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100人の壁に向かうミイダス開発組織のこれから

ミイダスのリリースから既に7年が過ぎ、サービスや会社全体は初期と比較すると様々な変化を遂げてきました。そして、2023年6月時点での開発部の人数は97名となり、ミイダスもいわゆる「100人の壁」に向かっていくこととなります。

今回、ミイダスCTOの磯崎、開発管理責任者の眞下、そして2023年1月にVPoE(Vice President of Engineering)に就任した小林に、現在の開発組織が直面する課題や今後について話を聞きました。

参考)マネジメントは最低限。そんな開発組織が、ミイダスをここまで大きくできた理由

自己紹介をお願いします。

磯崎:ミイダスのCTOを務めている磯崎です。新卒からSIerで15年ほど働き、初めての転職先としてインテリジェンス(現:パーソルキャリア)に入社しました。SIerでは証券会社や保険会社など、大規模サービスの保守業務に携わっていましたが、新規サービス開発に興味があり、当時のインテリジェンス内での新規事業であったミイダスの立ち上げに参加しました。

小林:今年の1月からVPoEとして入社した小林です。現在は開発組織の運営に携わりつつ、セキュリティや監視などの役割を持つ運用チームにも所属しています。これまでSIerでSEとして様々な業界のシステム開発に携わってきました。直近はゲーム業界で主に会員サービス開発を担当していました。

眞下:フロントエンド領域とプロダクト長という開発計画を立てたり進行管理をするチームの責任者をしています、眞下です。開発組織の運営やフロントエンドの技術の選定、プロセスの改善なども行っています。新卒でSIerに入って、3年ほどバックエンドエンジニアとして業務システムを作っていました。その後はWeb制作の会社に転職して、フロントエンド寄りのバックエンドとして経験を積みました。実は当時在籍していた制作会社の案件としてミイダスの立ち上げに関わっていて、次第にこのサービスを一緒に大きくしたいと思うようになり2016年に当時インテリジェンスだったミイダスに入社しました。

100人の壁を感じたきっかけ

ミイダスはサービス開始から7年経過し、2023年6月現在で開発メンバーは97名になりました。いわゆる「100人の壁」を感じることはありますか?

磯崎:明確に「これが100人の壁か〜」と感じてはいないのですが、ミイダスで最初に壁を感じたのは40〜50人くらいの時で、私自身がバックエンドのコードすべてをレビューできなくなった時でしたね。
その後コードレビューは分担するようになったものの、だいたいの開発は把握できていました。しかし、今ではそれも難しくなってきて他のメンバーに引き継いだり、システムを分割したり、新たな体制に移りつつあります。今思えばこの変化が「100人の壁」に向き合っていることなのかもしれません。

実際のところ100人だからといって特別に何かを考えて行動したわけではなく、役割の増加に応じて都度対応をしてきただけです。しかし、それが結果的に「100人の壁」というものに対する挑戦だったのかもしれませんね。

眞下:私も磯崎さんの話を聞いて、これが「100人の壁」かもと思ったことがありました。人数が増えてコミュニケーションがスムーズに取れないことや、メンバー間で細かい認識のずれが出てくるなどの問題が起きはじめた時ですね。
今までは誰かが気づいて上手いことやってくれていたので問題が発生することは少なかったように思います。これもいわゆる「100人の壁」の一面かもしれません。

小林:お二人はそう言っていますが、私はこの規模の組織にしてはコミュニケーションによるトラブルは意外と少ない方だと感じています。
他の通常の企業であれば、50人程度の規模でもコミュニケーションに起因する問題が頻発することが一般的です。しかし、ミイダスの開発組織でそれがあまり見られないのは、エンジニア一人一人が自立しているからだと思います。部署間の問題はもちろん存在しますが、それが深刻化することは少ないですね。

エンジニアが自立しなければならない環境が形成されており、それがコミュニケーションの良好さに繋がっていると思います。本来であれば、上層部が情報を把握していれば問題ないという風潮があるかもしれません。しかし、ミイダスではどんなに規模が大きくなってもメンバーが自分で情報を探し出し、必要なコミュニケーションを取ることでチーム全体を上手く動かしています。

磯崎:自立したプロのエンジニアを採用して組織のルールやマネジメントは最小限というのは昔からの方針で、今も開発組織を支えてくれているんだなと感じますね。

組織フェーズの変化

サービスローンチから「組織のフェーズが変わった」と感じたのはいつですか?

