カッコいいおじさん
バスが停留所についた。
どんどんと人が降りていく。
私は最後に降りようと思っていた。
振り返るとおじさんと目が合った。
その人は60歳くらいで体形も普通だ。
頭にタオルを巻いても似合わなそうなイメージ。
しかし実際に巻くと多分着こなすんだろうなとも思った。
そのおじさんが私に何か言っている。
聞き返すと、
「お先にどうぞ。」
カッコいい。
しかし私は 「いえいえ」
その人が
「いいですよ」
最初にも行ったがゆっくり最後に降りようとしていたので
「リュックをしょわないといけないんです」
私のリュックはとにかく大きい。しょうのには時間がかかる。
「そっか」
おじさんは先に降りて私は後に降りた。
なんてこった。せっかくの親切を無駄にしてしまった。
申し訳なくなって、走って家に帰ることしかできなかった。
カッコいいおじさん。ごめんなさい。