愚直は誠実か
口が堅いというのは一般的に美徳とされるところだと思うのだけど、本当に口が堅い場合って秘密を持っているということすら表出しないものだから、口が堅いことに気付かれにくいことってないですか。
自分でも言わないし……というか、自分から「ワタシは口が堅いですよ。」とか逆に軽々しく見えるよね?「口が堅いからあなたの秘密を教えて!」とか正面から言われたら「アハハ……」て乾いた笑いをして秘密でもないソコソコの情報を話して満足してもらってその場を切り抜ける。
若い頃の話。
私は口が堅いというかただ愚直な感じで秘密を守ろうとするのだけど、それで友人からの「三谷にだけ話してるんだよ。みんなには内緒にしてね!」を「わかった!!」と素直に守っていたのに、次の週には周りに話が広がってて「アレはなんだったの…?」ということがなんどかあった。
たぶん「内緒にしてね!」をいろんな相手にして、どこかで話の共有がはじまって周知の事実になった、ということなんだろうけど。
そして秘密の暴露をしあう人々のほうが、あの人からこんな相談にのってるから頼れるんだなという雰囲気になり、さらに秘密が集まるという謎の現象まで観察した。
噂話に興じるというのもあまり好ましくないように思えるが、実際にひとつのコミュニティの中では噂話を興じ合うことでお互いの価値観を共有して仲の良さを高めている部分もあるみたいだ。というのは私はその輪に参加せず(できず)横目で見ている中で感じたこと。
好ましくないとされていることが、実際のコミュニケーションの中では信頼を得るためのひとつのテクニックにもなっているのが不思議だなぁ。と愚直なまま成人した私は思うのでした。