一切、自分の住まいの場所を教えなかった。

なのに、今回、教えてきた。
いくら携帯を忘れて非常事態といえ、今までひた隠しにしてきた事をすんなり教えるかな？と、かなりの違和感を感じた。
でもネガティブに考えていてもしょうがないし、｢彼もようやく私に心を許したのだ｣と考えるようにした。

まあ、それは間違っていて、違和感の方が当たっていたんだけど。

それは置いといて、彼が私に嘘をついて約束をドタキャンしてまで、会っていた女性。
彼女は、彼のSNSの飲み会の常連だった。
彼の携帯には全く同じ名前で登録してあったからすぐにわかった。
私は、会ったことはない。
彼と近づくために、SNSの飲み会にも足繁く参加した時期もあったけど、彼と二人で会えるようになってからは一切参加しなくなった。
その女性は、私がSNSをやめてから参加し始めた人だった。

彼のSNSを観察していると、彼の日記や呟きに、その女性が毎回コメントを付けていた。
その女性をＮさんとしよう、
Ｎさんは、彼のどーでもいいくだらない呟きに、さらにどーでもいい寒いギャグとかよく分からないつまらないコメントを入れていた。
コメント皆勤賞だな、と私は前から思っていて、彼も満更でもない感じが非常にムカついて腹が立っていた。
文章のセンスから、なんとなく私よりも少し年上のような気がした。

彼は、そんなＮさんと二人で会って飲んでいたのだ。
しかも、私との約束を｢かぜひいた｣と嘘をついて当日の待ち合わせ直前にメールでドタキャンして。
風邪をひいたとの言葉を信じた私が、心配してメールしても、その後数日音信不通になったから、またいつもの病気（都合が悪いことがあると音信不通にして身を隠したつもりになってほとぼりが冷めるのを待つ態度）かよ、と私は思ってたけど、ビンゴだったわけだ。
何度も何度も｢かぜひいた｣とドタキャンされたけど、風邪なんて全部嘘だったんだと思う。

Ｎさんは、彼のことが好きなんだろうなと思った。

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