妊娠出産のダメージが軽視され過ぎている話2
私は真面目に
つわりの酷さや妊娠にまつわる身体的不調、出産の痛みや合併症のリスクに日本社会(男女ともに)がまともに向き合ってこなかったことがかなり大きな少子化の原因だ
と主張していきたい。
少子化の本質は女性の社会進出云々とかいうけどそれと同じくらい深刻な問題だし、これを無視して少子化問題を語るのはお門違いじゃないかとすら思う。
私の友人でも「子供は欲しいけど出産が怖い。」と言ってる子は何人かいる。もちろん女性だけの集まりの場でね。
たぶん、みんな「痛いから嫌とかいうのは子供っぽい、恥ずかしい」って気持ちが少なからずあるのではないかと思う。私は当然嫌です、別に子供欲しくないし。あと自分が仮に妊娠したとしてもハイリスク妊婦だっていうのもある。いくら妊娠出産が病気でないと言っても、病気でなくても痛いも思いや苦しい思いをするのは間違いないので、それを嫌ということの何がおかしいのでしょう?特に男性に揶揄される謂れはないと思います。
ちょっとアホくさい例えだけど、胃カメラやらバリウム飲むのが嫌で健康診断行かず手遅れになる人もいるように、いくらそれが有益な行為とは言え、苦痛を伴うものは人間避けたいと思うものです、よっぽど強い動機がなければね。それを非難する資格って他人にありますか?
この前書いた上の記事、時流に乗っかったおかげで閲覧数が伸びている。「スキ」をくださった人の中に最近お子さんを産んだ女性がいて、珍しいなと思った(私はスキをくださった方のプロフは全員見ています。コメントはケンカを避けるため意識的に読んでないです)。
経産婦の方は割と出産の痛みを「育児に比べればなんともないこと。案ずるよりうむが易し。」と流す人が多く、男性からも「逞しい女性」としてそのような姿勢が称揚される傾向にある(私からすると、若い頃の「都合の良い女」と何が違うのかと思うが)。
これは、いくらジェンダー解体をしたところで決してなくならない、少なくも現代技術では解消することのできない「出産」という究極の性役割分担を受け入れるしかない側の、ある種の諦念もあるように思う。いくら嫌だと言っても女性が産まなければ子供は作れない、だからその不条理を受け入れ、むしろなんともない事だ、と笑い飛ばすことこそ正しい姿勢だと。一定の合理性はある。だってウジウジ言ってても仕方ないから。不細工に生まれたからって「俺は不細工だから…」とネチネチ言ってても誰も救ってくれないし、自分でなんとか明るく生きていくのが最善の策ってことはよくわかる。女に生まれて子供が欲しいからには、痛いのが嫌だから、不公平が許せないと憤っていても子供は生まれない。もうその痛みそのものも受け入れて笑い飛ばすしかないのだろう。少なくとも、私が子を持つときはそういう考えでしかないと思う。
どう考えても出産は女性差別であり虐待的であるが、世間はそれを頑なに認めない。もちろん技術的に難しいというのが大きく、それをとやかく言っても仕方ないだろう、という苛立ちのようなものを感じる。
でも、おかしいことをおかしいと言わないから今こうして少子化の一因になってるのではないか?
また、妊娠や出産により骨密度の低下や脳の変形、私の周りにもいるのだが、腰を悪くして働けなくなってしまった女性、歯が抜けてしまった女性、合併症のリスク等、出産には多大なリスクが伴っていることを男性は知っているだろうか?
妊娠や出産よりその後の育児が大変だ、という人もいる。もちろんそれはそうなんだろう。
でも、育児に関しては男女平等に負担することもパートナー次第で可能である。出産や妊娠、それに伴う身体リスクは女性が一手に背負うのであって、どんなに素晴らしい、リベラルな、むしろフェミニストな男性であっても、その負担は分担不可能である。
この不公平が私にはどうしても許容できない。昔はまだ男性は兵役に行ったりしていたから命を張る機会もあっただろう。それが今は男が命を張ることなんてない、女だけが過大な身体的負担を強いられているのである。もちろん生来的なものであり仕方ないのだが、あまりにその負担が無視されすぎではないか。
どうも、他の女性を見ていると、自分が妊娠、出産するまで男女平等だと思ってた、フェミニズムなんて嫌いだった、でも、妊娠や出産を通して男性との非対称を知りフェミニズムの正しさに気付いた、という人がちらほらいる。私は彼女たちはすごく幸せだと思う。実体験が伴わなければ問題意識すら持たないっていうのはある意味幸せなこと。私のように自分の人生で二の足を踏まずに済むのだから。そういう相反する不幸が、フェミニズムにはある。
とにかく、妊娠や出産に関する不都合な真実を隠匿してきた罪が日本社会、いや、世界にはあると思ってるよ。正直、女が子供産まなくて良い世界ならこんなに少子化しないと思う。
惜しいのは、子供を持たない女性が以上の主張をしても「子供っぽい。未熟。」と一蹴されてしまう可能性が高いこと。なので、経産婦の方が私と同様の主張をしてくれるのは大変ありがたく、社会的意義のある主張なのです。
痛みを乗り越えてこそ一人前、みたいな、それこそ一昔前のブラック企業みたいな精神論、そろそろやめませんか?
※もちろん一定数妊娠出産にポジティブな思いを持つ人がいるのも知っていますが、その方達もこれから育児だというのに積極的に健康を害したいとは思いませんよね?もっと妊娠、出産にまつわるリスクに真剣に向き合うべきで、それを女性だけの問題に押し込めるべきではないという問題提起です。生理に関しても日本男性の無理解は異常です(生理用品をアダルトグッズ扱いしてコンビニに置くべきでない、と主張したり、避難所でナプキンの受け入れを拒否するなど実害が出ています)。性教育をしっかりやるべきです。