磯崎:フェーズの変化を感じる瞬間はいくつかありましたね。印象深いのは、フルリモート環境下で実は1ヶ月仕事を全くしていないメンバーがいたっていう事件ですね(笑)。
私はバックエンドの全ての成果物を確認していたのですが、そもそも何も出していないメンバーがいるということには気付けなかったという、、、。この経験から「全てを見切ることは難しい」「明確な組織体制が必要」ということを痛感しました。

眞下:フェーズの変化を感じた瞬間といえば、会社化したときのことが印象的です。ミイダスが独自のオフィスを持つようになった瞬間、自身が大きな組織の一部であると実感しました。その時の開発メンバーはおよそ60名程度で、組織としての体制を整えることに重点を置き始めた記憶があります。

フロントエンドとバックエンドそれぞれでレビューシステムの運用を始めたタイミングでもありました。初めは少数のレビューメンバーを固定していましたが、少人数で全てを見ることは困難で、レビュアーが開発作業を行えなくなっていました。
そこからさらに多くのメンバーがレビューを行うような体制に移行しました。それがだいたい2019年頃だったと思います。

エンジニアの変遷 - スキルセットと採用における変化

エンジニア個人や組織の性質について、どんな変化があったと思いますか?

磯崎:正直あんまり変わってないと思ってます。ただ、サービスが大きくなるにつれて外部からのミイダスの見え方が変わり、それに伴ってミイダスに応募してくるエンジニアの性質も変わってきているなと感じてます。それが結果的にミイダス内部の変化のきっかけにもなっているなと。

売上が上がってサービスが認知されるようになると興味を示すエンジニアの層が変わってきました。ローンチ当初は「新しくできたサービスで働きたい」という人が多かったのが、最近では「自身のキャリアのためになるサービスで働きたい」という意識の強いエンジニアが増えてきています。「そろそろエンジニアのキャリアに関しても考えなきゃいけないんだな」と重要性を感じています。ミイダスに応募してくれる人が自身のキャリアを育てるためにミイダスを選んだのであれば、私たちもそれに応えなきゃなと考えるようになりました。

ミイダス自体はほぼ何も変わっていないのですが、会社の成長やプロモーションの影響で、興味を持つエンジニアのタイプが変化した感じですね。初期のミイダスに魅力を感じて入社したエンジニアと、現在のミイダスに興味を持つエンジニアは全く異なるため、この変化に対応する必要があるなと思っています。

以前は「サービスの成長」が唯一最大のミッションって感じでしたが、徐々にそれだけではなく、キャリアや個人の成長という意味でエンジニア個々の期待に応えることも大事だなと。これがミイダスの組織としての新たな課題となりつつあります。

眞下:あとはエンジニア採用における求めるスキルセットも変わったなと思います。サービスの初期段階ではフルスタックエンジニアが多く採用されていました。最初はやっぱりスタートアップのスピード感を維持するためになんでもできる人が必要でした。

しかし、サービスが大きくなるにつれバックエンド、フロントエンドといった専門性を重視した採用に変わってきています。ただ、フルスタックな能力が活かせないというわけではなく、バックエンドとフロントエンドの両面で活躍するエンジニアは今もいます。例えば、フロントエンドテックリードの後藤さんはバックエンドの知識も豊富で、設計段階でバックエンドも考慮した議論ができます。専門性は求めるものの広く知識があることはやはり強みになりますね。

磯崎:人物像みたいなところで言うと、ミイダスにおいてエンジニアの必須要件は変わらず一貫しています。それは、自立していることと、開発スキルがあること。
エンジニアには「実装してプルリクエストを出す」ことに集中してもらいたいので、それをサポートするためにチーム体制も進化させています。例えば、PMO(Project Management Office)、運用チーム、テストチームなど、それぞれが特化した役割を持つ人々がエンジニアの開発をサポートしています。これらのチームによってエンジニアが開発に集中できる環境をつくっています。

ミイダスの開発で一貫して重視しているのは、エンジニアが真に価値ある仕事に集中できる環境をつくって維持していくことですね。

組織全体で考える開発組織の課題と今後の方針

ミイダスが直面している今の課題を教えてください。

小林:ミイダスの課題の中でも特に重要だと思っているのが「属人化」の解消です。組織が大きくなると、人員の入れ替えが起こり、このような属人化を避ける仕組みを整備していく必要が出てきます。

さらに、「マネジメント」「キャリアパス」「人材育成」といった面の整備もしていきたいです。これまで特にキャリアパスといったものはなく、一人ひとりに成長を任せていましたが、会社としてもサポート体制を強化していく必要があるなと思います。また、ナレッジの継承も重要な課題であり、管理職やリーダー候補の育成も必要です。

あと早めに取り掛かりたいのが「組織の可視化」ですね。組織が大きくなって誰がどこにいて何を担当しているのかが分かりづらくなってきています。会議の際に「誰がどの立場で参加しているのか」や「誰に判断を仰ぐべきなのか」が不明確になることがあります。こういった問題を解消するために組織を見える化し、各人の役割や責任を明確にする必要があります。

眞下:私からは開発部だけでなくミイダスという組織全体から見た課題についてですが、組織を横断的に調整する仕組みなりポジションなりが必要だと感じています。ミイダスでは開発部内の各開発チームに対する要望は各チームにそのまま直接届くこともありますが、異なる部署から同じ機能に対する要望がそれぞれ届いてしまうこともあります。優先度の判断は開発部だけでは難しいことが多いので、ここをとりまとめる役割が必要だと思います。

ミイダスの独自の挑戦:規模拡大と自立性のバランス

現在のフェーズで直面している課題の中でも「ミイダスならでは」と感じることはありますか?

小林:結構早いペースで規模が拡大しているので、それに合わせた組織運営の見直しはミイダスならではかなと思います。ミイダスはエンジニアの自立や主体性を重んじて、生産性高くスピード感をもってプロジェクトを進行させてきました。ただ、100人を超えようとしている今では全く同じやり方だと上手くいかない部分も出てきています。

各部署や個人のスピードに差が生じ、それが組織全体のタイムラグとして現れ始めています。初期の小規模な段階では、企画、データ分析、マーケティングなど、全ての部門が素早く判断を下せたと思います。しかし、部門が分化するにつれて、再確認や部署間での調整などが増え、それが組織全体の遅延となっています。

解決策としてはやはりミドル層にも決裁権を委譲していくことですね。権限移譲が進めば部門間の調整や判断をミドル層で行うことができ、タイムラグが減少し、全てを最上層に持ち込む必要がなくなります。この調整が重要な次のステップだと考えています。

一般的に組織運営のスタイルとして厳格な組織体制を取るか、自由なスタイルを許すか、どちらか一方を選ぶことが多いと思います。しかし、ミイダスではそのバランスをうまく取ることが求められています。これがミイダスの独自の挑戦であり難しい部分です。

これからのミイダスのエンジニアに求められるスキルや性質

眞下:企画チームからの要件を具体的な開発仕様まで落とし込める方はもっと増やしていきたいですね。ミイダスでは企画チームが要件と仕様を固め、その情報を開発チームに渡して開発が動きだす流れです。当然、企画からの仕様に対して提案や確認を行うこともありますが、基本的には企画チームから提供された情報に基づいて開発を行う、という形が一般的でした。

しかし、最近はその流れも少しずつ変わってきています。企画チームの中に具体的な開発仕様まで作成できないメンバーが増えてきたので、エンジニア側でその部分をカバーする必要がでてきました。企画から提出される要件をしっかりと理解し、それを開発可能な仕様まで具体化できる力を持つエンジニアがいれば、開発チームにとって大変助けになると思います。

磯崎:エンジニアが企画領域もカバーできるようになると大変助かりますが、同時に企画側がエンジニアの領域を理解しカバーできるような人材も必要だと感じています。企画側でエンジニアリングの事情を理解しつつも、しっかりと要件を固められる人がいれば理想的ですね。
エンジニア組織がしっかりしてくると、プロダクトに今本当に必要なことは何かを考えるのにリソースを割けるようになってきます。ミイダスもその段階に近づいていると感じています。
とはいえ従来のように開発スキルが高いエンジニア、自立していて主体性の高いエンジニアは変わらず大歓迎です。実は今オープンソースのプロジェクトの立ち上げを検討しています。具体的には、ミイダスで使ってる色々なマスタデータを公開しようと思ってるのですが、こういったことに意欲的なチャレンジ精神のある方も歓迎します。

皆さんお話しありがとうございました!

開発組織100人やユーザー100万人といった大きな節目を迎える転換期にミイダスは向かっています。ミイダスの環境にご興味がある方はお気軽にご連絡ください。一緒にサービスや組織を成長させていく仲間を大募集しています。

ミイダス Techについて

ミイダスでは、様々な技術イベントを開催しています。connpassやYouTubeチャンネルでミイダスグループのメンバーになった方には、最新の開催情報やアーカイブの公開情報が届きますのでぜひご登録をお願いいたします。

イベントページ:https://miidas-tech.connpass.com/
Twitter:https://twitter.com/miidas_tech


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